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対策編
11,マインドフルネス瞑想
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これまで紹介してきた三つの対策は、所謂、先行刺激の排除に関する対策になります。よって、これらはポルノ依存症の原因となっている報酬系には直接介入しない対策であると言えます。本稿第6章において述べていますが、根本的なポルノ依存症の克服のためには、
①刺激に対する扁桃体の活性化の抑制
②扁桃体による報酬学習の解除
③執行統制を司る前頭前野の強化
という以上三つの要素を有した対策を実施することが有効であり、必要です。したがって、この三つの要素を兼ね備えた対策はないのか、という話になるのですが、あります。それは、これから述べるマインドフルネス瞑想です。マインドフルネス瞑想自体は、数年前に流行し、人口に膾炙している行法であると思うので、ここでは少々の解説をするだけに留めておきましょう。
マインドフルネス瞑想とは、上座部仏教においてヴィパッサナー瞑想と呼ばれている瞑想法から可能な限り仏教色を取り除いた瞑想法です。グーグルやフェイスブック等のビッグテックで積極的に取り入れられている、ある意味では、実績豊かな瞑想法と言えるでしょう。一般的には呼吸に意識を向ける瞑想法や、自分を含めた全ての存在を慈しむ慈悲の瞑想が行われています。しかし、後者の慈悲の瞑想に関しては、実に胡散臭いものだと思われ、或いはなんかスピってそうという感想を持つ読者も居られるかと思います。筆者も同じく、慈悲の瞑想の有するある種のスピリチュアルな感じには、とてもとても耐え難い。ですので、我々がポルノ依存症克服のために行うのは、基本的には呼吸に意識を向ける瞑想のみで良いです。
そんなマインドフルネス瞑想についてですが、この瞑想の訓練を一万時間以上積んだ仏教僧の脳は、瞑想の訓練を受けていない一般人の脳よりも前頭前野が大きかったことや、また、一般人の扁桃体が反応する様な女性の悲鳴の音声を聞いても、仏教僧の扁桃体は活性化しなかったといったことなどが、報告されています。これらの事実から昨今研究が進められ、マインドフルネス瞑想には扁桃体の活動を抑制し、かつ前頭前野の働きを強化するという効果が認められました。また、マインドフルネス瞑想は、気づきを育てる瞑想、即ち、現象に対する察知能力を鍛錬する修行でもあります。よって、これを行うことにより、いち早くトリガーの存在や、或いは自分がトリガーに感作されたことに気が付ける様になることも、期待できます。つまり、トリガーによる自動操縦モードの惹起を抑制できる可能性がある、という訳です。これはMBRP(Mindfulness-Based Relapse Prevention)という名前で、正式な依存症の治療法にもなっています。
以上のことから、マインドフルネス瞑想は、ポルノ依存症克服のための対策における二つの要件を満たしている実に、我々にとっては、理想の「修行法」と言えると筆者は考えます。ポルノ依存症患者は、こういった観点から、マインドフルネス瞑想を須らく行うべきであると、強くお勧めしたい……のですが、その反面、瞑想の研究においてはその副作用に関する探求は進んでいない。これを行うことによって、精神疾患患者の症状増悪や、抑うつ、憂鬱、瞑想への依存といった、所謂、禅病が生じてしまったという報告もあります。よって、行われる際は、過度にこれを行うのではなく、適度に行われることを、お勧めします。一応、筆者は禅病の対策として、マインドフルネス瞑想とは別に、チャルーン・サティ(手動瞑想)という瞑想も行っています。これに関しては動画で見ていただいた方が理解しやすいと思うので、各自、YouTubeでチャルーン・サティを検索して動画を参照してください。その際には日本人の僧侶であるプラユキ・ナラテボー師の動画が恐らく最も参考になるでしょう。
では、ここから肝心のマインドフルネス瞑想の方法を示します。けれども、以下の方法はマインドフルネス瞑想の手順を非常に簡略化したものです。そのため、正式な手順が気になる方は、参考文献に挙げている『ヴィパッサナー瞑想の教科書』等の関連書籍を参考にしてください。
・呼吸瞑想(マインドフルネス瞑想、またの名をアーナパーナサティ)
①半跏趺坐でも結跏趺坐でも椅子に座ってでも良いので、背筋を軽く伸ばして、椅子に座る際は背もたれから離して、座る。
②身体の感覚に、一切の価値判断を交えずに意識を向ける。
③呼吸に意識を向ける。この際にも一切の価値判断を交えない。
④雑念が浮かんだら、それを認識して注意を呼吸に戻す。この際にも一切の価値判断を交えない。
⑤これを大体5~10分程行う。
以上が、マインドフルネス瞑想の手順となります。効果を得るためには、出来るだけ毎日行われた方が良いでしょう。
さて、マインドフルネス瞑想を行うことは良いとして、我々には、実際にトリガーや他の刺激に感作された場合の対抗手段が必要となります。そんな時には、悠長に呼吸に意識を五分から十分程度向けることなど、恐らく不可能に近いでしょう。このため、マインドフルネス瞑想を実地にポルノ依存症に対して活かす手段として、RAINという技法があります。以下に示します。
・RAIN
①Recognize:自分に起こっていることを認識する。(あっ、自分今トリガーされているな…)
②Accept:それを受け入れる。(人間だからエロいものに反応するのは仕方がない。)
③Investigate:検証(調査)する。(今、自分の身体に何が起こっているのかを調べる。例えば、心臓の鼓動が早い、など)
④Note:その時に起きていることを簡単に言葉にする。(今、心臓の鼓動が早いな。)
