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13.異物
しおりを挟むその異物は、唐突に自分と彼女の空間を犯した。
「ただいまぁ」
頼まれていた薬草を手に玄関のドアを開けると、視界に飛び込んできたのは愛しの彼女の姿だけではなかった。
「あぁ、おかえり」
その傍に、一人の男がいた。触れんばかりのその距離感は、あまりに馴れ馴れしく見えた。
「――――え、人間?」
金髪に緑の瞳をした男。見た目は完全に人間の成りで“特徴的な何か”はなかったが、まとう空気、魔女の前でこの堂々とした様子は、ただ者ではないことを教えた。
「リリアンヌ? え、一緒に暮らしてるのか?」
「森で拾った」
「いつの間に」
「……十二年前?」
「――――十二年」
何よりもサフィールが驚いたのは、彼女がその男から自分を隠そうとしなかったところだ。
平素なら、森に住まう者相手でない限り、リリアンヌは彼が客と鉢合わせるのを厭うのに。
それどころか、訊かれたことにすらすら答えるではないか。
「えっと、どちらさまで……?」
お客じゃない……?
おずおずと窺えば、気軽な様子で彼女は応えた。
「古くからの知り合いだよ。レイナルド、悪魔と人間の間に生まれた、半悪魔。人間よりは悪魔に近いか?」
「そうだな、寿命も能力も人間と名乗るには不自然だ」
「という訳だ」
半悪魔。
改めて男を眺める。この十二年で、一度も見たことのない男だ。古くから、と言うのはどれくらい昔のことなのだろう。
「ちょっと見ない間に随分面白いことになってるな」
「お前に面白がられることなんて何もないよ」
「いやぁ前に会った時――――三十年くらい前か? には考えられない展開だぞ、これ」
三十年。
簡単に吐かれた言葉に胸が竦む。
十分分かっていたつもりなのに、どうしようもないことなのに、二人の違いを突き付けられるようで。
そして、その違いがこの男と彼女の間にはないのかと思えば、言いようのない感情が胸の中で一気に質量を増した。
「こっちはサフィール。森で死にかけてたのを拾った」
「どういう風が吹けば魔女がそんな気まぐれを起こすんだ?」
「気まぐれに理由なんてないよ。でもそういう気になったんだ。だからそれが全て。理由とかは割とどうでもいい」
「なるほどねぇ。サフィール、だっけか?」
直接声を掛けられて、更に胸の内が掻き乱される。せめて愛想笑いくらいは必要かと思ったが、口の端を上手く上げることすらできなかった。
「ご紹介頂いた通り、オレはレイナルド。今日はまぁちょっと野暮用でな。魔女殿の力を借りたくて、しばらくぶりにここを訪れた」
別に、リリアンヌに友人・知人がいない訳ではない。数は少ないし、それこそ気軽に交流するようなそういう付き合いは持っていないようだけど、同じ魔女にも争うのでなく親しくしている相手もいる。魔女以外の人外もいるし、そこには当然男だっている。
でも、何だか落ち着かない。不安が過る。
今まで見てきたどんな男の知り合いより、何かが違う気がして。
それは、すぐに形になってサフィールに突き付けられた。
「レイ、本当にお前はいつも唐突。事前の連絡もなしにふらりと来て、しかもその内容が急なものばかり」
レイ――――
その呼び方に、頭が真っ白になった。
レイ、そう呼んだ。親しげに、愛称で呼んだ。孤高の魔女であるはずの彼女が、愛称で。
それは呆れた声だった。でも、冷たい声ではない。呆れてはいるけど、そこには仕方がないなというある種の許しがあった。彼女がよく、サフィールに向けるのと同じ。既にある程度受け入れている相手にこそ見せる態度。
この男はなんなのだ。過去に何があったのだ。どういう付き合いをしてきたのだ。
他人を、特に男を相手にしないタイプであるはずの彼女が、ここまで気安く応じてみせるとは、どういうことなのだ。
