66 / 160
高校2年編
AIの囲い
しおりを挟む
ウイナビ女子1回戦、与田美咲女流二級と佐藤梢子アマの対局が行われようとしている時、別室で竹田義男九段、鎌田女流の解説が行われていた。
なにやら鎌田が竹田に質問をしているようだ。
「これから対局をするお2人についての印象はいかがでしょうか?」
「いや、私ね与田さんについてあまり存じてなかったので先程、研修会の幹事をやられてた方に連絡してみたんですよ」
「先生、いつの間にされてたんですか?それでなんとおっしゃていましたか?」
「元気の良い子だと話していましたね。将棋は元気すぎるのでもう少し落ち着いた方が良いとも言ってましたが」
竹田の一言で会場にわずかながらの笑いが生まれた。続けて鎌田が質問をしてみる。
「それでは、対局相手の佐藤アマについてはいかがでしょうか?」
「いや、私この方初めてなんですよ。私がというより、どうもこの大会が初出場のようですね」
「そうですね、アマチュアの大会に出場された経歴もなさそうですし」
「研修会にも所属してなさそうですし、まあ予備予選を勝ち抜いているので実力は確かでしょう」
予備予選には研修会員も多くエントリーしているため、その中を勝ち抜いていることから実力は確かだと竹田は言い放つ。そしてその佐藤アマの実力が分かる対局が始まろうとしている。
「それでは時間となりましたので与田女流二級の先手番でお願いします」
「よろしくお願いします」
対局が開始される。まずは美咲が7六歩と角道を開く。
それを見た佐藤梢子は3四歩と角道を開け、角を睨み合わせる。
すぐに美咲は6六歩と角交換を避ける為角道を閉じる。
それに対し、佐藤梢子は8四歩と飛車先の歩を突く。居飛車で戦うと宣言をする。
ここで美咲は6八に飛車を振り、四間飛車の形にする。
そこから互いに応手が続き、佐藤梢子は3二玉とする。
この様子を見て鎌田が竹田に尋ねている。
「ここは作戦の分岐点になりそうですが、いかがでしょうか?」
「まあ、持久戦にするなら3三角と上がり、急戦なら上手く右銀を繰り出していきたいですよね」
美咲は囲い優先とし、美濃囲いにするが、次に佐藤梢子は4二銀と上がる。
更に美咲は応手をするが、佐藤梢子は3一金とする。
この手に対し、鎌田が言葉を発する。
「先生、これはエルモ囲いですね」
「対振り急戦にはもってこいの囲いですね。将棋AIのelmoがこの囲いにしたことで有名になり、今やアマチュアの方も愛用する方が増えましたからね」
初出場のアマチュアが出してきたエルモ囲い。それに秘めし作戦とは?
なにやら鎌田が竹田に質問をしているようだ。
「これから対局をするお2人についての印象はいかがでしょうか?」
「いや、私ね与田さんについてあまり存じてなかったので先程、研修会の幹事をやられてた方に連絡してみたんですよ」
「先生、いつの間にされてたんですか?それでなんとおっしゃていましたか?」
「元気の良い子だと話していましたね。将棋は元気すぎるのでもう少し落ち着いた方が良いとも言ってましたが」
竹田の一言で会場にわずかながらの笑いが生まれた。続けて鎌田が質問をしてみる。
「それでは、対局相手の佐藤アマについてはいかがでしょうか?」
「いや、私この方初めてなんですよ。私がというより、どうもこの大会が初出場のようですね」
「そうですね、アマチュアの大会に出場された経歴もなさそうですし」
「研修会にも所属してなさそうですし、まあ予備予選を勝ち抜いているので実力は確かでしょう」
予備予選には研修会員も多くエントリーしているため、その中を勝ち抜いていることから実力は確かだと竹田は言い放つ。そしてその佐藤アマの実力が分かる対局が始まろうとしている。
「それでは時間となりましたので与田女流二級の先手番でお願いします」
「よろしくお願いします」
対局が開始される。まずは美咲が7六歩と角道を開く。
それを見た佐藤梢子は3四歩と角道を開け、角を睨み合わせる。
すぐに美咲は6六歩と角交換を避ける為角道を閉じる。
それに対し、佐藤梢子は8四歩と飛車先の歩を突く。居飛車で戦うと宣言をする。
ここで美咲は6八に飛車を振り、四間飛車の形にする。
そこから互いに応手が続き、佐藤梢子は3二玉とする。
この様子を見て鎌田が竹田に尋ねている。
「ここは作戦の分岐点になりそうですが、いかがでしょうか?」
「まあ、持久戦にするなら3三角と上がり、急戦なら上手く右銀を繰り出していきたいですよね」
美咲は囲い優先とし、美濃囲いにするが、次に佐藤梢子は4二銀と上がる。
更に美咲は応手をするが、佐藤梢子は3一金とする。
この手に対し、鎌田が言葉を発する。
「先生、これはエルモ囲いですね」
「対振り急戦にはもってこいの囲いですね。将棋AIのelmoがこの囲いにしたことで有名になり、今やアマチュアの方も愛用する方が増えましたからね」
初出場のアマチュアが出してきたエルモ囲い。それに秘めし作戦とは?
