理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

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異世界で仲間が増えました

俺にできる事

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ミミが聖女を目指すきっかけになったのはビルディス国王、ダリアス陛下の妹さんの死がきっかけであった事を俺は王様より聞かされて、とんでもない戸惑いを覚えると同時に今までの事から腑に落ちた点もあった。

 最初に俺が聖女見習いを目指したきっかけを尋ねた際に答える事を躊躇した事だ。確かにそれは答えたくはないだろうし、今になると何か申し訳ない気持ちにもなったな。

 きっかけはたとえ王様の妹さんが亡くなり、それに対する贖罪だとしても、今のミミがそれだけで俺に協力してくれて聖女見習いの活動をしているとは思えない。

 俺だけじゃなく、彼女の治癒魔法はもちろん、彼女自身の優しさにどれだけの人が救われたんだと思う。

 ミミが経験した事に比べりゃあ、俺がケガでサッカーを辞めた事なんて大した事ない、それでもあの時、俺が苦しみながらも前向きになろうとしていた事を理解し励ましの言葉をもらった。

 ミミがもしまだ苦しみの中にいたとしたら俺は何ができるんだろうか?王様に俺と会ってからのミミの話をしてみよう。一度言葉にすると何かわかるかもしれない。

「王様、まずは聞いて欲しい事があります」
「何だ?」
「自分と会ってからのミミの事ですが……」

 俺はミミと出会ってから、ミミと共に診療所を始めた事や、その過程でミミが手助けしてくれた事、他の仲間や街の人達との関り、そして聖女見習いとしての活動だけでなく、診療所での治療においての彼女の責任感についても色々話した。

「ふむ……」
「どうでしょうか、そしてこの話を聞いて自分に何かできる事はないでしょうか?彼女の為に……」
「ユーイチ、お前は意図していなかったとは思うが、お前の行動は結果的にミミの為になっているかもしれん」
「え?どういうことですか」

 俺の行動はミミの為にもなっている?一体どういう事だ?確かにミミ1人では難しい事もあったとは思うが。

「これは余の推測に過ぎんが、ユーイチ、後遺症とやらを取り除くスキルを得たお前が限定的とはいえ治療に関わり、街の者とも積極的に関わる姿がもしかしたらミミの救いになっているかもしれん」
「自分のスキルがですか?」
「最初にこの街の者を治療したときにミミは治しきれない自分を恥じ、大いに涙を流し、お前が突如得たスキルでその者の後遺症を取り除いた状況が今までのミミの価値観を変えたかもしれん」
「スキルでですか……」

 最初のダンカンさんを治療しきれなかった涙ももしかしたら王様の妹さんを亡くした事を思い出していたのかもしれない、その後のスキル発動がミミの意識に何か変化がのきっかえを与えていたとすれば……。
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