上 下
73 / 82
ススム編、第二章。《Lv255の赤ちゃんギルド》

61《ベビーハウスツール》

しおりを挟む

さーて戻ってきましたー!!
中位ランクアップクエスト! 魔玉争奪戦!
実況はそう、実年齢3歳、見た目2歳! それはオッレ!

「さて、ふざけてること考えてる暇はないな」

今ここで突然どこからともなく現れる団体様に出くわしたら、可愛い俺だ……撫で回されるかもしれん!! じゃないな。

「俺ってば天才かもしれない!! いや……俺の場合、天才児かもしれかい!!」あっ噛んだ……誰もいなくてよかった。

母さんと話しててふと思ったんだ。

俺ってば赤ちゃんじゃんって……今更だけどな。

だからまぁ地面におりててくてくてく。

「この辺かなぁ~」

赤ちゃん目線からしたら中々にボーボーの草、それをかけ分け俺が見るのはまぁ、ただのそれなりに立派な木。

「ここで取りだしたるは!! どどん!」
あっ1人でちょっと寂しいからふざけてるだけなので、赤ちゃんの戯言と思ってあまり気にしてあげないでください。

メニュー画面、アイテム欄に存在するこれの名は……!!

「てっててれてってけ~~ベビーハウスツール~」

……………………………きょろきょろ。

なんか変なテンションになって言ってみたものの、これ見られてたらすげぇ恥ずかしいんじゃ……

「誰もいないな。ふぅ……やれやれだぜ」

てなわけでさっそく、このよく分からん球をだな。

「ポイッ」木と草の間ぐらいに投げた。

さわさわさわ……コンコンコンコンっ……ふっさーーー

思ったよりやかましかったがまぁ、誰も居なかったので大丈夫だろう。完成だ!!

《ベビーハウスツール》

小さな赤ちゃん用の家を建てることが出来る魔法が秘められた玉。辺にある物を適当に使い、あなただけオリジナルのベビーハウスを作ろう! 完全防音を完備! 小さなお子様の秘密基地にもどうですか? それになんと! 透明化機能ありなので恥ずかしいあの本を隠すことだって出来ちゃいます!

……説明文、ゲームの時のまんまなのな……いいのかこれ?

まぁいいか、とりあえず説明の通り、このベビーハウスは透明化、遮音と、敵に見つかりにくい機能を併せ持つ結構優秀な建物なんだ。

問題としては……5歳ぐらいの子供が何とか入れるサイズってとこなんだが、俺は2歳、余裕で入れる!

「1度入ってみたかったんだよなぁ~やっぱあかちゃんは色々便利でいいや」という訳で、木と草で作られた2日ほどの我が家、ちょっくら「お邪魔しまっ…………」

どっごーーーーん!!!!

突然目の前に木々を食い尽くすような巨大な岩が吹っ飛んできた。

そしてまぁ……「えと……俺の……マイ、ハーーウス!!」
新品未使用のまま、何故か目の前で消え去ったとさ……でめたしでめたし。

「さて、殺そう」
ベビーハウスツールは使うことがないなと思ってて、コレクション感覚で一つだけ持ってたんだ~

だから、さっき使ったのが最後のひとつだったんだ~

つまり……今から始まるのは弱いものいじめなんかじゃない。

そう……これは、正当な復讐!!

俺は魔法が吹っ飛んできた方を向く!!

敵の数、パッと見50!!

お暇しまっす!

いや、逃げるわけじゃないぞ? これは戦略的撤退、そもそもランクアップクエスト一日目に無駄な体力使う方が馬鹿だからな!

ふゆふゆふゆ~と歩くのは有り得ないぐらい遅いので飛んでいく。
さっきの奴ら、見た感じ20対30ぐらいで戦ってたな。

「数が減ってから仕留めるかな~」

ほらな、かんっぜんに戦略的だろ!

♢

どっごーーん!! ばっごーーーん!! どかーーん!!

地面を振動させる程に鳴り響く爆発、木々はあちらこちらへ倒れクレーターがそこかしこに出来上がる。

「いーーーーやーーーー!! おーーーたーーーすーーーけーーー!!」
ウィンドウェアにて必死に逃げる俺!! 何故こんな幼児虐待を受けてるかと言うとだな……それは、知らん!!

