愛の輪廻と呪いの成就

今井杏美

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第二章

ランスとの初夜

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「んあ……っ、あんっ、あぁん」
「はぁ、クリビア、クリビア」

 二人はあれから一年後、小さな教会で二人だけの結婚式をした。
 サントリナの海の近くのランス邸の夫婦の寝室で今宵クリビアとランスは初夜を迎えている。
 
「綺麗だ……」

 白く豊かな胸をかぶりつくように口に含み生温かい舌でその先端を転がすとクリビアの口から甘い声が漏れる。
 右手の親指では円を描くように秘豆を擦って中指と薬指で彼女の中を解きほぐす。

「……ランス、あぁっ、あぁん」
「ここ、いいだろう?」

 中から秘豆の裏を刺激されるとクリビアは背をのけ反らせてシーツを握り締めた。

「あああっ!」

 ランスは指でイッたのがわかるとクリビアのひざ裏を持ちぐっと両足を押し広げて滾った己を溢れる愛液でテラテラ光る赤い花びらに擦りつけた。
 先端がクリビアの秘豆に当たる度に猫の様な嬌声が漏れる。

「あぁん、あんっ、あんっ、ランス……、好き」
「俺もだ、愛してる……俺のクリビア……どれだけ抱きたかったか!」

 彼女の顔にかかったみだれ髪を優しく取り払うと、処刑台で石をぶつけられた時の傷跡が額に薄っすらと残っていた。
 もしかしたら残るかもしれないその傷跡にランスはそっと口づけて、そして再び前後に動き出し固くて大きな己を擦りつけた。

 ランスの恍惚とした表情に、クリビアは気持ちよさを感じながらも別のところでは彼に対する認識が少し間違っていたと考えていた。
 付き合っていた時はキスまでの関係だったのできっと淡白な男なのだろうと思っていたのだがとんでもない。

 両手をシーツに縫い付けられ強く握りしめられながら獲物に狙いを定めた獣のような熱い瞳で見つめられるとクリビアのお腹辺りがキュウッともどかしくなる。

「あぁ、お願い、もう……入れて……」

 とろんとしたクリビアの顔。ランスも我慢の限界に達した。
 雄を誘うように女の匂いを醸し出している蜜壺に、だらだらと先端から汁を垂らしている己自身を突き立て一気にねじ込んだ。

「ああああ!」
「っ、きつい……十分濡れているのに……君は……あぁ、温かくてヌルヌルして気持ちいい締め付けだ……」

 クリビアの中を堪能するようにランスがじっと動かないでいると、精神的な喜びと身体の喜びがひとつになったクリビアが甘えるような艶のある声でねだった。

「早く……動いて……」
「はぁ、そんなに煽らないでくれ……どうにかなりそうだ」

 ベッドのきしむ音、ぐちゅぐちゅと淫靡な水音が部屋中を満たす。

「はぁん! あん……!」
「君の中はとてもイイ……」
「ずっと、こうしていたい……あぁ、あん……」
「声を、もっと声をあげて……」

 ランスの体から汗がほとばしる。
 突き動かす度に揺れる豊かな胸。紅潮した女の顔と喘ぎ声で彼の理性はもう吹き飛んでいる。
 腰を掴んでこれでもかというぐらいに激しく長く己を出し入れする。

「ああああっ」

 クリビアの足がピンと伸びて、全身が痙攣したように反り返り、大きな胸がランスの目の前に突き出された。蜜壺の入口がギュッと締まる。

「っ!」

 クリビアがイッたと同時に中に熱いものが解き放たれた。

「クリビア……まだだ……もっと、もっと君が欲しい……」

 吐精した後もまだランス自身は固さと大きさを保っている。

「あぁ……ランス、私、もう……」

 全身から力の抜けた彼女が苦しそうにそう言うと、ランスは彼女に大きく被さってキスをした。
 口内を厚く大きな舌で余すことなく舐めまわしながら腰をゆっくり大きく回すと二人の恥骨が擦れあう。
 イッた後の敏感な秘豆に当たってクリビアは再び軽くイってしまった。

「あぁん……」

 ランスは息の上がっているクリビアを後ろ向きにさせて腰を持ち上げた。

 ズブッ! ズチュズチュ!

「ひゃぁん! あぁ、あぁ!」

 パンッ! パンッ!

 クリビアのお尻とランスの腰がぶつかり合う。
 彼の情熱は留まるところを知らない。
 その日の夜は朝までずっと行為が続き、二人が目覚めたのは昼過ぎだった。


 クリビアはまだ横で寝ているランスを残しベッドから出てふと鏡を見ると、体中にランスが付けた赤いキスマークが沢山ついているのに気付いた。
 恥ずかしくてクローゼットから首と胸元を覆うドレスを選んでいると、上半身裸のランスがまだ眠そうな顔をしてやって来た。

「おはよう、じゃないか。もう昼か」

 ランスはクリビアの後ろに立つと耳元に息を吹きかけ、両胸を鷲掴みにしてその先端を刺激した。

「きゃぁっ」
「もう一回、しようか」

 彼の手は胸をいやらしく揉んでいる。

「~~~~! もうだめです!」
「いいじゃないか、今日は通いのメイドは夕方から来るんだから」
「体が持ちません」
「優しくするから」
「そんなこと言って……」
「前世分も君を愛したいんだ。君に触れていたい。獣だと軽蔑したって構わない。まるで十代の若者に戻ったような気分なんだ!」

 ランスはクリビアの胸の先端をカリッと掻いたり摘まんだりして更に自身の極限まで張りつめて大きくなった己自身を背中にゴリゴリと押し付けてクリビアを誘惑する。

 抱きしめることすら戸惑うほどに紳士的だった彼が結婚したとたんこんなに豹変するとは……ただ、クリビアは嫌ではなかった。
 足をもじもじしていると、ランスの右手が彼女の足の間に伸びた。

「身体は素直だな……」

 彼女の蜜壺に指を出し入れしながら食いつくようにキスをする。

 ランスは腰砕けになったクリビアを抱え、昨夜の熱の冷めやらない乱れたベッドに再び連れて行った。



 実はランスはクリビアと結婚する前に伯爵の爵位を親戚に譲り貴族社会から退いた。そして伯爵邸を売ったそのお金で海の近くの大きな邸を買い、そこに結構大きな医院を併設した。

 それは領地運営をしつつ医師としての仕事をするのは負担だったことと、クリビアと結婚することを想定したときに、彼女に貴族としての社交でストレスを与えたくなかったからだ。
 クリビアの悪い噂はまだ消えていない。人の口に上らなくなっても、何かを切っ掛けにまた言い出す人が出てくるかもしれない。あの処刑場のように。
 貴族ならなおさらそうだろう。
 ランスはそういう状況に彼女をさらしたくなかった。
 わざわざ困難な状況の中に自ら入っていくことはない。
 甘やかすというのではなく、それが彼の考え方だった。

 そして彼はもし伯爵のままプロポーズしていたら断っていたと言われた時ほど自分の行動と選択、幸運に感謝したことはなかった。
 彼女が平民として穏やかに暮らすのが望みだということを知らなかったのだから。



 ランスの新しい邸には執事が医院で事務員として、メイドが数人通いとして残った。
 医院の中には前世での保育園と寺子屋をまとめたような「こども園」もあり、乳母のカトリは医院とこども園の両方を手伝っている。
 クリビアの希望で作られたこの施設は園長がクリビアで、保育園に当たる部分は有料だが寺子屋に当たる部分は無料にしている。
 因みにマリウスとラミアも一緒に勉強している。

 そして……。

 

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