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黙り込んで何も喋らない彼女を見て兄がこちらに合図を送ったので魔法を解きカーテンを開く。その音でこちらをぼんやりと見ていたローゼリア様は私の姿を見た途端に睨みつけてきた。
「アルフレド様! あいつ、あいつを断罪してください! 早くあの悪役王女を断罪して! 今すぐに!!」
「まだ諦めていなかったのかい? 二度とそんな事を言わないのなら見逃すつもりだったのだけどね」
呆れてため息をついている兄の元に私は進みローゼリア様を見る。憎いと言いたげにずっと睨んでいるが、どうしてそこまで断罪にこだわるのか理解できない。
「こいつはわたくしを虐めましたの。わたくしは兄嫁として歩み寄ろうとお茶会に誘ったりして交流しようとしただけなのに。わたくしの作ったお菓子もわざと食べてくれなかったわ。これは立派な虐めです!」
「まだ兄嫁ではありませんよ。お茶会もあのような招待状を送りつけられても困ります。お菓子は見た事のない物だったのでご遠慮しただけです」
彼女の言った事に対して言い返せばこうやって虐めると目をウルウルさせてか弱い令嬢のように振舞っているが、先程までのあの勢いある姿を見ているので今更だ。侯爵夫人は未だに扇子で口元を隠しているが目が冷え切っている。エレティコス侯爵はローゼリア様を切り捨てたと言っていたそうだが、それでも家族として過ごしてきた情はまだ残っているだろうから今日の事は事前にすべて話してある。
「なんで? なんでよぉ……アルフレド様! アル様!!」
「その名で呼ぶな」
兄の口から聞いた事のないくらい冷え切った声が聞こえた。そこには怒りも含まれているようなそんな声を今まで聞いた事など無い。ローゼリア様は驚いて目を見開いている。私もとっさに兄の顔を見上げてしまった。
「その呼び方は私にとって特別なものだ。大切な者達以外から呼ばれたくないから軽々しく口にしないでもらいたいな。不愉快だ」
今は滅多に呼ばないが兄を愛称で呼ぶのは私達家族とレジェスくらいだ。つい「アルお兄様」と口に出してしまったので、パアッと眩しい笑顔でこちらを見てくる兄の先程の顔との温度差にファビアナ様が小さく「さすがシスコン王子とブラコン王女」と呟いている。否定はしませんがしっかりと聞こえていますからね。
無意識だったが私の言動がローゼリア様には追い打ちになってしまったようだ。フラフラと身体を揺らして何処を見ているかわからない。
「ずるいずるいずるい! なんであんたは許されてるのよ! 悪役王女のくせに!!」
そう叫んだ瞬間に滝のような水が彼女の頭上から大量に流れ落ちていった。これはデルフィナ様の時と同じで海神様が起こした事だ。
「きゃーっ!!? 何よこの水は!? あんたがやってるんでしょ! 早く止めなさいよ!!」
海神様は止めたが今度は水の精霊達が四方から水をかけているので彼女はびしょびしょになってドレスも水を含んで一段と重そうだ。それでも濡れているのは彼女だけでまわりに影響は出ていない。この水もその内に乾くはずだ。
「これは海神様と水の精霊達がしている事だよ。君は精霊を見る事ができないからわからないかもしれないけど、前々から彼らは怒っていたからね」
「精霊? そんなのどこにいるのよ!!」
「君のまわりにいるけど普段は避けているそうだよ。その理由も三神様に教えていただいたから皆知っている。そんな事より、早く答えを選択して欲しいな」
「答えですって? そんなの決まってるでしょ! 破棄よ! あんたはわたくしのアルフレド様なんかじゃないわ! 偽物との婚約なんて破棄してやる!!!」
あれ程兄に執着していたはずだった彼女はあっさりと婚約者の座から降りると言う。しかも破棄とは、よほど婚約破棄と断罪劇がお好きなようだ。
「そう。残念だね。少なくとも自分から妻にと私も言ったから責任だけは取ろうと思っていたけど、君がその選択をするならしかたがないね。でもいいのかな?」
「何がよ!」
「君がした選択によってマナンティアールから出て行ってもらわなければならないけど、君は何処に行くのかな?」
