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第三章 大陸冒険編
ピーン
しおりを挟む定例パーティーも終わり、皆が帰っていく。
「レオナード王、シャルロット女王、お招き頂きましてありがとうございました。十日後にまた参ります」
「あぁ、またパーリー参加してね!」
「毎回来てもらってもいいょ!」
本当に仲のいい王達だ。
もっと王家同士でいがみ合っている様なイメージを持っていたユーゴにとっては新鮮に映った。
パーティー会場とオーベルジュの城は隣同士だ。少し歩いて客間に着いた。
「皆様、お帰りなさいませ。お風呂の準備はできておりますよ」
「あぁ、ただいまリナさん。明日からオレたち数日間出かけます」
「左様でございますか、かしこまりました。お召し物のクリーニングはいかが致しましょう?」
「あぁ、お願いしようかな。みんなどうする?」
「うん、お願いしようかな」
「アタシも!」
「かしこまりました。お部屋に置いておいて頂ければ、こちらでしておきますので」
礼服のクリーニングをお願いし、風呂に入るため各自部屋に戻る途中、エミリーが立ち止まった。
「ねぇ……もしかしてここも混浴?」
「あぁ、そうだよ」
「私それが嫌でこっちに来たのもあるのに……こっちもかよ!」
「いいじゃないか、見られてどーなんだよ」
「いやだよ……二人に裸見られるんでしょ……?」
「二人先に入ってきなよ、僕らは後でいいからさ……」
「いや、今日は来賓が多かったから、いっぱい入ってると思うけどな。嫌ならシャワールーム借りるか?」
「うん、そうする……」
エミリーは恥ずかしいようだ。
ユーゴは残念な表情を出さぬよう努めた。
エミリーを除き、三人で風呂に行く。
確かに多い、裸の男女がこうも入り乱れると普通に思えてくるから不思議だ。
もうジュリアの裸を見てもなんとも……と思ったが、これだけの大多数の前で勃起を晒す訳にはいかない。視界に入れるのはやめよう。
シャワーで汗を流し、露天風呂へ。
王族の奥方や年頃の娘も、隠す事なく湯に足を浸けて座っている。
すごい文化だ、眼福である。
やはり、ジュリアの美しすぎる裸体で目が鍛えられた。他の女性を見ても耐えられる。
いや、耐えるというのがすでに間違いなのだろうが。
ゆっくり温まり、脱衣所で体を拭く。
「お前ら今日は勃起しなかったな」
「あぁ、ジュリアほどの美しい裸体は無かったからな」
「ほんと、今ジュリア見たら勃つ自信があるよ」
「お前ら褒め過ぎだって。アタシのが他と何が違うんだよ。ほれ、トーマス! 見てみろ!」
ジュリアはトーマスの顔を掴んで、自分の胸に向けた。
「うぁー! やめてって!」
そして、勢い余ってジュリアの胸の谷間に、トーマスの顔が埋まった。
ピーン
急いで下着を履くトーマス。
「キャハハ! 可愛いなトーマス!」
「うん、大サービスありがとう、ジュリア……」
明日はレトルコメルス行きだ。日が昇る前には出る。
夜更かしせずに寝よう。
◇◇◇
夜明け前に目を覚ます。
冒険者は朝に強い。というよりは職業病だろうか、眠りが浅い。野営でのんびり寝ている訳にはいかないからだ。だから次の日、何もない日は深酒をしてゆっくりと眠る。それでも朝には目が覚める。
もう、病気だ。
辺りはまだ暗い。
準備をして周りに迷惑をかけないようにゆっくりと出て行く。
皆時間は守る、夜明け前と言えばしっかりと集まる。この当たり前ができない者は冒険者にはなれない。
メイドのリナが、わざわざ早起きして四人分の弁当を作ってくれた。
彼女からすれば仕事の一つなのだろうが、ユーゴはその心遣いに感動を覚えた。何かプレゼントを買って帰ろう。
「さて、目標は夕方にレトルコメルスだ。全力で行くぞ」
始めから全力の浮遊術で街道沿いを飛んでいった。
喋る事なく、真っ直ぐに目的地を目指す。
太陽が真上に来た、皆に合図をし地上に降りる。
「ふぅ、大分進んだな」
「このペースだと、予定より早く着きそうだね」
リナの弁当を四人で頂いた。
「ほんと、リナさんにはお世話になりっぱなしだ」
「あぁ、アタシも世話になりっぱなしだ」
「美味しいなこの弁当」
「ホント! この卵焼きすごく美味しい!」
しばしの休憩をとり、また無言で飛び続けた。
◇◇◇
予定より早く、夕方前にはレトルコメルスに着いた。四人のスピードは増している。
「ふぅ、いつものホテルにチェックインするか。明日には出るだろ?」
「皆どうする?」
「そうだな、ユーゴの用事が済んだら出たらいいんじゃないか?」
「なら今日で済ませる。チェックインしたらすぐに行ってくるよ。明日の朝食を食べて出よう」
「じゃあ、明日の朝まで各自自由時間だね!」
今回は各自に空間魔法がある。
ユーゴのトラウマはもう解消だ。
ホテルにチェックインしてシャワーで汗を流す。異空間に現金を持っておこう。1000万もあればいいだろう。
まずは娼館の元締めに話を聞きに行く事にした。
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