一歩の重さ

burazu

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高校2年編

交渉

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 かつて、奨励会に所属していた佐藤春秋の元を訪れた竹田義男九段はその春秋から娘である佐藤梢子が突如ウイナビ女子オープンに出場した話を聞き、その話を電話で一輝としていた。

「……という話を聞くことができました」
「そうですか、わざわざありがとうございます」
「学校が始まったら、長谷さんが娘さんからも何か話を聞いてみるといいですよ、それじゃあ」

 そう言って、竹田は電話を切り、一輝はパソコンでの研究を再開する。

 何か聞いて見たらいいとは言われたものの、実際一輝は何を聞けばいいのかと思っていた。

 研修会に入らない理由?女流棋士にはなりたくないの?

 まずそこの壁に当たっていた。

「佐藤神田道場か……」

 そこで一輝はスマホを取り出し、誰かに電話をかけていた。

「おお、一輝か?どうした、次の研究会の日ならもう連絡しただろう」
「天馬、その研究会が終わった後にに少し行きたいところがあるし、お前や鎌田さん、村田君も一緒に来れるなら来てもらえるか?」
「何だ?いつも近くのコンビニの弁当で飽きたからなんかうまいもんでも食べたいのか?」
「そうじゃない、佐藤神田道場って知っているか?」

 一輝の問いに天馬が返答をする。

「行った事はないが、名前だけなら聞いたことがある。そこがどうしたんだ?」
「この間、ウイナビ女子の予選決勝まで進んだ佐藤梢子さんっていただろう」
「ああ、いたな」
「実は俺の高校のクラスメイトで、竹田先生が奨励会時代にお世話になった人の娘さんでもあるって」

 一輝の言葉を聞いて天馬は驚愕する。

「な、なんだって⁉そんな偶然あるのか?」
「ああ、まさか将棋を指しているなんて思いもしなかったな」
「まさかその佐藤神田道場に行くつもりなのか?それも俺達まで一緒に」
「ああ、そこの道場で特別指導対局をしてみるのもいいかなって確かめたいこともあるし」

 一輝の言葉に疑問を抱くもとりあえず、天馬は了承する。

「確かめたいこと?まあいいだけど一輝、そこの場所を借りて研究会をさせてもらうのも手じゃないか」
「そっか、そうだよな」
「そういう事ならお前がその道場に電話して場所の予約をしてくれ。クラスメイトなんだろ。終わったらまた連絡してくれ。じゃあな」

 そう言って天馬は一輝の電話を切った。

「あ、天馬、仕方ない。自分で言い出したことだからな」

 一輝の考えとは?
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