不安、痛み、猜疑、怒り。どす黒い動揺が血液に乗ってどんどん身体中を巡り出す。
「サフィール」
鎮め方が分からない。
「サフィ!」
「え、あ、なに?」
強めに呼ばれて、サフィールは意識を現実に引き戻される。
「薬草は?」
リリアンヌは普通の口調で訊ねてくる。そこにいつもとの違いはない。男のことで、隠し立てしたり慌てたりするようなことはないらしい。
まあ彼女は男女のことに関してはひどく鈍いので、何かあったとしても取り繕う必要すら感じていないのかもしれないが。
「あぁ、うん。ちゃんとあった。ほら」
「そう。じゃあ保管棚にしまっておいて。今日の日付を入れるの忘れないこと。私はしばらくレイと話があるから」
部屋に引っ込んでおけと言われるだろうか。
「アンヌ」
それは嫌だ。見える範囲に控えていたい。二人きりにさせたくない。それが例え、仕事の話であったとしても。
他の部屋に下がったりしたら、妄想だけで頭がおかしくなりそうだ。
「お茶でも淹れようか。見たところ、何も出してないね?」
二人が囲むテーブルには、特にこれと言って何も並んでいない。もてなしの様子はなかった。
「あぁ、そうね。お願い」
聞かせたくないというほどの話ではないのかもしれない。キッチンからここは一続きになっていて、話し声なんかその気になれば全部聞こえる。
彼は少しだけホッとして、ヤカンに水を入れ火をかけ始めた。
「いやだからな、きな臭いのはここ最近の……」
「――――魔女狩りか? 今、そんな時代か?」
漏れ聞こえる声は穏やかな内容ではない気がしたが、二人にとってはそれほど深刻なものではないのかもしれない。長く生きていると、既に何度も経験しているのだろう。やり過ごす術も分かっているはずだ。
魔女狩りは、魔女に限らず人外のものを排除する動きは、歴史の中で一定の周期で繰り返されるものだと言う。
「魔女狩りって言うかなぁ……何かを探してるみたいな? そこに魔女やら何やらが噛んでいると思ってる気がする」
「訳が分からん」
時の権力者の思想によって、弾劾は繰り返される。“異分子”の定義は自由自在だと、いつぞやリリアンヌは言っていた。
「実際さ、クラリッサが」
「クラリッサ?」
会話に新しく出て来た名前にも、自分は聞き覚えがなかった。
ティーカップに抽出した紅茶を注ぎながら、サフィールは勝手な想像を広げようとする思考から何とか気を逸らそうとする。
いつ、どんな風に二人が出会ったのか。
どんな思い出を共有しているのか。
何があって、今もこうして交流が続いているのか。
何を知っても、心が休まることなどないのだから。
「捕えられたったぽいんだわ」
「とら――――本当に?」
「親しくしてた人間に売られたっぽいんだよな」
「…………下手を打ったな」
「アンヌ、お茶」
「あぁ、ありがと」
テーブルにティーカップを二つ、並べる。ついでに花びらの糖蜜漬けを置いておいた。彼女は割に甘いものを好むから。
「オレは人間じゃないとバレるようなことはしていないつもりだが、不穏な動きがあるのはどうかと思ってる。何に目を付けられるか分からないからな。だから、今ちょっと生きにくい」
男の方も差し出された茶に気付いて、こちらに小さく会釈した。
「人間のど真ん中で擬態して生きてるからだろ」
「ど真ん中で生活してなくても、魔女への締め付けが厳しくなればアンヌも困るだろ?」
「その時はしばらく人間相手の商売をやめるさ」
「まぁそれが賢いが」
二人の会話は淀みない。キッチンの方へ戻って、食材を確認する動作を表面上だけこなしながら、サフィールは様子を窺い続ける。
「で、お前の野暮用ってこの世間話?」
「の、続きな」
「?」
ふと、話の流れが変わった。というか進んだ。
