補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu

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出発前のクエスト

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ニラダはアビジンを扱えるドットの師匠であるゴーン、もしくはその息子であるゲンに会う為、パックの街に行く事を仲間達に告げるが、同行したいと仲間達が訴えた為、条件として今日、もしくは明日のクエストをこなす事を条件とし、あっさり了承したため、その日の間にクエストを達成し、ギルドに戻って来ていた。

「しかし、みんなすごいやる気だったな、ビッグベアをあっさり倒すんだもんな」
「あのギガング相手にも生き残った俺達ならあんなでかいだけの魔物わけねえぜ」
「うん、きっとギガングと戦っていなかったら怖かったと思うけど、なんていうか自信がでてきたかな」
「まあ、そのギガングも倒したわけじゃないから過信は禁物なんだけどね」

 ビッグベアという強力な魔物の討伐が今回『成長しあう者達』が受けたクエストであったが、難なく達成し、ニラダが呼びかける。

「今日言ったように、明後日を出発の日にしたから、明日は出発準備と休養日にしよう、それじゃあみんなまた明後日な」

 ニラダはそう言うと、再びドットの工房に行き、ドットに声をかける。

「こんにちは、おじさん」
「おお、ニラダか、言っておくがまだ1つもできてねえし、明日にもできているかどうか分かんねえぞ」
「いや、そうじゃなくて、ん?おじさん目が赤くなっているけどどうしたの?」
「あ、ああこれか!俺としたことがうっかり金づちの勢いをミスって目に飛んで来やがったんだ」
「そ、そうなのティアを呼んで治癒魔法をかけてもらおうか?」
「心配いらねえ、大したことねえよ!」

 無論、金づちが目に飛んできたわけではなく、先程の目からの汗はドットにとってもなかなか止まらず目が赤くなるには充分であった。

「そ、それで何しにきやがったんだ?」
「実はさ出発を明後日に伸ばそうと思って、一度朝に寄るから1つくらいで来ていたら持って行こうかなって思って」
「出発を明後日に伸ばす?一体何があったんだ?」
「実はさ……」

 ニラダはパーティーメンバーがパックの街まで同行したいと訴えてきて、条件として今日、明日にクエストを達成し、本日達成したので明日を準備日と休養日としたことを話したのだ。

「そうなのか、いい仲間じゃねえか」
「そうなのかな、できることならクエストを本当は達成してほしかったんだけどな」
「だがお前も条件付きとはいえあいつらの同行を許しているし、あいつらにもお前の剣を見て欲しい気持ちはあったんじゃないのか?」
「……フフフ、そうかもしれないね」

 ニラダの心のどこかに彼らに剣の完成を見届けて欲しいという気持ちをドットが言うと、ニラダも素直にその感情を受け入れていたのだ。
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