補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu

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目指せSランク

模擬戦

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 一通りの訓練を経てケンはニラダに対して模擬戦を持ち掛けるとニラダもケンの提案に応じ、2人の模擬戦が始まろうとしている。

 両者は間合いをはかり、互いに中々仕掛けようとしない中、その空気にミヨモが言葉を発する。

「す、すごい、さっき緊張するって言ったけど、どっちも気合がすごくてハラハラもしてきたよ」
「ニラダはいつも速さを活かして攻撃をしていたけど、それもできないからより慎重に見極めないとあっという間にやられそうね」
「だが、確かケンは接近戦をずっと避けていたんだ、補助魔法込みとはいえ接近戦ならニラダの方が慣れているはずだ」

 ミヨモ達もニラダ達が発する空気に意見を出し合い、ケンが突然構えを解き、ニラダは隙をあえて作る罠かもとも一瞬考えたが今を逃すと攻撃する機会がないと思い、攻撃する。

「甘い!」

 そう言って拳をケンに止められるが続いて足払いを試みるが一瞬早くケンの足払いを受け、転倒してしまう。

「うわっ!」

 転倒したニラダに更に蹴りを試みるがニラダは身体を回転させ地面に横たわったままかわす事に成功し、立ち上がるが呼吸の乱れをケンより指摘される。

「ニラダ君、呼吸が乱れているね、それじゃあ僕を正確に捉えられないよ」
「くうっ……!」

 呼吸の乱れ、すなわちニラダの思考や精神は一連のケンの攻撃で乱れ、ケンへの攻撃の対処及びケンに対しどういう仕掛けが適切か分からなくなっていたのだ。

「ニラダ君……」
「すごいわね、武道家とはいえ、今のニラダの動きを正確に見抜いて対処してしまうなんて」
「ああ、今のニラダは補助魔法なしでも相当な速さのはずなのに」

 ミヨモ達はニラダがケンに翻弄されている様子に戸惑っており、そんな中ミヨモ達に声をかける人物が現れる。

「まあ当然だよな」
「あなた達はケンさんのパーティーの……」
「ビビりな性格で分からなかったが、実はよあいつタイマンじゃ俺達の誰よりも強いんだぜ」
「何だって、あのケンが⁉」
「師匠のしごきがトラウマで気功スキルのみで戦うようになったが、武道家としてのあいつはまぎれもなく冒険者の中でも上位に組み込むぜ」

 ケンのパーティーメンバー達が現れると実は接近戦の実力もパーティー随一であったことを明かし、その話をしている中ケンがニラダに声をかける。

「ニラダ君、君の度胸は僕が接近戦に挑める度胸を与えてくれた、君を強くするのがせめてもの礼であると思っている」
「ケンさん……」
「だけど君がSランクを目指すというなら先輩として簡単でないという事を教えるのも役目だと思っている。悪いがここからは手加減なしでいくよ」
「お願い……します……」

 今も翻弄されている中手加減なしでいくと宣言したケン、ニラダはこの訓練でどのような成果を得るのか?
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