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ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》
28《日頃のストレス》
しおりを挟むていうかさ、俺思うんだ。
なんでこのじいさんボロボロなんだ????
いやさ、この人って元とはいえ剣聖な訳じゃん? 何か知らんが俺の魔法の副作用で若返って、ビッくらポンの強さを取り戻してた訳じゃん??
……あれか、つまりあれだよな、この目の前で豪華な椅子に生意気そうにふんぞりがえってるこれにやられたって訳だよな。
ふよふよふよ~ここはあれです、お暇させて貰います。
「……どこへゆく」
なんか偉そうな奴が喋りかけてきた。
「ボクちゃん普通の赤ん坊なので、そろそろ帰る時間かな~……なんて」
「我を前にして帰れると思っておるのか? 人間」
……ですよね~確か、ゲームでも……こいつと出会った時、戦いますか? と言う選択肢で、いいえ。を選んだら……こう返されて襲われたっけな……
んで、襲う理由が確か~
「ほほぅ、面白い魔力をしているな……この世のものでは無いな? その魔力……この我が食らってやろう」
そうそう、こんな感じ……それからそれから~
「眷属共よ、あの人間を捉えよ……久々の上物だ、我の手を煩わすでないぞ!」
うん、かんっぺきだ、かんっぺきにカンペ読んだみたいに同じセリフだ。
「……すまぬ、ワシを庇う為……囮になってくれるとは」
いえ、全くそんなつもりないならさっさと立ち上がってくんない!? こんなひ弱な赤ちゃんに戦闘なんて出来るわけないからさ!!
と、俺の心境なんて知ったことでは無い。
容赦なくキビトの眷属である、オーガ、それに沢山のゴブリン共が俺1人目掛け襲いかかってくる。
「……はぁ」ため息しか出ないわ。
ボス部屋の出口にはこんなゴツイ魔物共より……圧倒的に恐ろし~い獣が控えてんだからさ。
逃げ道はなし、テレポートなんて使おうものなら後でどんな目にあうのか……そっちのが考えるだけで怖いわ。
もうオーガ達は攻撃範囲に入ったのか、各武器を振りかぶって居る。
どごん!! ばごん!! ずどどどど!!!
ぱらぱらぱら……洞窟は大きな音を立て揺らぐ。
「……ウィンドウェアの攻撃範囲でもあるんだよな」
一斉に襲って来てくれるならむしろ好都合だからな。1匹1匹をウィンドガンなんかで打ってたら、この洞窟を進んできてかなり魔力を消費した俺の魔力は直ぐに底を尽きるってもんだし。
「……これを狙っておったのか……」
「ふふん」
ごめん、実はまじで逃げようとしたら襲われただけだったりする……けど、なんか向こうでキラッキラした目で俺を見てるねこのこを前に、ちがうとは言えなかった俺を許して欲しい。
「ちち、かっこいい」マジでごめん。罪悪感凄いからそれ以上やめて欲しい。
ねこのこから目をそらす様に、俺はちらっと後ろを振り返る。
「フハハハハ!! 油断を誘い一網打尽とは、流石は人間……ゴブリンよりも姑息な生き物よ!」
いやいやいや、赤ちゃん1匹に対して百匹ぐらいで襲ってくるのが卑怯だろ!? それに俺……そんなこと考えてなかったし!!
「ちち、姑息、ダサい」
お前は敵の言葉に流されたらイカんだろ!?
それにしてもなんでだろう、ねこのこにダサいって言われるとすげぇ傷付く……というか、ムカつくんだけど??
「……お前のせいだ」
「ん? どうした姑息な人間よ」
椅子の上に今だに座って余裕ぶってるキビト。
俺は赤ちゃんの身体を全力で使い、バシッと指をさして言ってやる!!
「お前のせいで俺は今日、どんだけ辛い思いをしてきたか分かってんのかこらぁ!!!! いつまで調子乗って椅子に座ってんだ!! タイマンだ、オラ、かかってこいよ!! 赤ちゃんにビビって椅子から立てないのかヘタレーー!!!!」
ふふん、言ってやった、言ってやったぞ!!
なんかこう、どこぞの獣に毎日毎日毎日、溜められたストレスがこう……ふわ~ってどっか行った、き、ぶ、ん、♪
ぴきぴきぴき──
なんだろ……おかしいな。「変な音がしたような……」
バキッめしめしめしめし…………!!
何かが悲鳴をあげて……潰れてるような音が……
「……我を侮辱するとはいい度胸だ、よかろう……魔王が幹部の1人、鬼属が王キビト、我自ら相手をしてやろう」
……んっと、誰この人?
ちょっと浮かれてよそ向いてる隙に、なんかさっきまでガキンチョ王子って感じの人がいなくなっててさ、目の前には超おっきい鬼がいるんだけど?
ーー鬼属の王、キビトが力を解放した。
毎度おなじみ頭の中に聞こえてくる声、言われなくても分かってるっての!! と突っ込まざるおえない。
そして目の前に、ダメ押しと言わんばかりに、可視化された文字が俺に現実を突きつけてくる。
名前《キビト》種族《鬼王》
数千のオーガの力を持つと言われる、鬼族の王。
伝承によると、数万の命を奪った人間が、闇に堕ちた姿だと言われている。オーガやゴブリンを眷属としているが、それは自身と戦うに足る強き者を探す為である。
普段は人間の頃の姿で戦闘を楽しんでいるが、真の姿を見せる時は遊びはなく、真に殺すと決めた時の為、その姿は伝承に一切残されていない。
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うん、俺死んだわ。
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