「何処ってそんなの……」
エレティコス侯爵様達の方に視線を向けているが、彼らの目は他人を見るかのようだ。
「お、お父様? どうしてそんなふうにわたくしを見るのですか。お母様もロルダンも何か言ってちょうだい!」
「申し訳ないが君はすでにエレティコス家からは除籍されている。この婚約が無くなればただのローゼリアになるから平民と言う事になるのかな」
「ま、待って! 何でそうなるのよ、嫌よ平民なんてこのわたくしがそんなの!! そうだわ、あなた! あなたでいいわ! わたくしはあなたと結婚してあげる! あなたも攻略キャラだものね。あなたで妥協しとくわ」
そう言って次に目を付けたのは私の隣に立つレジェスだったので、縋るように伸ばした彼女の手を扇子で叩き落す。
「痛っ!? 何すんのよ!!」
「あら、失礼。どこかの泥棒猫が私の婚約者にみだりに近づこうとするからつい。でもしかたがありませんわよね? だって私は悪役王女らしいですから」
「あんた!!」
今度は私に掴みかかろうとしていたのを、後ろから静かに近づいていたアナベル様が取り押さえたので動けないようだ。
「アナベル様、お見事ですわ!」
「騎士姿のアナベル様も素敵ですね!」
ファビアナ様とビビアナ様がきゃあきゃあ言いながら誉めている今のアナベル様は騎士服に身を包んで男装の麗人のようで凛々しくかっこいい。実はアナベル様がローゼリア様をここまで案内して連れて来た騎士だ。
「アナベル様、ありがとう」
「ふふふっ、私の出番など要らなかったかもしれませんが、お怪我が無くて良かったですわ」
咄嗟にレジェスが私を守ってくれたので大丈夫だったが、アナベル様の素早い行動で何事も無かったのも事実。あの案内役の騎士がアナベル様だった事にローゼリア様はショックを受けている。
「野に放っても誰かの迷惑になるといけないからもう一度だけ聞こうか。そうだね、ひとつ選択肢を増やそう。私の書類上の妻か婚約解消かそれとも修道院に入るか、どれでも好きなものを選べばいいよ」
「修道院に行くわ」
彼女は考える必要などないかのように修道院行きを選んだが、てっきり兄と結婚する事を選ぶと思っていたので驚いた。もう兄には興味が無いと言いたげな目をしている。これはクリストバル殿下を見ていたかつてのローゼリア様の目と同じだ。
「わかった。修道院への手続きは私がしておこう。安心すればいいよ。あの修道院からはすばらしい絶景が見られるし、何よりも君と同じ令嬢が先にひとり入っているからね。彼女から色々と教えてもらえばいいと思うよ」
それはデルフィナ様の事だろう。まさかあの修道院に送るつもりだとは思わなかった。それにデルフィナ様はすでに浄化の影響からか俗世を捨てた清らかな修道女に変貌を遂げている。ローゼリア様もそのようになってしまうのかはわからないが、そこで心穏やかに過ごしてくれるならそれでいい。大人しく連れて行かれる彼女の後姿を見てそう願うが、それもまた彼女次第だろう。
こうして私の悩みの種であったローゼリア様の一件も解決した。まだしなくてはいけない事もあるが、とりあえずは肩の荷が下りた気がする。それは兄も同じだろう。ホッと息をついてお互いの顔を見合わせて笑う。
「お兄様、お疲れ様です」
「クレスもね。自分で蒔いた種でもあるけど、どんな形であっても解決したという事になるのかな……」
兄は思う事があるようだが、今はゆっくり休んで欲しい。父がこの場を締めて今日はここで解散となる。エレティコス侯爵家の方々も一礼して客室に戻って行った。明日、もう一度ローゼリア様の事を彼らとしっかり話し合う事になる。
ただ、今日はもう私もゆっくりと休みたい。
「アルフレド様! あいつ、あいつを断罪してください! 早くあの悪役王女を断罪して! 今すぐに!!」
「まだ諦めていなかったのかい? 二度とそんな事を言わないのなら見逃すつもりだったのだけどね」
呆れてため息をついている兄の元に私は進みローゼリア様を見る。憎いと言いたげにずっと睨んでいるが、どうしてそこまで断罪にこだわるのか理解できない。
