上 下
13 / 13
1 幼少期、少年期 編

特別処置、F寮と料理

しおりを挟む
寮に着いた。まあ、1人部屋だから、他の寮と比べると小さいには小さいが、1人には十分すぎるくらい大きい。
1軒家ってかんじだ。すごい嬉しい。家も別に部屋から出たことがないが、それなりに良い家柄なので、窮屈しなかったが、それよりも普通に大きい。

1軒家というと、2階まであるのを想像する人が多いが、ここは1階建ての家だ。豪勢な作りではなく、質素って感じだ。言うなれば他の寮は金閣寺、俺の寮は銀閣寺といったところだろうか。

早速入ってみる。まあすごく普通だ。まるで前世の時の家みたいだ。
キッチンに風呂、トイレなどちゃんとした作りがある。それが実に素晴らしい。
実を言うと、僕の部屋にいたところにはトイレがない。トイレを行く時は「私トイレに行きます」という看板を持って、下を向いてトイレに行く、なんてことをよくしたものだ。勿論、メイドさんも一緒に来た。まあ下を向いているのでメイドさんが連れてってくれるのだが。

みんなは「急にトイレに行きたくなる現象」をしたことはないだろうか。
その場合はほとんど確実、99%で漏らしていた。でもすごく遠いくせに、その上メイドさんの歩くスピードで、だ。勿論走ってなどくれない。となると、必然的に漏らすのだ。
その度に、「なぜ漏らしたんだ!」 と怒鳴られ殴られる。まったく酷い話だ。そんなに家が豪華なら、僕の部屋でなくても、近くにトイレを置いてくれてもいいじゃないか。なんてことを思いながら説教を聞く。

でも、もうそんなことをしなくてもいいと思うと気が一気に楽になる。

それと、食材がちゃんとあった。他の量は、どうやらランチがあるらしいが僕のとこにはない。まあそれはそうだ。なんせ忌み子なのだから。まあそれはおいといて、普通に食材もある。料理も頑張ればやれそうだ。
まあ、僕は基本的にスペックは高い方だと思うし、まあ大丈夫だろう。

寮の待遇はまあ妥当というかちゃんとそこで生活できるようにはなっている。まあでも、娯楽は与えない気満々なんだろうなと、思うような造りであることがわかった。
生活できるようで何よりだと、思った。


ただ、少し心配なのは、料理ができるかどうかだ。前世の俺も料理などチョコを母と2人で作ったという名のほぼ8割方母が作ったチョコを作ったくらいだし、すごく不安だ。カレーもなにも作ったことはないし、どうしよう。本当にどうしよう。

今、具材があるのは野菜、野菜、野菜、野菜、…っておい!野菜だらけじゃねえか。どこをみても野菜。どこもかしこも野菜だらけ。まじ?そんなことある!?
実を言うと野菜は超苦手だ。何?嫌がらせ?でも、そんなことは言ってられない。
これは、「生きるために野菜を食うか、野菜を食べずに死ぬか」の究極の2択をされているのだ。
まて、おい。生きるためには野菜を食わないと。

まてよ?見方を変えてみると調理しなくていいではないか!きゅうりやブロッコリー、キャベツなど、人参のように茹でたりしなくていい代物ばかりだ。皮を剥いたり、洗って丸齧りできるものばかりだ!

と、いうことで、今日はきゅうりとブロッコリーを食おうと思う。野菜生活とはまさにこう言うことを言うのかと思い知った瞬間だったと思う。でも案外いけるな。これを食べて生活していくのだ。我慢。じゃなければ死ぬ。仕方あるまい。と、頑張って食べていた時、ノック音が聞こえた。

「はーい」
返事をしてみる。なんだろうか。

「あ、パンを届けに来ました。一応命令なんでね。」

パンを届けに??まじか、嬉しいな。

歩いてドアを開ける。

「おらよ。死んじゃ困るからね。忌み子のあんたにも、死なれちゃこっちは困るんでね。」

僕が忌み子なのを、知っていたのか。まじで、パン屋さんの見た目をしている。コック帽子をかぶって、白いエプロンをしている。まじでパン屋さんじゃん。

「ありがとうございます」
例を言って受け取った。中身を確認すると、パンは5つほど入っていた。

「1週間に一回届けに来るから。大切に食えよ。」

「はい」
返事をして受け取った。そして、パン屋さんは帰って行った。

そしてパンを食ってみる、アニメとかでよく見る、めっちゃ硬そうなパンを頂いたが、あんま硬くない、ふわふわもしていないが、それなりに上手い。よかった。これで野菜生活じゃないと、一安心した。


ただ、特別処置も見方を変えてしまえば、良い処置とは限らないのである。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

家族内ランクE~とある乙女ゲー悪役令嬢、市民堕ちで逃亡します~

りう
ファンタジー
「国王から、正式に婚約を破棄する旨の連絡を受けた。 ユーフェミア、お前には二つの選択肢がある。 我が領地の中で、人の通わぬ屋敷にて静かに余生を送るか、我が一族と縁を切り、平民の身に堕ちるか。 ――どちらにしろ、恥を晒して生き続けることには変わりないが」 乙女ゲーの悪役令嬢に転生したユーフェミア。 「はい、では平民になります」 虐待に気づかない最低ランクに格付けの家族から、逃げ出します。

世界樹の下で

瀬織董李
ファンタジー
神様のうっかりで死んでしまったお詫びに異世界転生した主人公。 念願だった農民生活を満喫していたある日、聖女の代わりに世界樹を救う旅に行けと言われる。 面倒臭いんで、行きたくないです。え?ダメ?……もう、しょうがないなあ……その代わり自重しないでやっちゃうよ? あれ?もしかしてここ……乙女ゲームの世界なの? プロット無し、設定行き当たりばったりの上に全てスマホで書いてるので、不定期更新です

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

乙女ゲームに悪役転生な無自覚チートの異世界譚

水魔沙希
ファンタジー
モブに徹していた少年がなくなり、転生したら乙女ゲームの悪役になっていた。しかも、王族に生まれながらも、1歳の頃に誘拐され、王族に恨みを持つ少年に転生してしまったのだ! そんな運命なんてクソくらえだ!前世ではモブに徹していたんだから、この悪役かなりの高いスペックを持っているから、それを活用して、なんとか生き残って、前世ではできなかった事をやってやるんだ!! 最近よくある乙女ゲームの悪役転生ものの話です。 だんだんチート(無自覚)になっていく主人公の冒険譚です(予定)です。 チートの成長率ってよく分からないです。 初めての投稿で、駄文ですが、どうぞよろしくお願いいたします。 会話文が多いので、本当に状況がうまく伝えられずにすみません!! あ、ちなみにこんな乙女ゲームないよ!!という感想はご遠慮ください。 あと、戦いの部分は得意ではございません。ご了承ください。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます

みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。 女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。 勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい

斯波
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。 ※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。 ※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。

うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?

プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。 小説家になろうでも公開している短編集です。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

処理中です...