上 下
15 / 96
異世界での転生

突然の声

しおりを挟む
 ガニアン卿、そしてテールがそれぞれの部隊を先行させて森に入っていく中、僕も従士のオリビアとコールと共に、森の中へと入っていった。

「ニック様、お気を付け下され、この森からは危険な雰囲気が漂っております」
「ああ、僕は実戦は初めてだけど、この森はたしかに危険そうだ」
「ニック様、申し訳ありません、本当はニック様は視察のみの予定でしたのに、実戦をこのような形で経験する事になってしまい……」
「オリビアが謝る事じゃないよ、まあオリビアやコール、それにゲインも付いてくれているし心配はしていない」

 僕も今日1日でいきなり魔物との戦いなんて想定していなかったし、ここまで深入りするとは思わなかった、それでも護衛がいるし、彼らを頼るほかないんだよな。

「ニック様、さっき父上にも言われましたが、父上やテール様に万一の事があれば俺達は意地でもニック様を領地まで帰さなければならないんです」
「最悪の想定はそうだろうけど、ガニアン卿もテールも強いし、そう簡単には……」
「ニック様、一度は俺達危険を感じて逃げたんですよ、それで兵が加わったから討伐を続行する事にはなりましたが……」

 少しづつだがコールの表情が曇っていき、そしてどこからともなく声が聞こえた!

「きゃあああ!」
「うわあああ!」

 声の主はテールだ!それに兵士も叫んでいるぞ!

「みんなテールの声だ!急ごう!」
「はい!」
「ニック様、私が前衛に……」
「いや、俺が前衛に立つ、ゲインはそばで守っていろ!」

 コールは自ら前衛に立ち、急いで声の聞こえた方に駆け付けようとし、僕達も急ぐコールを追いかける。

 そして到着するとテールがいて膝から出血している様子が見られる。

「テール!」
「ニック様!」
「テール、大丈夫、そのケガ」
「大したケガではありません、それよりあれをご覧ください」
「あれは兎の魔物⁉」
「アルミラージと言い、普通の兎より大きめの魔物ですし、数も多いので」

 アルミラージ、兎のような魔物、あの歯が厄介そうだな。

「テール様、父上は?」
「分からない、私が通った道では見かけなかったわ」
「そんな……」

 ガニアン卿が行方知らず、しかしどうやってこの状況を、ん?何か声が聞こえてくる

『聞こえますか?ニック・テリナン』
「え?」
「いかがなされましたかニック様」
「あ、いや……」
『失礼しました、あなたの頭の中に直接呼びかけているので、あなたも思うだけで問題ありません、ニック私の申す事をお聞きください』

 何なんだ何が僕に?
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰? あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。 わたし、どうなるの? 不定期更新 00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

前世の記憶さん。こんにちは。

満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。 周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。 主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。 恋愛は当分先に入れる予定です。 主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです! 小説になろう様にも掲載しています。

処理中です...