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憂鬱な転生【カノンの場合】
3.ヒロインの光と影 3
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「あれ、お前――?」
「!」
自分の教室から出たところを急に声をかけられた。今度は、攻略対象の田村時雨だ。あの緑色の髪を覚えている。カノンは一瞬困惑した後、改めて自分はヒロインであると意識した。
――この時のセリフを思い出せ。
「えっと……、もしかして、昔お隣に住んでた時雨くん……かな?」
「ガキん時以来だなー。お前が噂の編入生かよ。ヴァイオリン始めたんだな? 親父さんの影響?」
「うん…! 時雨君この学校だったんだねっ。時雨君にまた会えるなんて嬉しい!」
田村時雨とは小さい頃、家が隣同士だった。だが小学校1年生の時、時雨の両親が離婚して引っ越してしまって、それからは連絡をとれていなかった。
そして彼は、新しい父親と母親の間にできた歳の離れた妹をすごくかわいがっている。これが舞宮カノンとしての記憶なのか、ゲームの設定からつくり上げた自分の妄想なのかはわからないけれど。
でも、このあと彼に対してどういう反応をすればいいのかは覚えている。
覚えていてくれて、嬉しくて恥ずかしい、という表情を浮かべる。ゲームの中のカノンの姿を思い浮かべて。
そんなカノンを見つめて時雨は、ふと不思議そうに目を瞬いた。
「……? お前、変わったな……?」
「え!? 変わったかなぁ、自分ではわかんないけど。時雨君は大きくなったねぇ」
「は、当たり前だろ」
「ふふっ」
やっぱりそうだ。イベントは記憶通り発生している。覚えのある通りに会話が進行できた。やっぱりここは記憶の中のゲームのなかだ。
カノンを演じることは、カノンの身体に残る記憶通り、思ったよりも容易くできた。でも、用意された舞台で自分の意思に関係なく、与えられた役を演じる。それはこれまでの自分自身の人生となにが違うんだろう。
そんなことが頭をかすめて、カノンは唇をかんだ。
「? 舞宮?」
「――あ、時雨君。良かったら昔話もかねて学園の中を案内してくれない?」
「かまわんけど…、なんかお前の後ろに他に案内したそうな奴らいねぇ?」
「ふふっ、そんなことないよ? ね、お願い!」
強引に時雨の腕をとる。可愛くて、自信のあるヒロインならではの行動だなと、どこか俯瞰で見下ろす自分に気が付いて、口元が自嘲に微かにゆがむのを感じた。
◇◇◇◇◇
「ただいまー」
「おかえりなさい! 学園はどうだった?」
パタパタと足音をたてて、優しい微笑みたたえた母親が出迎えてくれた。笑って帰りを迎えられることなんて、以前の自分の家ではなかったな、とカノンは心のなかで嘆息する。
以前の家では、母親の言いつけどおりの時間に帰っても、気鬱な表情をした母親はこちらを見ることもなかった。
「うん、素敵なところだった。あんなところで音楽の勉強ができるなんて夢みたい」
「そっか、よかったわね。きっとパパも喜んでるわよぉ。あとで仏壇にも報告しといてね」
「うん、わかった。出かけるの?」
「ちょっと出てくるね、今夜中には帰るから」
仕事から帰ってきたばかりであろう母親は、ワンピースを着てめかしこんでいた。ふわりとコロンが香る。四十手前、まして高校生の娘がいるようになんて到底見えないくらい、彼女は美しい。
「私のことはいいから、もうユウくんと結婚しちゃえばいいのに」
「うーん、まぁいいのよ。戸締りしっかりしてね~!」
ひらひらと手を振り母親を見送ると、自室のドアを開けた。後ろ手に閉めると今度こそ大きなため息をついた。
一呼吸おいて伏せていた目をあげると、薄暗い部屋のなか、ちょうど奥にある全身鏡に自分の姿が写っているのが目に入った。
しばし、鏡の中の少女の姿を見つめる。
