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双子のギルド大会
3-11『予選会場ー個人戦開幕』
しおりを挟む店内放送みたいな、ピンポンパンポーンといった音が流れてきた。
(おいおい、異世界だろここ?)
こんな古代の遺跡みたいなコロシアムには似つかわしくない音だから違和感しかない。
そして次に聞こえてくるのは音声、まぁ実況だろうな。
゛レディーースアーーンドジェンノルメーーーン!!゛
間違ってるが突っ込まないでおこう。
ウォオオオオオオオイヤァアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ギィヤァァアアと人間だけじゃない他種族も居るせいでよく分からん悲鳴に聞こえるが、皆が興奮してあげてる雄叫びだろうな、会場中がとんでもない声で覆われている。
゛とうとう今年もこの日がやって参りましたー!!、世界ギルド大会の予選!!!まずは前座、だが盛り上げて参りましょう!!下級冒険者による戦闘です!!皆さん気合い……入ってますかぁあああ!!!!゛
またまたよく分からん声が響き渡る。
(今のは絶対冒険者達に言ってたよな?何故客席ばっか盛り上がってんだよ!!)
下級冒険者達は、どこか物静かに始まる今を待っているというのにな。
゛をーー!!皆さん気合い充分なようですね!!゛
全っぜん冒険者反応してないけどな?むしろ数名が反応した後、自分以外が盛り上がってないことに気付いて恥ずかしがってるからな?観客だけだからな?
という突っ込みは聞こえる訳もなく、実況は続く。
゛この後も下級冒険者による、ペア戦、チーム戦の予選がありますので~そろそろ開始したいと思いまーーす!!皆さん、構えて下さい!!゛
(完全な見せ物なんだろなーこれ)
なんか、二人を出場させた事……後悔してるかも
構えろと言われ、腰にぶら下げてたり、背中に刺してたりする各々が武器を手に取ったようだ。
(みぃとみぅ、いつの間にか端っこに移動したんだな)
賢い選択だと思う、こんな広い闘技場、真ん中に立てば360度に敵が居ることになるもんな。
ちなみに僕が言っていた、それなりの魔力4人も端に構えてるようだ。……あの1人を覗いてな。
(にしても、みぃのあれは反則にならないのか……そう考えれば、こんな人混みに混ぜられた近接を苦手とする魔道士が不利だなと思ってたが、そうでも無いって思うな)
゛それでは、皆さん準備できたようなので開始したいと思いまーーす!!!!では……ギルド大会予選、下級冒険者、個人戦……開始ーー!!!!!゛
戦いの火蓋はその声と同時に切って落とされ、同時に物凄い惨状を生み出した。
☆☆☆☆☆
開始前から魔力を練っていたのは、何もみぃだけではない。
僕の見ていた4つの魔力、そのうちの2人は魔道士だとそれで確定した。
゛空を支配するは水のみに在らず!!生ぬるい天を支配し炎よ降り注ぐのだ゛
みぅと同じ炎髪の男はドレッドヘアーと言うやつだろう。
天に向け筋肉質な腕をバシッと向け大きな魔法陣を目の前上空に展開、次に地面を叩くように吠えたと思えば魔法が発動されていた。
『ファイアレイン!!』
炎属性/中級魔法、空に火属性の魔力で魔法陣を展開し、石混じりの炎を降り注がせる広範囲魔法である。
ぎゃぁーーーとか、消してくれ~ー!!とか、本当に戦いに来たのか?って感じに、沢山のモブが強制退場なのか、辞退したのか、足元に展開された魔法陣により次から次に消えていった。
゛おぉーーーっとー!!ライス・ギラー選手!!炎の雨を降らせたーー!!どんどん広がる中級炎魔法、もしや一人勝ちになってしまうか~!!゛
まぁ当然であるが、それを良しとしない者は居る。
゛人々を癒す大いなる水よ、その恵みはこんにち怒りに満ち、地を汚す愚かな者に鉄槌を降す゛
(こうやって見ると、詠唱って人によって違うんだなー)
まぁ結局、効果的な言葉さえ並べれば同じ魔法が使えるんだもんな。
多分あれは女性、青いドレスに身を包み、髪飾りから垂れる布で顔が見えないが……多分そうだと思う。
そんな女性が持つのは(鞭ですか!?)あれは痛そうだな。
詠唱と共に地面にバチンと叩き付けると、地面から青い魔法陣が現れ、ぷかんとした大きな水玉を召喚した。
「炎の雨など穢らわしい!!」
再度女性が鞭をそう言って叩くと水玉は勢いよく炎の雨雲へと飛んで行った。
『ウォーターバーン!!』
会場の3分の1程を覆っていた炎の雨雲、そんな巨大な範囲の魔法に対して飛んでった水玉だったのだが、女王様の叫びと鞭の音と共に弾け物凄い水の大爆発を生み出す。
「てーめぇ!!!ケバいババアがなにしやがんだ!!」
「オホホ、醜い小僧が何を言いますか、穢らしい存在は消え去るが道理と言うものですわ」
(上手い具合に火と水って感じだな、相性悪い同士が争い出したな)
周りのモブは離れたようだ、なんせ2人の魔法合戦、初級魔法すら範囲魔法並に広く近寄ると危なそうだからな。
『フレイム!!フレイム!フレイムゥゥ!!!』
『アクアウォールですわ!』
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