何故かふゆふゆと去ろうとした俺を見つけたアイツら、何故か俺を目の敵にしたように襲ってきてるんだ。

それにしてもくるわくるわ魔法の山。

こんな森だってのに馬鹿みたいに火の魔法使ってるやつも居るし、さっきから水魔法で消すのが面倒くさいわ!! 自然破壊反対!!! 小動物だって住んでんだぞくそー!!

「ん?」よーく聞くと、爆発音の中から声が聞こえてくる。

「あいつは一番危険だ!! 絶対仕留めるぞ!!」

ふむふむ。えぇと……言い方的に俺の事知ってる人??

知らない奴に狙われてるならともかく、知ってる奴に狙われてるってなると話は変わるな。

俺は逃げるのを辞める。

なんせ……俺のことを知ってて、俺を狙ってきてるってことは……逃げても隠れても、探してくるって訳だからな。

そうなればおちおちこっそり帰ることも出来ない。

帰ってることバレて、不正だと言われたら嫌だからな。

だからまぁ……ここは仕方ない。初日に戦闘なんて初心者がする事だが……ここは初心にかえって頑張るとするかな!

「ようやく観念したか!! イノセント・ロアー!!」

「…………あ~こいつね」

なんか見覚えあるなーと思ってたんだよな。

ていうか、俺に負けたのに中位ランクまで上がってきてたのな? たった1年でよく頑張るものだわ……

真っ赤な髪に真っ赤な刀剣、紅蓮が描かれた黒い服の男。
背にはおるマントには大きく一言、紅蓮!! とビックリマークつきそうなぐらい大きく書かれている男。

名をグレン、えぇと……たしかぁ……

……………………………………

どっかのギルドの団長だったはず!!!!

すまん、赤ちゃん脳はとても小さいので記憶力に関しては許して欲しい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

いじめられて死のうとしていた俺が大魔導士の力を継承し、異世界と日本を行き来する

タジリユウ
ファンタジー
 学校でのいじめを苦に自殺を図ろうとする高校生の立原正義。だが、偶然に助かり部屋の天井に異世界への扉が開いた。どうせ死んだ命だからと得体の知れない扉へ飛び込むと、そこは異世界で大魔導士が生前使っていた家だった。  大魔導士からの手紙を読むと勝手に継承魔法が発動し、多大な苦痛と引き換えに大魔導士の魔法、スキル、レベルを全て継承した。元の世界と異世界を自由に行き来できるようになり、大魔導士の力を継承した正義は異世界と日本をどちらもその圧倒的な力で無双する。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

作業厨から始まる異世界転生 レベル上げ? それなら三百年程やりました

ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
第十五回ファンタジー小説大賞で奨励賞に選ばれました! 4月19日、一巻が刊行されました!  俺の名前は中山佑輔(なかやまゆうすけ)。作業ゲーが大好きなアラフォーのおっさんだ。みんなからは世界一の作業厨なんて呼ばれてたりもする。  そんな俺はある日、ゲーム中に心不全を起こして、そのまま死んでしまったんだ。  だけど、女神さまのお陰で、剣と魔法のファンタジーな世界に転生することが出来た。しかも!若くててかっこいい身体と寿命で死なないおまけつき!  俺はそこで、ひたすらレベル上げを頑張った。やっぱり、異世界に来たのなら、俺TUEEEEEとかやってみたいからな。  まあ、三百年程で、世界最強と言えるだけの強さを手に入れたんだ。だが、俺はその強さには満足出来なかった。  そう、俺はレベル上げやスキル取得だけをやっていた結果、戦闘技術を上げることをしなくなっていたんだ。  レベル差の暴力で勝っても、嬉しくない。そう思った俺は、戦闘技術も磨いたんだ。他にも、モノづくりなどの戦闘以外のものにも手を出し始めた。  そしたらもう……とんでもない年月が経過していた。だが、ここまでくると、俺の知識だけでは、出来ないことも増えてきた。   「久しぶりに、人間に会ってみようかな?」  そう思い始めた頃、我が家に客がやってきた。

嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない

AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。 かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。 俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。 *書籍化に際してタイトルを変更いたしました!

処理中です...