上 下
78 / 82
ススム編、第二章。《Lv255の赤ちゃんギルド》

66《モテるのって辛いんだ……》

しおりを挟む

よくよく考えて見れば……俺ってば、失敗したよなぁ。

「なぁ、なんであいつら……次から次に、他ギルドに襲いかかってんだ?」

相も変わらずひなりの胸の中、ひょこっと顔を出し尋ねる。

「オスという生き物はこんなものじゃと思っておったのじゃが? 確かに言われてみれば……何故なんじゃろう?」

いや、聞いてんのは俺なんだけど……質問に質問で返されたら、どう返していいか困るっての……はぁ

まぁ憶測というか、十中八九そうだと思うのだが……

「あいつら多分、お前にいいとこ見せようとしてんじゃないのか?」

「わらわに? それはないじゃろう……わらわは力ある者が好みではあるが、わざわざ無駄な争いに身を投ずる者を好きには慣れぬし」

……どんまい、お前たち……なんか俺、お前らのこと少しだけ好きになったよ。

モテたこと無いという共通点? が、俺の見るこいつらの姿をかっこよく見せる。

「かかってこい!! 俺たちは決して逃げはせん!!」

「うおぉーーーー!!!!!」

ていうか、鬼気迫り過ぎ……確かにこれは、モテないやつって感じもするわ。

うちのギルドでは確か……ラルフがモテた筈だし、こいつらにモテる秘訣ってのを教えてあげてもらおう。

「野蛮な阿呆共の事はいいじゃろう、所でソナタはぼっき? なるものはするのか? わらわはもうソナタと繋がりとうてしかたないのじゃ」

「あっ……俺ってば赤ちゃんなので、そういうのはまだちょっと……」

「ふむ、これは焦り過ぎたかの、ソナタはわらわの見た事のあるもののふの中で、最も優れた才能を感じてしまう……許してたもれ」

「あっはい……」

どうしよう、モテたことが1度もなくて……つい調子乗ってこんな感じに一緒にいるのはいいが……
こうぐいぐい来られすぎると、冷めるというかなんというか……これは贅沢な悩みなのだろうか、初めてこの2つ山から逃げたいって思い出してる自分がいるわ……

♢

夜は野営を張る。
何故かこんな感じに沢山の奴らと一緒に過ごすことになってしまったので、家には帰れないんだよなぁ。

……母さん、心配してなきゃいいけど……

「はーい並んで並んで~」

とはいえ、俺も母さんのことばかり気にしてる暇もなし。

「すすむ殿は器も大きいんじゃな」
なんかまた評価が上がってしまった……
ひなりには、もう少しこう……きゃって感じの初々しさというか、女性らしさを持って欲しいな……

なんか変な高台に座るひなりの膝の上、ちょこんと座る俺。

何をしてるかって言うと、まぁ……今日、馬鹿みたいに暴れまくったせいで負傷しまくってるこいつらにポーションを配ってるとこだな。

「なっなんだこれは、怪我がみるみるうちに回復している!?」

「まるで身体が空気みたいに軽いぞ!! これなら今からだって戦闘できそうだ!!」

「これは……怪我する前の、万全な時よりも遥かに身体が回復してる?? ありえない!! こんなもの聞いたこともないぞ!」

あっうん、その反応はもうサウザンド・ライスの時に聞き飽きたので間に合ってます。

……ていうか、最近思ったんだがな。
俺の持つこの、999999999個で数がカンストしてしまい、それ以上の所持数不明なぐらい持ってるポーション。
売ればかなりの大金になるんじゃねぇのか?

「そういや、ゲーム内の金は流石にこの世界では適用されなかったんだよなぁ……」
使ってみようとしたら、何故か目が点になられたのですっげぇ恥ずかしかった記憶。
まぁアイテム欄にあることで違和感に気付かなかった俺も俺なんだよな、この世界のお金は収納すると所持金ってとこに収納されるのにさ。
でもまぁ鉱石としては材料代わりに使えるし、あって邪魔って訳では無い。

「ゲーム? どうしたのじゃ?」

「いや、なんでもないよ、それよりひなりは怪我とかしてないのか?」

「妾は大丈夫じゃ、妾を襲う攻撃はこの者らが何故か当たりにいくからの、痛いだろうに本当に不思議な奴らよの」

……改めて言おう。どんまい──と

「ところで、今夜こそ妾と眠ってくれるのかい?」

「あっおっ俺は……一応監視とかしないとだからちょーーっと無理だな!! ほら、俺が見張りしてる方がひなりが傷つかずに済むだろ!!」

「ふむ……妾を守る為……ソナタは優しい男じゃな、更にそなたに惚れた事を許してたもれ」

……………………………………はぁ、一緒に寝たら突然襲われそうで怖いからだなんて……言えない!!

据え膳食わぬは男の恥とは言うが、赤ちゃんはたぶん含まれないと思うしな!!

「にしても、また1人の夜とは寂しいのぅ……」

「なっなら、わたくしめが!!」

「……………………………」

この完全な無視ほど酷いものはないな。
ホントこいつら、なんでこんなにこの女狐がいいのやら?
ていうか……さっきから思ってたんだが、この無視されてるやつ……こいつって団長なんだよな?