――オレンジの色のふわふわとして、でもつやつやとした髪。整った造形の大きな瞳に長いまつげ、艶やかな肌に、すらりと長い手足。かつて欲しくて仕方なかったまるで物語の中のお姫様のような姿。
……物語の中の主人公には変わらないけれど。
カノンは皮肉めいた笑みを口元だけに浮かべた
しゅるり、とリボンを解いて、着替えをはじめる。
ゲームの進行を止められないなら、ヒロインらしく振舞ってやろう。そう思った。
かわいらしい見た目の舞宮カノンの身体をどうしていいかわからなかったけれど、今はそれもヒロインを演じるための、一種のコスプレのように思えた。
そうだ、舞宮カノンを演じきればいいのだ。それが自分に課せられた役割なのだろう。
この世界がヒロインの存在を必要としているなら、ゲームの終了、学園の卒業までは演じようと思う。
ゲームのなかでは音楽に関するパラメーター上げと同じく、教養というパラメーターがあった。恐らくそこは一般の授業のことを指す。
それぞれの評価のタイミングごとに、音楽に加え教養パラメーターも一定以上じゃないと、ゲームオーバーになる。せっかくこの学園に入学したのに、テストが悪くて留年や退学だなんて目も当てられない。
そして、それがなかったとしても、授業をないがしろにするのは、生来の性格からはばかられた。たとえ逐一口をだしてくるひとがいなくとも、親の庇護のもと、学費を払ってもらっているのだ。学生の義務は果たさねばならない。
問題は音楽のパラメーター。
以前の自分自身はヴァイオリンが好きだったし、小さい頃何年か教室に通わせてもらい、習っていたことがある。暗記は得意だったので、暗譜も苦にはならなかった。
だが小学生のときに、父の転勤が決まり、自分と母と祖父との暮らしが始まった。祖父は家のなかでヴァイオリンを演奏することを嫌ったので辞めざるを得なかった。
それから触れてさえいなかったのだから、人前で演奏をできるレベルなんかではない。
そしてカノンは父親に教えてもらっていたとはいえ、ほぼ全くの独学。ヴァイオリンの演奏はブローチの魔法の力頼みだった。
……それがゲームが終わった後、学園の卒業後まで続くなんて到底思えない。
ブローチのおかげで、この学園の中ではごく一般的なレベル、贔屓目にいって努力の天才としてうつったとしても、それは学園を離れたらきっとなくなってしまうだろう。
言うまでもなく学園の生徒たちは、何時間も何時間も、誰もが凄まじい練習量をこなしていた。例えるなら息をするように、食事を摂るように、日常の一部として、それが当たりまえだからと言わんばかりに。
何年も、何年もそうしてきた人達が、切磋琢磨し、そして更に自分自身を高めるために研鑽に励んでいる。
元々の自分は、音楽の教養なんて何も持ち合わせてないのだから。ゲームの作為を離れたら、途端に化けの皮がはがれてしまうだろう。
それが怖いから、卒業した後に音楽の道に進みたいとは到底思えない。
――でもこんな風に堂々とヴァイオリンを奏でることが出来る日がくるなんて思ってなかった…。それだけは、良かったかなぁ……。
元々の自分は趣味らしい趣味なんてもったことがなかった。母親に言われたことをこなすことを、母親の怒りに触れないようにすることを第一に考えて生きてきてしまった。
このままじゃダメだろうなとは、ぼんやり思っていたけれど、28歳になってもなにか行動することはできなかった。
そんななか、憧れていた大好きなヴァイオリンを思うままに弾くことができる現在は、本当に楽しかった。
ヴァイオリンを弾いている時だけは、もともとの自分のことも、このゲームのことも忘れて何時間でも没頭できる。どれだけの時間そうしていても、全く苦にならない。
――このゲームが終わるまで。この学園を卒業するまで、ヒロインらしくふるまっていよう。
このゲームは一年間。そして学園を卒業するまでの二年間が終われば、この世界で舞宮カノンとして、もともとの自分自身のことを忘れて、生きていきたい。
カノンはヴァイオリンのケースを愛おしげに撫でると、ブローチをドレッサーの上に置いた。手元の柔らかいハンカチで汚れを拭ったあと、ケースの中に大切にしまう。そうしてから部屋を出て行った。
「!」
自分の教室から出たところを急に声をかけられた。今度は、攻略対象の田村時雨だ。あの緑色の髪を覚えている。カノンは一瞬困惑した後、改めて自分はヒロインであると意識した。
――この時のセリフを思い出せ。
「えっと……、もしかして、昔お隣に住んでた時雨くん……かな?」
「ガキん時以来だなー。お前が噂の編入生かよ。ヴァイオリン始めたんだな? 親父さんの影響?」
「うん…! 時雨君この学校だったんだねっ。時雨君にまた会えるなんて嬉しい!」
田村時雨とは小さい頃、家が隣同士だった。だが小学校1年生の時、時雨の両親が離婚して引っ越してしまって、それからは連絡をとれていなかった。
そして彼は、新しい父親と母親の間にできた歳の離れた妹をすごくかわいがっている。これが舞宮カノンとしての記憶なのか、ゲームの設定からつくり上げた自分の妄想なのかはわからないけれど。
でも、このあと彼に対してどういう反応をすればいいのかは覚えている。
覚えていてくれて、嬉しくて恥ずかしい、という表情を浮かべる。ゲームの中のカノンの姿を思い浮かべて。
そんなカノンを見つめて時雨は、ふと不思議そうに目を瞬いた。
「……? お前、変わったな……?」
「え!? 変わったかなぁ、自分ではわかんないけど。時雨君は大きくなったねぇ」
「は、当たり前だろ」
「ふふっ」
やっぱりそうだ。イベントは記憶通り発生している。覚えのある通りに会話が進行できた。やっぱりここは記憶の中のゲームのなかだ。
カノンを演じることは、カノンの身体に残る記憶通り、思ったよりも容易くできた。でも、用意された舞台で自分の意思に関係なく、与えられた役を演じる。それはこれまでの自分自身の人生となにが違うんだろう。
そんなことが頭をかすめて、カノンは唇をかんだ。
「? 舞宮?」
「――あ、時雨君。良かったら昔話もかねて学園の中を案内してくれない?」
「かまわんけど…、なんかお前の後ろに他に案内したそうな奴らいねぇ?」
「ふふっ、そんなことないよ? ね、お願い!」
強引に時雨の腕をとる。可愛くて、自信のあるヒロインならではの行動だなと、どこか俯瞰で見下ろす自分に気が付いて、口元が自嘲に微かにゆがむのを感じた。
◇◇◇◇◇
「ただいまー」
「おかえりなさい! 学園はどうだった?」
パタパタと足音をたてて、優しい微笑みたたえた母親が出迎えてくれた。笑って帰りを迎えられることなんて、以前の自分の家ではなかったな、とカノンは心のなかで嘆息する。
以前の家では、母親の言いつけどおりの時間に帰っても、気鬱な表情をした母親はこちらを見ることもなかった。
「うん、素敵なところだった。あんなところで音楽の勉強ができるなんて夢みたい」
「そっか、よかったわね。きっとパパも喜んでるわよぉ。あとで仏壇にも報告しといてね」
「うん、わかった。出かけるの?」
「ちょっと出てくるね、今夜中には帰るから」
仕事から帰ってきたばかりであろう母親は、ワンピースを着てめかしこんでいた。ふわりとコロンが香る。四十手前、まして高校生の娘がいるようになんて到底見えないくらい、彼女は美しい。
「私のことはいいから、もうユウくんと結婚しちゃえばいいのに」
「うーん、まぁいいのよ。戸締りしっかりしてね~!」
ひらひらと手を振り母親を見送ると、自室のドアを開けた。後ろ手に閉めると今度こそ大きなため息をついた。
一呼吸おいて伏せていた目をあげると、薄暗い部屋のなか、ちょうど奥にある全身鏡に自分の姿が写っているのが目に入った。
しばし、鏡の中の少女の姿を見つめる。
――オレンジの色のふわふわとして、でもつやつやとした髪。整った造形の大きな瞳に長いまつげ、艶やかな肌に、すらりと長い手足。かつて欲しくて仕方なかったまるで物語の中のお姫様のような姿。
……物語の中の主人公には変わらないけれど。
カノンは皮肉めいた笑みを口元だけに浮かべた
しゅるり、とリボンを解いて、着替えをはじめる。
ゲームの進行を止められないなら、ヒロインらしく振舞ってやろう。そう思った。
かわいらしい見た目の舞宮カノンの身体をどうしていいかわからなかったけれど、今はそれもヒロインを演じるための、一種のコスプレのように思えた。
そうだ、舞宮カノンを演じきればいいのだ。それが自分に課せられた役割なのだろう。
この世界がヒロインの存在を必要としているなら、ゲームの終了、学園の卒業までは演じようと思う。
ゲームのなかでは音楽に関するパラメーター上げと同じく、教養というパラメーターがあった。恐らくそこは一般の授業のことを指す。
それぞれの評価のタイミングごとに、音楽に加え教養パラメーターも一定以上じゃないと、ゲームオーバーになる。せっかくこの学園に入学したのに、テストが悪くて留年や退学だなんて目も当てられない。
そして、それがなかったとしても、授業をないがしろにするのは、生来の性格からはばかられた。たとえ逐一口をだしてくるひとがいなくとも、親の庇護のもと、学費を払ってもらっているのだ。学生の義務は果たさねばならない。
問題は音楽のパラメーター。
以前の自分自身はヴァイオリンが好きだったし、小さい頃何年か教室に通わせてもらい、習っていたことがある。暗記は得意だったので、暗譜も苦にはならなかった。
だが小学生のときに、父の転勤が決まり、自分と母と祖父との暮らしが始まった。祖父は家のなかでヴァイオリンを演奏することを嫌ったので辞めざるを得なかった。
それから触れてさえいなかったのだから、人前で演奏をできるレベルなんかではない。
そしてカノンは父親に教えてもらっていたとはいえ、ほぼ全くの独学。ヴァイオリンの演奏はブローチの魔法の力頼みだった。
……それがゲームが終わった後、学園の卒業後まで続くなんて到底思えない。
ブローチのおかげで、この学園の中ではごく一般的なレベル、贔屓目にいって努力の天才としてうつったとしても、それは学園を離れたらきっとなくなってしまうだろう。
言うまでもなく学園の生徒たちは、何時間も何時間も、誰もが凄まじい練習量をこなしていた。例えるなら息をするように、食事を摂るように、日常の一部として、それが当たりまえだからと言わんばかりに。
何年も、何年もそうしてきた人達が、切磋琢磨し、そして更に自分自身を高めるために研鑽に励んでいる。
元々の自分は、音楽の教養なんて何も持ち合わせてないのだから。ゲームの作為を離れたら、途端に化けの皮がはがれてしまうだろう。
それが怖いから、卒業した後に音楽の道に進みたいとは到底思えない。
――でもこんな風に堂々とヴァイオリンを奏でることが出来る日がくるなんて思ってなかった…。それだけは、良かったかなぁ……。
元々の自分は趣味らしい趣味なんてもったことがなかった。母親に言われたことをこなすことを、母親の怒りに触れないようにすることを第一に考えて生きてきてしまった。
このままじゃダメだろうなとは、ぼんやり思っていたけれど、28歳になってもなにか行動することはできなかった。
そんななか、憧れていた大好きなヴァイオリンを思うままに弾くことができる現在は、本当に楽しかった。
ヴァイオリンを弾いている時だけは、もともとの自分のことも、このゲームのことも忘れて何時間でも没頭できる。どれだけの時間そうしていても、全く苦にならない。
――このゲームが終わるまで。この学園を卒業するまで、ヒロインらしくふるまっていよう。
このゲームは一年間。そして学園を卒業するまでの二年間が終われば、この世界で舞宮カノンとして、もともとの自分自身のことを忘れて、生きていきたい。
カノンはヴァイオリンのケースを愛おしげに撫でると、ブローチをドレッサーの上に置いた。手元の柔らかいハンカチで汚れを拭ったあと、ケースの中に大切にしまう。そうしてから部屋を出て行った。
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