「少々事情を探りたい。あと、ついでにクラリッサを助けてやろうかな、と。正直クラリッサはもののついでではあるんだけど」
「はぁ」
「お前もクラリッサとは親しい方だろう。情だけで動けとはよく言わないが、ここで一つ、恩を売っておかないか」
それが、本題だったらしい。
「…………恩ねぇ」
リリアンヌの声には、迷いが存分に含まれていた。面倒だという空気もある。
魔女は馴れ合わない。自分の始末は自分でつけるべきだから。
だが、情というものが全く存在していない訳でもない。
「微妙か?」
「こちらにリスクがない訳じゃないから」
「まぁな」
「具体的にはどうする気だ?」
リリアンヌが訊ねる。そこまで知ろうとしている時点で、断る気はあんまりないんだろうなとサフィールは思った。
「クラリッサを売ったヤツと親しくしてる貴族がいる。王族とも繋がりが強く、情報には事欠かない人脈をお持ちだ。そこの家で開かれる夜会に紛れて、昨今の情勢とクラリッサの行方を調べようかと」
「夜会。――――いつ?」
「今夜」
「今夜ぁ?」
ケロリと返された言葉に、リリアンヌが大きな声を上げた。
「ふっざけるな、何でお前はいつもそう急なんだ、ギリギリなんだ!」
どうやらいつものことらしい。その相手のことをよく知っていますといった反応が、嫌だった。
「夜会なんてそんな急に言われても、こっちだって色々……!」
「用意ならあるある」
軽い口調で男が言う。サフィールが二人の方を窺うと、さっきまで荷物など何もなかったはずなのに、男の腕に深い緑色のドレスが出現していた。
「サイズもばっちり。見たところ、変わりないしな」
「お前、最初から……」
「必要なものは全部揃える。だから同伴願うよ、魔女殿」
これ以上は勘弁してほしいのに、またサフィールの心が荒れ狂った。
何故、男が彼女にぴったりのサイズのドレスを用意できるのだ。何故、そんなことを把握しているのだ。
それに、同伴だと?
男のパートナーとして、夜会に出ろと?
そんな、そんなこと。
「――――――――――――仕方ないな」
しかし、長めの沈黙の後、渋々といった様子ながらも彼の魔女はそう言った。
時計に目を遣りながら、立ち上がる。
「時間があまりないな」
「悪いね」
「思ってもいないクセによくもまぁ。――――サフィール」
唐突に呼び掛けられて、彼はビクリと身を竦めた。
「な、に」
彼女の手には受け取ったドレス。
「手伝え。この手のドレスは、一人で着るには骨が折れる」
「手伝うぞ?」
「着替え終わった頃にはドレスの色が真紅に変わっているけどな?」
「おぉ怖い」
軽口を叩き合いながら、彼女は部屋を移動する。
サフィールはただ黙ってそれに従った。少なくとも、男に着替えを手伝わせる訳にはいかない。
部屋に入ると、リリアンヌは衝立の向こうで身に纏っていた黒衣をするりと脱ぎ始めていた。しばらくごそごそしていたと思ったら、その内に手招きされる。
「コルセットなんて面倒で仕方ないが……」
十分に細いというのに、その身を更に締め上げる。手伝えと言われたので渋々従うが、気分は乗らなかった。
不必要に身体を締め付けさせるのも嫌だったし、何よりこの装いが自分ではなくあの男の為に為されているのだと思うと許容し難い。
リリアンヌの方は、全く頓着しない様子で準備を進めていく。渡されたドレスは本当に男の言う通り彼女の身にぴったりと合っていて、更に嫉妬と猜疑の炎が大きくなった。
胸が大きく開いたデザインも気に食わない。うなじから肩の白いラインが晒されているのも気に食わない。
「――――――――アンヌ」
「なに」
嫌だ。絶対に嫌だ。
装いを整えた彼女を見て、我慢していた言葉が勝手に飛び出していた。
「行かないで」
仕事、ではないかもしれないが、事情があってのことだ。それは分かっている。理解している。分別は持っているつもりだった。
「…………なにを」
でも、どうしても我慢ならない。
鏡越しにリリアンヌがこちらを見る。
「危ないよ、行かないで」
引き留めるように、後ろからその身体を包み込むように、いや、縋りつくように抱きしめた。
「……サフィール」
「アンヌが行く必要なんてないじゃない。全部他人のことだよ。魔女狩りの時代が来たって、人に紛れて暮らしてる訳じゃないんだからアンヌには関係ないことだよ。惑いの森は、そう容易く人間が足を踏み入れられる場所じゃないんだから。そうでしょう?」
そうだ、彼女が行く必要なんてない。
そうは思うけれど、彼女は肩口に埋められた頭を宥めるようにぽんぽんと触れながらも、考えを翻すことはなかった。
「心配することなんて何もない。利がない、累が及ぶと判断したら、すぐに手を引くよ」
「でも」
彼女は自分をここに置いていく。あの男と行ってしまう。
魔女の事情に関わることに、彼女は自分を関わらせたりはしないから。
ここで待っていろと、男と連れ立つ自分を見送れと、そう言う。
「でもアンヌ」
「――――――――レイナルドのことが気になるか?」
何も頓着していないかと思ったら、サフィールの懸案事項に少しは気付いていたらしい。
「あれはただの知人だ。私にそういう心配が不要なのは、お前もよく分かっているだろう」
そう言われる。彼女の主張は分からなくはない。でも。
「でも、向こうがどうかは分からない」
「向こうにそういう気があれば、とっくに付き合いなんてなくなってる。聞き分けろ、サフィール」
聞き分けるべきだ、と思った。
でも理性で感情を抑えきれない。
「っ、サフィ!」
埋めていた肩から頭を上げて、剥き出しのうなじに唇を押し当てた。
「こら、やめろ」
抗議の声を無視して、強めに吸い上げる。
リリアンヌには自分だけのはずだ。
他の男の腕を取って夜会なんてそんな。サフィールと違って、同じ時間軸で生きていける男と一緒になんて、そんなこと。
「アンヌ……」
「サフィール!」
身を捩って、彼女が腕の中から抜け出した。
「何をそんなに不安がる? ちゃんと帰って来ると言っているのに」
彼女は分かっていない。彼の不安の正体を。
あの半悪魔と人間の自分を比べて、その差に打ちのめされている心理を。
伸ばされた手が両頬を挟んだ。下から見上げて、幼子に言い聞かせるみたいに言う。
「帰って来る。だからしっかり留守番をしておいで」
サフィールは、これ以上食い下がれない。
彼女に意思を翻す気が全くないことを、重々承知しているから。食い下がっても、もっと悪い展開になるだけだと分かっているから。
ダイニングに戻ると、待っていた男は形式的にか本心か分からないが、彼女の装いを褒めそやした。
「さすが、よく着こなす。似合ってる」
「そうか」
「瞳の色は、もちろん変えてもらうが、だから代わりにこれな」
言いながら差し出された手には、装飾品が一式揃っていた。
全て、赤い石が使われたもの。
ネックレス、イヤリング、髪飾り、指輪。
「いやぁ、思い出すね。昔もこうしてお付き合い頂いた」
「渋々な」
男がパッと回り込み、その首にネックレスを留める。サフィールが入る隙など、一つもなかった。
そして、以前にも同様のことがあったと知らされて、黒い感情が腹の底でふつふつと沸き上がってきてしまう。もう沸騰寸前だ。
「あの時もなかなか大変だったな。随分時間がかかったし。今回はどうかな」
「何言ってる。一週間以上は付き合わないぞ」
嫌そうにリリアンヌはそう言った。
一週間――――いや分かっている。夜会に出てはい終わり、ではない。
そこで得た情報から更に行動を取らなければならないだろうし、捕えられたという魔女を救い出すなら一晩では足りないだろう。
だが、一週間。その間、リリアンヌはこの男と行動を共にし、自分はこの森の中一人取り残される。それは、あまりに長過ぎる期間のように思えた。
