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異世界に転移しました

明日からも

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診療初日を無事終えた俺達は少しだけ贅沢な夕食を楽しみ、その席で俺は自分が理学療法士を志した理由をミミに話し、その話に対してミミが自分の感想を話してくれた。

「ユーイチ様はお強いですね、大きな怪我をして、ご自分が好きな事ができなくなってもそうやって新しい道をお見つけになるなんて」
「そんな事はないさ、サッカーができない俺にどれ程の価値があるんだって悩み続けたし、同級生や両親や教師とも揉めてた時期もあったし」
「でも、私には今のユーイチ様はとても前向きに色々考えていらっしゃると思いますよ」
「俺が前向き?」

 突如ミミに前向きと言われて少し戸惑った俺にミミは自分の思いを話す。

「ユーイチ様は突然この世界に転移されて、色々と戸惑われたと思いますが、それでもこの世界で得たスキルを人の為に活かそうと必死で頑張っていましたよ」
「まあ、この世界でも何かしらして生きていかなくちゃいけないと思ったしな」
「でもそれだけならわざわざ診療所を開かなくても他にお仕事はあったはずです。多分ユーイチ様はご自身が怪我で辛い思いをしたからこそ診療所を開こうと考えたと私は思います」

 この世界に来て、ミミに言われて、そして俺自身の話をしてみて、気付いたな。俺は確かに怪我をしてサッカーができない事をすごく嘆いていた。それこそこの世界の終わり位の絶望感があった。

 だが、ダンカンさんや二コラ君、あの孫と祖母にとっては生きるか死ぬか位追い詰められていたんだ。

 知らなかったとはいえ、今俺はあの時の俺をぶん殴って説教したいくらいに思っている。

 だけど、ミミの言葉で俺も救われた部分もある。その過去があったからこそ、今の俺があるんだと。就職してからの日々の業務をこなす忙しさや、この世界に転移してからも診療所の開設に躍起になって中々考えていなかったことをミミが改めて思い出させてくれた。

 最初は俺を不審者扱いしているミミだったけど、今は本当に俺の事をすごく信頼してくれているんだなと感じている。

「ミミ、また明日からも頑張っていこう」
「はい」
「じゃあ、早く食べてしまうか、冷めると美味しくなくなるからな」
「はい」

 ミミの聖女見習いとしての活動がいつまで続くかはまだ分からない、それが終わった時に俺は1人でもここでやっていけるかどうかも分からない。

 だけど今は目の前の事に全力で取り組むしかない。そして時間を見つけて俺が元の世界に帰る方法も探さないといけない。

 俺の異世界生活はまだ始まったばかりだからな。

 そんな事を考えている内に夕食を終えて俺達は店を出て、家路に着こうとしていた。

「それじゃあユーイチ様、おやすみなさい」
「おやすみ、ミミ、また明日な」

 さてとまた明日から大変になるが、これは俺が自分がしたいと思ってしている事だからな。

 頑張るしかない。
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