補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu

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パーティーランクを上げろ

技術の吸収

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 ティアがリンダより魔石を受け取る一連の流れを経てから今回の食糧配給のクエストに参加したパーティーはそれぞれ報酬を受け取る為に、デデンの冒険者ギルドへと向かった。とりあえず馬車は街の外に停車するが既にニラダ達が帰還している事はギルドの職員には伝わっており、返却の手続きも滞りなく行われていた。

 そんな中、ケンが単身でニラダ達に接近し声をかける。

「ジャン、今回は誘ってくれてありがとう」
「何言ってんだよ、礼を言うのは俺達の方だ、お前達が参加してくれなかったらどうなっていたか」
「いや、僕の方こそニラダ君と一緒に戦って色々刺激になったよ」
「俺と一緒にですか?」

 ニラダは疑問を覚えるものの、ケンは屈託のない表情でニラダに告げる。

「スキルがあるとはいえ、君は魔法使いにも関わらず、前線で臆せず戦った、そんな君を見ていたら武道家なのに遠距離でしか戦わない自分が恥ずかしくなってきたよ」
「ケンお前……」
「これからは僕も前線で接近戦もできるようやってみるよ!」
「ケン……いや!そういう事はもっと早く決断してやれよ!お前が前線で戦えばパーティーメンバーはもっと楽になるんだからよ」

 ジャンの厳しめのツッコミの言葉を受けて、少し顔を下に向け、ケンが面目なさそうに言葉を発する。

「ううう、そう言われると少し辛いけど、ま、まあ頑張るよ……」
「まあまあ、ジャン、それくらいにしときなよ、ケンさん、俺は武器を使いますけど、また機会があったら武道家としての戦い方を教えてください、素手でも少しは戦えるようにはしたいので」
「そうかい、言っとくけど僕のコーチは厳しいよ」
「調子にのんな、たく、ちょっとおだてられるとすぐこれだ」
「ははは、じゃあ僕も行くね」

 そう言って、ケンはニラダ達の前から姿を消し、パーティーメンバーの元へと向かっていった。

「ニラダ君、すごいね武道家の技まで教えてもらおうなんて」
「実は一度、素手で戦ったんだけど、結構身体へのダメージがあったから武器での戦いに切り替えたんだ」
「そうだったの」
「だけど、戦闘中に武器が使用できない事もあるだろうし、武道家の技を身に付け少しでも身体への負担を少なくする工夫は必要だ」

 ニラダとミヨモの発言を聞いてティアが口を挟む。

「ふふふ、変われば変わるもののね、あれだけ自分は戦闘スキルとは程遠いって言ってたあなたが自分から本職の技術を求めるなんてね」
「ティア、準ずるスキルを得られるとは思っていないが、今の強くなった体には形だけでも技を吸収させることはできる、そう思っただけだよ」

 あらゆる経験が前衛としての自覚を高めてきた、ティアはニラダを見てそう考えたのだ。
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