「では働きに期待することにしよう、巡りの魔女」
「お前が、働くんだ。私はあくまで付き添い、補助だ」
「分かってる分かってる。それよりダンスは大丈夫だろうな」
「お前がきちんとリードすれば何とでもなるわ」
「そこは任せてくれ。あぁ……髪型はあれだな、ちょっと下ろしておくか」
「!」
男の発する言葉の何もかもが、サフィールの心を土足で踏み荒すようだった。
そして結われていた髪の一部を下ろされ、更に心が荒れ狂う。
彼女の髪に触れるのは自分の役目なのに。自分に許された行為なのに。
「これはちょっとマズイ」
「は?」
黒髪がはらりと解け、首筋が隠れる。先ほどサフィールが付けた、小さな赤い跡が、隠されてしまう。
「いやまぁオレが付けたことにすれば良いが」
「何を言っている?」
自覚がないらしい彼女は訝しげに首を傾げるだけ。
だが、こちらをちらりと見た男の顔には、からかうような小さな笑みが浮かんでいた。
「いや、今の立場だと、妹やら何やらそういう親族ポジションでアンヌを連れ歩けないからな。それじゃ嘘だとバレる。だから同伴の時点で、まぁ恋人扱いだが」
「フリだぞ、フリ」
わざとだ、と思った。反応を愉しまれている、と。
「いやにつれない。その昔、口付けまで交わした仲なのに」
「く――――!?」
それは、あまりに衝撃的な発言だった。聞きたくない、信じがたい発言だった。
「レイ!」
否定して、欲しかった。
「お前もう余計なことを喋るな! いい加減にしろ!」
でも。
「濃厚なヤツだった」
「嘘を言うな! 掠めた程度だ、あんなもの数にも入らんわ! 偽装がバレそうになったから、仕方なしの演技だろうが」
リリアンヌは否定してくれなかった。それどころか、認めた。
この男と、口付けを交わしたことがあると。
「ほんっとうにいい加減にしろよ? 行くのやめてもいいんだぞ? あんなこと、二度はない」
「仰る通りで。あの、痛いんで足どけてもらえますかね。ヒールが結構容赦なく刺さってるんだが」
「刺してるんだ」
呆然としたまま言葉につられて視線を下げると、確かにリリアンヌが男の靴を容赦なく踏み付けていた。それこそ、穴でも開きそうな勢いで。
「――――と、これは他と馴染みが悪いから、こちらに付け替えてくれ」
「え?」
自分がまだ、叫び出していないことが不思議だった。
そんなことをしてはみっともないからと、だから我慢できているのだろうか。自分のことなのに、自分の反応が全く把握できていない。
男がするりと彼女の指から引き抜いたのは、先日サフィールが送った指輪だった。
サフィールの、青。
「あ、こらやめろ、それは……!」
焦ったような彼女の声。
確かに、全て赤でまとめた装飾品の中に紛れたその青は、馴染みが悪いかもしれないが。
でも、それは。
「レイ!」
ことんと、机の上に置かれた指輪。
もう、離ればなれ。
「時間だ。急なことだったから、ちょっと無理して道を繋いでる。早くしないともう閉じる」
「お前の事情なんて知るか! ちょ、レイナルド、待て! サ、サフィール!」
ぐいぐい肩を押されながら玄関扉に向かう二人を、彼はただただ立ち尽くして見ていた。
心配する声。
心配しているのは、不安なのは、怖いのは、許容できないのは自分の方なのに。
「すぐ戻る。ここは安全だからあまり心配はしてないが、誰が来ても応対なんかしなくていいからな」
こちらを振り返ったその顔が、上手く頭に定着しない。焦った声も、右から左へと流れて行ってしまう。
だって、リリアンヌは行ってしまう。
彼を置いて、行ってしまう。
バタン! とドアの閉まる音が虚しく響いた。
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