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
悪役夫婦が追放された日
奏白いずも
恋愛
「君との婚約を解消したい」侯爵令嬢リナローズは婚約者である王子ノルツから否定され続けてきた。しかしリナローズは申し出を断り、王位争いに敗れたノルツの追放が決まると、ともに追放地へ向かおうとする。
いずれ乙女ゲームの悪役夫婦となる二人の始まりの日。リナローズが語る想いとは…… 婚約破棄を断って一緒に追放されたけど、二人で幸せになるお話。
夫に相手にされない侯爵夫人ですが、記憶を失ったので人生やり直します。
MIRICO
恋愛
第二章【記憶を失った侯爵夫人ですが、夫と人生やり直します。】完結です。
記憶を失った私は侯爵夫人だった。しかし、旦那様とは不仲でほとんど話すこともなく、パーティに連れて行かれたのは結婚して数回ほど。それを聞いても何も思い出せないので、とりあえず記憶を失ったことは旦那様に内緒にしておいた。
旦那様は美形で凛とした顔の見目の良い方。けれどお城に泊まってばかりで、お屋敷にいてもほとんど顔を合わせない。いいんですよ、その間私は自由にできますから。
屋敷の生活は楽しく旦那様がいなくても何の問題もなかったけれど、ある日突然パーティに同伴することに。
旦那様が「わたし」をどう思っているのか、記憶を失った私にはどうでもいい。けれど、旦那様のお相手たちがやけに私に噛み付いてくる。
記憶がないのだから、私は旦那様のことはどうでもいいのよ?
それなのに、旦那様までもが私にかまってくる。旦那様は一体何がしたいのかしら…?
小説家になろう様に掲載済みです。
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~
藤森フクロウ
ファンタジー
相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。
悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。
そこには土下座する幼女女神がいた。
『ごめんなさあああい!!!』
最初っからギャン泣きクライマックス。
社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。
真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……
そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?
ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!
第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。
♦お知らせ♦
余りモノ異世界人の自由生活、コミックス3巻が発売しました!
漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。
よかったらお手に取っていただければ幸いです。
書籍のイラストは万冬しま先生が担当してくださっています。
7巻は6月17日に発送です。地域によって異なりますが、早ければ当日夕方、遅くても2~3日後に書店にお届けになるかと思います。
今回は夏休み帰郷編、ちょっとバトル入りです。
コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。
漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。
※基本予約投稿が多いです。
たまに失敗してトチ狂ったことになっています。
原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。
現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。
訳あり令息ですが女王の王配になり溺愛されて幸せに暮らしています。
尾道小町
恋愛
母は男爵令嬢ですが貧乏で公爵家に侍女として働いてました。
その母を公爵家の長男父が手を付けて僕を身籠ったのですが身分が
違うと結婚も認知もされず追い出され実家に戻りました。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる