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地を這う人生
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「キモいんだよ! このデブ!」
「この人、痴漢です!」
ヒトを陥れる言の葉なんてのは様々ある。それこそ挙げ出せばキリがない。こんな罵倒は耳たこな程に言われ続けた。
-ルックスハラスメント-略して、ルクハラ。
この俺、羽原木隆一この世界に対し、常日頃思う造語だ。
そう、何をかくそう俺は容姿的に下の中の最下層にあたる。おまけに肥満体型ときた。
悪口で言うならデブだ。
羽原木家の遺伝らしい。父親がちゃちな椅子に座れば脚の部分が折れるほどのデブ。母親はそこまでいかないにしてもぽっちゃり位はある。
一人っ子だから余計に甘やかされた。食べたいモノも、欲しいモノも、せがめば手に入った。子供の頃は、皆が持ってない物を持っているというだけで英雄扱いされた。
最新のゲーム、高価なマウンテンバイク、マンガ
それらを使って友達と遊べた時は楽しかった。それも通用したのは中学くらいまでだった。高校生になると皆、色気づき始めた。所謂、『青春モード』ってヤツだ。
前までは俺の方から聞かなくても「今日、お前ん家で遊ぼう」って言ってきたのに今では
「今日、遊べるか」
「ごめん、部活あるから。お前もなんかやったら」
会話なんてのはこれだけになってしまった。
それからだ。一人で過ごす時間が増えたのは。
前まで一人で過ごしたい時間を確保する事さえ難かったのが、今となっては懐かしく思える。寧ろ『あの時間に戻りたい』と思うようになった。
そんなことは出来ないという現実も分かっている。
だからこうして、一人になってしまった今は読みたかった小説を読んでいる。
けれど時間はさほど進まない。それは『読む』という行いが『読書』ではなく『抵抗』になってしまっているからだ。
一人の時間が増えた当初はまだ良かったさ。孤独の事実を忘れて小説に没頭出来たから。
あのとき、聞いてしまった真実があまりにショックだったんだ。その日から『抵抗・反抗』に変わってしまったんだ。
===============
時は遡ること半刻ほど前。
隆一は読んでいたライトノベルの結末がどうなるのか気になり、帰りのホームルームが終わるや足早に教室を後にした。
教科書類は持って帰ったためしが無い。その理由は『忘れ物対策』だ。
…訂正。実のところはカバンに入れるという行為が面倒なだけだ。
まぁそんなこんなで身体的にはともかく身軽だ。
軽快なリズムを刻みながら階段を降りていた時に話し声が聞こえてきた。根岸陽と城地広宣だ。この二人は遊んでいたヤツらの中でも一際仲が良かった。
隆一は咄嗟に足を止めた。
「またあいつから誘われた」
「マジ? もう言ってやれよ。「モノがあったから遊んでやっただけだ」って」
「うーん。それが良いかもな。あいつ、見た目も体も化け物なのにボスみたいな態度でムカつくんだよな。遊んでやった身にもなれって」
「ほんとそれ。お前は王様か?って話だよな。ゲームで遊べば自分の得意な格闘ゲームばかりやらせるし。そのゲームでこっちが勝てば「そのキャラ禁止」とか訳分からん俺様ルール造りやがるし。こっちはスポーツ系がやりたかったのにな。たまにしかやらしてくれんかったし。あー、思い出したら腹立ってきた。もうあいつの誘いは断るわ」
「それが良いんじゃね? もうこの話止めよーぜ。それよりどうなんだよ? 聞いたぜ? サッカー部のマネージャーから告られたって。まぁ、お前はクラス一のイケメンで更に人気もあるからな。予想はしてたけどな。そんなのがサッカー部入ったらファンも増えるだろ」
「まぁな。とりあえず、今は大会あるからそこに向けて特訓だな。色恋は考えられん。余裕ないわ」
「もろもろ終わったら?」
「ご想像にお任せします」
二人の声は、徐々に隆一自身との距離を感じさせるかのように遠くなっていった。
ショックだった。
そんな風に思われていたという事実より、面と向かって言ってこないコトに。怒ってくれないことに。こいつらなら腹割って話せると思っていたのに。
怒ってくれる人がいなかった。怒って欲しかった。両親は一人っ子ということもあってか「次、頑張ろうね」としか言わない。まさに『腫れ物に障るな』状態だ。
もういい。
誰も信じれないから話さない。
孤独でいい。
諦観と不信が、隆一の精神を支配した。
モウ、ナニモイラナイ。
願って叶うなら、もう一度『あの頃』をやり直したい。
叶わない願い。それはこれからも。#時間遡行__タイムスリップ_#の技術が確立されない限り。
「ただいま」
帰宅した隆一は落ち込んだ口調で言った。
「あら、おかえり。どこか悪いの?隆ちゃん」
「大丈夫だよ。でも、もうさ。高校生なんだからちゃん付けは止めて」
「そう。分かったわ」
「あとさ、食欲無いからご飯要らないから」
「うん、分かったよ。食べたくなったら言ってね」
「うん」
会話を交わし、自身の部屋がある二階へ上がっていった。
机にカバンを置き、そのままベッドに自らを投げ出した。空虚だ。今の自身の状況を言うならこの言葉しか当て嵌まらない。
何をしよう。いや、何をしていても先ほど自身が友と思っていた二人の会話が脳内再生される。
読書をしようにも脳内再生が邪魔で集中に欠ける。
ゲームなんてもっての外だ。遊んでいた光景が幻覚となるのだから。
自身の部屋にもいたくない。そう思った隆一は階段を駆け下りた。
「ちょっと出かけてくる!部屋にあるゲーム類隠して!もうやらないから!」
「隆一!?」
母がまだ何か言っていたが外に出、ドアを乱暴に閉めて遮った。
小雨が降っていた。気にも止めずトボトボと歩き出した。その目的も無いままに。
しばらく歩くと、幼少の頃によく遊んでいた公園へと着いた。敷きつめるように粛々と降っていた雨はとうに止んでいた。
………そういえば、昔は家で遊ぶより外で遊んでいたな。
今まで頭の中を過りすらしなかった光景が鮮明に蘇った。
そして…、自身を無理矢理にでも納得させる為に『ルックスハラスメント』という造語を作った。
ここからだ。地を這うような人生がハジマッタのは。
===============
時は更に進み、隆一は高校を孤独を抱えたまま卒業した。
自身のことを知る者がいないところへ行きたいと派遣社員という立場ではあるが『仕事をする』道を歩み出した。甘やかされ続けた環境から脱却するため、ひとり暮らしも始めた。
仕事場までは、自転車を使えば難なく通える範囲だったから送迎も用意されていたけど自転車で通うことにした。なるたけ、人との接点を減らしたいのとプラス、ダイエットも兼ねている。
少しでも体つきが変われば周囲の見方も変わるだろうと淡い期待をしつつ、今まで怠けていた分『努力』という行いを始めることにした。
自転車で通っているから既にサイクリングはやっているということにしよう。あとは食事面だ。
隆一は、『ダイエット』に関する情報を片っ端から調べ、それをプリンターで印刷し一つずつ実践することにした。朝の食事をバナナだけで済ます『朝バナナダイエット』、食事を始める前にヨーグルトを食べる『ヨーグルトダイエット』、食事の時にコップ一杯の水を飲む『水ダイエット』
とにかく、一週間ごとにありとあらゆるダイエットを試した。
が、結果は伴わなかった。1年、痩せたい一心で頑張ったのに3㎏しか減らなかったのだ。
愕然とした。自身が行った努力に対し、結果が芳しくないことに。
…何故…? あそこまでやってこれだけ。
頭の中で諦めの文字が横切る。
「この人、痴漢です!」
ヒトを陥れる言の葉なんてのは様々ある。それこそ挙げ出せばキリがない。こんな罵倒は耳たこな程に言われ続けた。
-ルックスハラスメント-略して、ルクハラ。
この俺、羽原木隆一この世界に対し、常日頃思う造語だ。
そう、何をかくそう俺は容姿的に下の中の最下層にあたる。おまけに肥満体型ときた。
悪口で言うならデブだ。
羽原木家の遺伝らしい。父親がちゃちな椅子に座れば脚の部分が折れるほどのデブ。母親はそこまでいかないにしてもぽっちゃり位はある。
一人っ子だから余計に甘やかされた。食べたいモノも、欲しいモノも、せがめば手に入った。子供の頃は、皆が持ってない物を持っているというだけで英雄扱いされた。
最新のゲーム、高価なマウンテンバイク、マンガ
それらを使って友達と遊べた時は楽しかった。それも通用したのは中学くらいまでだった。高校生になると皆、色気づき始めた。所謂、『青春モード』ってヤツだ。
前までは俺の方から聞かなくても「今日、お前ん家で遊ぼう」って言ってきたのに今では
「今日、遊べるか」
「ごめん、部活あるから。お前もなんかやったら」
会話なんてのはこれだけになってしまった。
それからだ。一人で過ごす時間が増えたのは。
前まで一人で過ごしたい時間を確保する事さえ難かったのが、今となっては懐かしく思える。寧ろ『あの時間に戻りたい』と思うようになった。
そんなことは出来ないという現実も分かっている。
だからこうして、一人になってしまった今は読みたかった小説を読んでいる。
けれど時間はさほど進まない。それは『読む』という行いが『読書』ではなく『抵抗』になってしまっているからだ。
一人の時間が増えた当初はまだ良かったさ。孤独の事実を忘れて小説に没頭出来たから。
あのとき、聞いてしまった真実があまりにショックだったんだ。その日から『抵抗・反抗』に変わってしまったんだ。
===============
時は遡ること半刻ほど前。
隆一は読んでいたライトノベルの結末がどうなるのか気になり、帰りのホームルームが終わるや足早に教室を後にした。
教科書類は持って帰ったためしが無い。その理由は『忘れ物対策』だ。
…訂正。実のところはカバンに入れるという行為が面倒なだけだ。
まぁそんなこんなで身体的にはともかく身軽だ。
軽快なリズムを刻みながら階段を降りていた時に話し声が聞こえてきた。根岸陽と城地広宣だ。この二人は遊んでいたヤツらの中でも一際仲が良かった。