「すっすすむ様!!! はやくひなり様と子を成し……我らにその席を譲ってくれると有難いのですが……」

「あっうん……おっおれ、赤ちゃんだしな、その辺はほら……常識的に考えて無理じゃん、ていうか……お前らが俺より強くなれば、ひなりはお前らの方選ぶから、頑張って強くなってくれ」

切に願う。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

いじめられて死のうとしていた俺が大魔導士の力を継承し、異世界と日本を行き来する

タジリユウ
ファンタジー
 学校でのいじめを苦に自殺を図ろうとする高校生の立原正義。だが、偶然に助かり部屋の天井に異世界への扉が開いた。どうせ死んだ命だからと得体の知れない扉へ飛び込むと、そこは異世界で大魔導士が生前使っていた家だった。  大魔導士からの手紙を読むと勝手に継承魔法が発動し、多大な苦痛と引き換えに大魔導士の魔法、スキル、レベルを全て継承した。元の世界と異世界を自由に行き来できるようになり、大魔導士の力を継承した正義は異世界と日本をどちらもその圧倒的な力で無双する。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

作業厨から始まる異世界転生 レベル上げ? それなら三百年程やりました

ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
第十五回ファンタジー小説大賞で奨励賞に選ばれました! 4月19日、一巻が刊行されました!  俺の名前は中山佑輔(なかやまゆうすけ)。作業ゲーが大好きなアラフォーのおっさんだ。みんなからは世界一の作業厨なんて呼ばれてたりもする。  そんな俺はある日、ゲーム中に心不全を起こして、そのまま死んでしまったんだ。  だけど、女神さまのお陰で、剣と魔法のファンタジーな世界に転生することが出来た。しかも!若くててかっこいい身体と寿命で死なないおまけつき!  俺はそこで、ひたすらレベル上げを頑張った。やっぱり、異世界に来たのなら、俺TUEEEEEとかやってみたいからな。  まあ、三百年程で、世界最強と言えるだけの強さを手に入れたんだ。だが、俺はその強さには満足出来なかった。  そう、俺はレベル上げやスキル取得だけをやっていた結果、戦闘技術を上げることをしなくなっていたんだ。  レベル差の暴力で勝っても、嬉しくない。そう思った俺は、戦闘技術も磨いたんだ。他にも、モノづくりなどの戦闘以外のものにも手を出し始めた。  そしたらもう……とんでもない年月が経過していた。だが、ここまでくると、俺の知識だけでは、出来ないことも増えてきた。   「久しぶりに、人間に会ってみようかな?」  そう思い始めた頃、我が家に客がやってきた。

嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない

AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。 かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。 俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。 *書籍化に際してタイトルを変更いたしました!

【書籍化決定】神様お願い!〜神様のトバッチリを受けた定年おっさんは異世界に転生して心穏やかにスローライフを送りたい〜

きのこのこ
ファンタジー
突然白い発光体の強い光を浴びせられ異世界転移?した俺事、石原那由多(55)は安住の地を求めて異世界を冒険する…? え?謎の子供の体?謎の都市?魔法?剣?魔獣??何それ美味しいの?? 俺は心穏やかに過ごしたいだけなんだ! ____________________________________________ 突然謎の白い発光体の強い光を浴びせられ強制的に魂だけで異世界転移した石原那由多(55)は、よちよち捨て子幼児の身体に入っちゃった! 那由多は左眼に居座っている神様のカケラのツクヨミを頼りに異世界で生きていく。 しかし左眼の相棒、ツクヨミの暴走を阻止できず、チート?な棲家を得て、チート?能力を次々開花させ異世界をイージーモードで過ごす那由多。「こいつ《ツクヨミ》は勝手に俺の記憶を見るプライバシークラッシャーな奴なんだ!」 そんな異世界は優しさで満ち溢れていた(え?本当に?) 呪われてもっふもふになっちゃったママン(産みの親)と御親戚一行様(やっとこ呪いがどうにか出来そう?!)に、異世界のめくるめくグルメ(やっと片鱗が見えて作者も安心)でも突然真夜中に食べたくなっちゃう日本食も完全完備(どこに?!)!異世界日本発福利厚生は完璧(ばっちり)です!(うまい話ほど裏がある!) 謎のアイテム御朱印帳を胸に(え?)今日も平穏?無事に那由多は異世界で日々を暮らします。 ※一つの目的にどんどん事を突っ込むのでスローな展開が大丈夫な方向けです。 ※他サイト先行にて配信してますが、他サイトと気が付かない程度に微妙に変えてます。 ※昭和〜平成の頭ら辺のアレコレ入ってます。わかる方だけアハ体験⭐︎ ⭐︎第16回ファンタジー小説大賞にて奨励賞受賞を頂きました!読んで投票して下さった読者様、並びに選考してくださったスタッフ様に御礼申し上げますm(_ _)m今後とも宜しくお願い致します。

処理中です...