理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

文字の大きさ
上 下
164 / 273
異世界で仲間が増えました

終了間際に

しおりを挟む
 俺達は表向きは美味しい健康料理、しかし実際は子供……に限らず野菜嫌い克服の為の食のお催し物に協力してくれる飲食店を見つけるべく様々な店と交渉をしていた。

 ギベルトも独自に交渉してくれており、協力してくれる飲食店は徐々にではあるが増えていった。

 しかし、最初に交渉したメルさんからはまだ返答がないな。こちらもある程度目途が立ったら報告しないとアレフさん達の準備の事もあるから、メルさんには悪いが返事を待たずに計画しないといけなくなるな。

 そんな事を考えながら今日の午後の診療の終了時間が迫っていると扉を開ける音がした。

 その音にミミが反応し、扉まで行くと、俺を呼ぶ声がする。

「ユーイチ様!来てもらっていいですか」
「どうしたんだミミ?あっ!」
「こんばんは、えっと、もしかしてまだ診察中かな?」

 診療終了間際に訪れたのはメルさんであり、とりあえず俺は診察できることは伝える。

「あの、メルさん、まだ診療時間ではありますので、診察しますよ」
「違う違う!この間の返事に来たの」

 その言葉を聞き、俺はミミと目配せをし、どうやらミミも同じ考えそうだったので、俺は自分の考えを言葉にした。

「もう、今は患者さんはいないので、どうぞ診察室までお入りください」
「うん、分かった」

 メルさんはそう言うと、俺達の案内で診察室まで行き、俺達とメルさんが診察室に入室するとミーザがメルさんに反応をする。

「あ、料理人のお姉さん。こんばんは」
「こんばんは、えっとミーザちゃんって言ったっけ?」
「うん、ミーザだけど」
「やっぱりそうよね、女の子で傭兵やっている子は珍しいから名前を憶えやすかったわ」

 確かに以前、ボッズの街に行った時も女の傭兵はミーザくらいだったし、女性が戦うというのは珍しいんだな。

「そうなんだ、でも料理店をやっているのもおじさんばっかってイメージがあるからお姉さんみたいに若い女の人が店主っていうのも珍しいよ」
「ありがとう、でもかわいいもつけてくれたらお姉さん、もっと嬉しいんだけどな」
「う、うん、そうだね」

 この人自分で自分をかわいいなんてアピールしちゃってるよ。いや、俺もそう思うんだけどさ。

 おっと、そろそろ返事を聞かないとな。

「あの、それで返答は?」
「あ、ごめんね。結論から言うとね、引き受けていいとは思ったわ」
「そうなんですか、ありがとうございます!」
「た・だ・し、私からも引き受ける条件を出させてくれる」

 ここに来て、引き受ける条件の提示をしてくるとは、やっぱりこの人すごくクセが強いよ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

ちょっと神様!私もうステータス調整されてるんですが!!

べちてん
ファンタジー
アニメ、マンガ、ラノベに小説好きの典型的な陰キャ高校生の西園千成はある日河川敷に花見に来ていた。人混みに酔い、体調が悪くなったので少し離れた路地で休憩していたらいつの間にか神域に迷い込んでしまっていた!!もう元居た世界には戻れないとのことなので魔法の世界へ転移することに。申し訳ないとか何とかでステータスを古龍の半分にしてもらったのだが、別の神様がそれを知らずに私のステータスをそこからさらに2倍にしてしまった!ちょっと神様!もうステータス調整されてるんですが!!

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

処理中です...