隆一は咄嗟に足を止めた。
「またあいつから誘われた」
「マジ? もう言ってやれよ。「モノがあったから遊んでやっただけだ」って」
「うーん。それが良いかもな。あいつ、見た目も体も化け物なのにボスみたいな態度でムカつくんだよな。遊んでやった身にもなれって」
「ほんとそれ。お前は王様か?って話だよな。ゲームで遊べば自分の得意な格闘ゲームばかりやらせるし。そのゲームでこっちが勝てば「そのキャラ禁止」とか訳分からん俺様ルール造りやがるし。こっちはスポーツ系がやりたかったのにな。たまにしかやらしてくれんかったし。あー、思い出したら腹立ってきた。もうあいつの誘いは断るわ」
「それが良いんじゃね? もうこの話止めよーぜ。それよりどうなんだよ? 聞いたぜ? サッカー部のマネージャーから告られたって。まぁ、お前はクラス一のイケメンで更に人気もあるからな。予想はしてたけどな。そんなのがサッカー部入ったらファンも増えるだろ」
「まぁな。とりあえず、今は大会あるからそこに向けて特訓だな。色恋は考えられん。余裕ないわ」
「もろもろ終わったら?」
「ご想像にお任せします」
二人の声は、徐々に隆一自身との距離を感じさせるかのように遠くなっていった。
ショックだった。
そんな風に思われていたという事実より、面と向かって言ってこないコトに。怒ってくれないことに。こいつらなら腹割って話せると思っていたのに。
怒ってくれる人がいなかった。怒って欲しかった。両親は一人っ子ということもあってか「次、頑張ろうね」としか言わない。まさに『腫れ物に障るな』状態だ。
もういい。
誰も信じれないから話さない。
孤独でいい。
諦観と不信が、隆一の精神を支配した。
モウ、ナニモイラナイ。
願って叶うなら、もう一度『あの頃』をやり直したい。
叶わない願い。それはこれからも。#時間遡行__タイムスリップ_#の技術が確立されない限り。
「ただいま」
帰宅した隆一は落ち込んだ口調で言った。
「あら、おかえり。どこか悪いの?隆ちゃん」
「大丈夫だよ。でも、もうさ。高校生なんだからちゃん付けは止めて」
「そう。分かったわ」
「あとさ、食欲無いからご飯要らないから」
「うん、分かったよ。食べたくなったら言ってね」
「うん」
会話を交わし、自身の部屋がある二階へ上がっていった。
机にカバンを置き、そのままベッドに自らを投げ出した。空虚だ。今の自身の状況を言うならこの言葉しか当て嵌まらない。
何をしよう。いや、何をしていても先ほど自身が友と思っていた二人の会話が脳内再生される。
読書をしようにも脳内再生が邪魔で集中に欠ける。
ゲームなんてもっての外だ。遊んでいた光景が幻覚となるのだから。
自身の部屋にもいたくない。そう思った隆一は階段を駆け下りた。
「ちょっと出かけてくる!部屋にあるゲーム類隠して!もうやらないから!」
「隆一!?」
母がまだ何か言っていたが外に出、ドアを乱暴に閉めて遮った。
小雨が降っていた。気にも止めずトボトボと歩き出した。その目的も無いままに。
しばらく歩くと、幼少の頃によく遊んでいた公園へと着いた。敷きつめるように粛々と降っていた雨はとうに止んでいた。
………そういえば、昔は家で遊ぶより外で遊んでいたな。
今まで頭の中を過りすらしなかった光景が鮮明に蘇った。
そして…、自身を無理矢理にでも納得させる為に『ルックスハラスメント』という造語を作った。
ここからだ。地を這うような人生がハジマッタのは。
===============
時は更に進み、隆一は高校を孤独を抱えたまま卒業した。
自身のことを知る者がいないところへ行きたいと派遣社員という立場ではあるが『仕事をする』道を歩み出した。甘やかされ続けた環境から脱却するため、ひとり暮らしも始めた。
仕事場までは、自転車を使えば難なく通える範囲だったから送迎も用意されていたけど自転車で通うことにした。なるたけ、人との接点を減らしたいのとプラス、ダイエットも兼ねている。
少しでも体つきが変われば周囲の見方も変わるだろうと淡い期待をしつつ、今まで怠けていた分『努力』という行いを始めることにした。
自転車で通っているから既にサイクリングはやっているということにしよう。あとは食事面だ。
隆一は、『ダイエット』に関する情報を片っ端から調べ、それをプリンターで印刷し一つずつ実践することにした。朝の食事をバナナだけで済ます『朝バナナダイエット』、食事を始める前にヨーグルトを食べる『ヨーグルトダイエット』、食事の時にコップ一杯の水を飲む『水ダイエット』
とにかく、一週間ごとにありとあらゆるダイエットを試した。
が、結果は伴わなかった。1年、痩せたい一心で頑張ったのに3㎏しか減らなかったのだ。
愕然とした。自身が行った努力に対し、結果が芳しくないことに。
…何故…? あそこまでやってこれだけ。
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