RAINを用いた禁煙プログラムでは、通常の禁煙プログラムの五倍もの効果が認められたそうです。これをポルノ依存症克服に利用しない手はないでしょう。トリガーに感作された際や、激しい渇望が襲ってきた際には、是非これを活用してください。RAINを行うのに慣れれば、幾分、渇望への対処が楽になります。
①刺激に対する扁桃体の活性化の抑制
②扁桃体による報酬学習の解除
③執行統制を司る前頭前野の強化
という以上三つの要素を有した対策を実施することが有効であり、必要です。したがって、この三つの要素を兼ね備えた対策はないのか、という話になるのですが、あります。それは、これから述べるマインドフルネス瞑想です。マインドフルネス瞑想自体は、数年前に流行し、人口に膾炙している行法であると思うので、ここでは少々の解説をするだけに留めておきましょう。
マインドフルネス瞑想とは、上座部仏教においてヴィパッサナー瞑想と呼ばれている瞑想法から可能な限り仏教色を取り除いた瞑想法です。グーグルやフェイスブック等のビッグテックで積極的に取り入れられている、ある意味では、実績豊かな瞑想法と言えるでしょう。一般的には呼吸に意識を向ける瞑想法や、自分を含めた全ての存在を慈しむ慈悲の瞑想が行われています。しかし、後者の慈悲の瞑想に関しては、実に胡散臭いものだと思われ、或いはなんかスピってそうという感想を持つ読者も居られるかと思います。筆者も同じく、慈悲の瞑想の有するある種のスピリチュアルな感じには、とてもとても耐え難い。ですので、我々がポルノ依存症克服のために行うのは、基本的には呼吸に意識を向ける瞑想のみで良いです。
そんなマインドフルネス瞑想についてですが、この瞑想の訓練を一万時間以上積んだ仏教僧の脳は、瞑想の訓練を受けていない一般人の脳よりも前頭前野が大きかったことや、また、一般人の扁桃体が反応する様な女性の悲鳴の音声を聞いても、仏教僧の扁桃体は活性化しなかったといったことなどが、報告されています。これらの事実から昨今研究が進められ、マインドフルネス瞑想には扁桃体の活動を抑制し、かつ前頭前野の働きを強化するという効果が認められました。また、マインドフルネス瞑想は、気づきを育てる瞑想、即ち、現象に対する察知能力を鍛錬する修行でもあります。よって、これを行うことにより、いち早くトリガーの存在や、或いは自分がトリガーに感作されたことに気が付ける様になることも、期待できます。つまり、トリガーによる自動操縦モードの惹起を抑制できる可能性がある、という訳です。これはMBRP(Mindfulness-Based Relapse Prevention)という名前で、正式な依存症の治療法にもなっています。
以上のことから、マインドフルネス瞑想は、ポルノ依存症克服のための対策における二つの要件を満たしている実に、我々にとっては、理想の「修行法」と言えると筆者は考えます。ポルノ依存症患者は、こういった観点から、マインドフルネス瞑想を須らく行うべきであると、強くお勧めしたい……のですが、その反面、瞑想の研究においてはその副作用に関する探求は進んでいない。これを行うことによって、精神疾患患者の症状増悪や、抑うつ、憂鬱、瞑想への依存といった、所謂、禅病が生じてしまったという報告もあります。よって、行われる際は、過度にこれを行うのではなく、適度に行われることを、お勧めします。一応、筆者は禅病の対策として、マインドフルネス瞑想とは別に、チャルーン・サティ(手動瞑想)という瞑想も行っています。これに関しては動画で見ていただいた方が理解しやすいと思うので、各自、YouTubeでチャルーン・サティを検索して動画を参照してください。その際には日本人の僧侶であるプラユキ・ナラテボー師の動画が恐らく最も参考になるでしょう。
では、ここから肝心のマインドフルネス瞑想の方法を示します。けれども、以下の方法はマインドフルネス瞑想の手順を非常に簡略化したものです。そのため、正式な手順が気になる方は、参考文献に挙げている『ヴィパッサナー瞑想の教科書』等の関連書籍を参考にしてください。
・呼吸瞑想(マインドフルネス瞑想、またの名をアーナパーナサティ)
①半跏趺坐でも結跏趺坐でも椅子に座ってでも良いので、背筋を軽く伸ばして、椅子に座る際は背もたれから離して、座る。
②身体の感覚に、一切の価値判断を交えずに意識を向ける。
③呼吸に意識を向ける。この際にも一切の価値判断を交えない。
④雑念が浮かんだら、それを認識して注意を呼吸に戻す。この際にも一切の価値判断を交えない。
⑤これを大体5~10分程行う。
以上が、マインドフルネス瞑想の手順となります。効果を得るためには、出来るだけ毎日行われた方が良いでしょう。
さて、マインドフルネス瞑想を行うことは良いとして、我々には、実際にトリガーや他の刺激に感作された場合の対抗手段が必要となります。そんな時には、悠長に呼吸に意識を五分から十分程度向けることなど、恐らく不可能に近いでしょう。このため、マインドフルネス瞑想を実地にポルノ依存症に対して活かす手段として、RAINという技法があります。以下に示します。
・RAIN
①Recognize:自分に起こっていることを認識する。(あっ、自分今トリガーされているな…)
②Accept:それを受け入れる。(人間だからエロいものに反応するのは仕方がない。)
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④Note:その時に起きていることを簡単に言葉にする。(今、心臓の鼓動が早いな。)
RAINを用いた禁煙プログラムでは、通常の禁煙プログラムの五倍もの効果が認められたそうです。これをポルノ依存症克服に利用しない手はないでしょう。トリガーに感作された際や、激しい渇望が襲ってきた際には、是非これを活用してください。RAINを行うのに慣れれば、幾分、渇望への対処が楽になります。
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