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異世界で仲間が増えました

味を覚える料理人

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 キッコの街の広場で行っている野菜嫌いの子供の調査アンケートを行っており、記入済み用紙が半数ほどになった頃に、料理人のメルさんが買い物の帰りに俺達に声をかけ、俺が持っている用紙を読み終えるやとんでもない発言を放った。

「今なんとおっしゃいましたか?」
「子供の好き嫌いなら私の料理を食べれば一発でどうにかなるよ。私ならどんな食材でも美味しくできるよ」
「そりゃあメルさんはそうかもしれませんが、それができなくて悩んでいる人もいるから俺がこうやって聞き取りをしているんですよ」
「それじゃあ一回食べに来て、参考にすればいいんだよ」

 ああ、なんかこの人がどんな人か少し分かって来たぞ。多分だが感覚派な料理人だ。今の発言から多分この人自身は食べたものの味を覚える能力がものすごく高いんだな。一流の料理人はそういう人が多いって聞いた事があるぞ。

 だけど、どこか他の人も似たような事ができると考えていそうな雰囲気も感じる。少し聞いてみるか。

「あの、メルさんってもしかして一度食べたものの味が分かったりしますか?」
「そうだけど、でも美味しいものの味って覚えているもんでしょう、それを元に作ればいいわけだし」
「いやいや、だからその味を再現するっていうのが普通の人には難しいんですよ」
「私は少なくとも料理人ならみんなできると思っていたんだけどね、私も父もそれはできるわけだし」

 そういえば前にソフィアさんが言ってたな、メルさんは実家の味を広げる為にここに移住してきたって、だから他の店の店主に弟子入りするのも拒否したんだったよな。

「確かにあなたの店で美味しい料理を食べる事ができれば子供達は嬉しいかもしれないけど、毎日それができる家ばかりじゃないし、普通の人はあなたの店の味を再現するのは難しいんですよ」
「確かにそうね、うちの味は元々住んでいた所じゃあ一番評判が良かったからね」
「そういう事です、俺達は普通の家庭でもできる方法を探してあげる為にこうやってアンケートをしているわけですし」
「じゃあ今度は素朴な疑問なんだけど、あなた達って病気を治したり、身体の力が落ちている人を元に戻すのが仕事なんだよね、それで子供の好き嫌いの調査ってどういう事なの?」

 料理は得意みたいだが、この人というより、あまり栄養学も発展していないからなこの世界は、もちろん野菜を食べる大事さはある程度は分かっていそうだが、一応話してみるか。

「確かに俺達は病気やケガの治療やその後のリハビリを請け負っています。でも可能なら病気の予防方法も伝えていくのが役割だと思っていますから」
「確かに野菜を食べないと病気になりやすいっていうのは聞いた事はあるし、それはきっといい事よ」

 なんかメルさんと話し込んでしまったけどアンケート大丈夫かな?
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