「こいつはわたくしを虐めましたの。わたくしは兄嫁として歩み寄ろうとお茶会に誘ったりして交流しようとしただけなのに。わたくしの作ったお菓子もわざと食べてくれなかったわ。これは立派な虐めです!」
「まだ兄嫁ではありませんよ。お茶会もあのような招待状を送りつけられても困ります。お菓子は見た事のない物だったのでご遠慮しただけです」
彼女の言った事に対して言い返せばこうやって虐めると目をウルウルさせてか弱い令嬢のように振舞っているが、先程までのあの勢いある姿を見ているので今更だ。侯爵夫人は未だに扇子で口元を隠しているが目が冷え切っている。エレティコス侯爵はローゼリア様を切り捨てたと言っていたそうだが、それでも家族として過ごしてきた情はまだ残っているだろうから今日の事は事前にすべて話してある。
「なんで? なんでよぉ……アルフレド様! アル様!!」
「その名で呼ぶな」
兄の口から聞いた事のないくらい冷え切った声が聞こえた。そこには怒りも含まれているようなそんな声を今まで聞いた事など無い。ローゼリア様は驚いて目を見開いている。私もとっさに兄の顔を見上げてしまった。
「その呼び方は私にとって特別なものだ。大切な者達以外から呼ばれたくないから軽々しく口にしないでもらいたいな。不愉快だ」
今は滅多に呼ばないが兄を愛称で呼ぶのは私達家族とレジェスくらいだ。つい「アルお兄様」と口に出してしまったので、パアッと眩しい笑顔でこちらを見てくる兄の先程の顔との温度差にファビアナ様が小さく「さすがシスコン王子とブラコン王女」と呟いている。否定はしませんがしっかりと聞こえていますからね。
無意識だったが私の言動がローゼリア様には追い打ちになってしまったようだ。フラフラと身体を揺らして何処を見ているかわからない。
「ずるいずるいずるい! なんであんたは許されてるのよ! 悪役王女のくせに!!」
そう叫んだ瞬間に滝のような水が彼女の頭上から大量に流れ落ちていった。これはデルフィナ様の時と同じで海神様が起こした事だ。
「きゃーっ!!? 何よこの水は!? あんたがやってるんでしょ! 早く止めなさいよ!!」
海神様は止めたが今度は水の精霊達が四方から水をかけているので彼女はびしょびしょになってドレスも水を含んで一段と重そうだ。それでも濡れているのは彼女だけでまわりに影響は出ていない。この水もその内に乾くはずだ。
「これは海神様と水の精霊達がしている事だよ。君は精霊を見る事ができないからわからないかもしれないけど、前々から彼らは怒っていたからね」
「精霊? そんなのどこにいるのよ!!」
「君のまわりにいるけど普段は避けているそうだよ。その理由も三神様に教えていただいたから皆知っている。そんな事より、早く答えを選択して欲しいな」
「答えですって? そんなの決まってるでしょ! 破棄よ! あんたはわたくしのアルフレド様なんかじゃないわ! 偽物との婚約なんて破棄してやる!!!」
あれ程兄に執着していたはずだった彼女はあっさりと婚約者の座から降りると言う。しかも破棄とは、よほど婚約破棄と断罪劇がお好きなようだ。
「そう。残念だね。少なくとも自分から妻にと私も言ったから責任だけは取ろうと思っていたけど、君がその選択をするならしかたがないね。でもいいのかな?」
「何がよ!」
「君がした選択によってマナンティアールから出て行ってもらわなければならないけど、君は何処に行くのかな?」
「何処ってそんなの……」
エレティコス侯爵様達の方に視線を向けているが、彼らの目は他人を見るかのようだ。
「お、お父様? どうしてそんなふうにわたくしを見るのですか。お母様もロルダンも何か言ってちょうだい!」
「申し訳ないが君はすでにエレティコス家からは除籍されている。この婚約が無くなればただのローゼリアになるから平民と言う事になるのかな」
「ま、待って! 何でそうなるのよ、嫌よ平民なんてこのわたくしがそんなの!! そうだわ、あなた! あなたでいいわ! わたくしはあなたと結婚してあげる! あなたも攻略キャラだものね。あなたで妥協しとくわ」
そう言って次に目を付けたのは私の隣に立つレジェスだったので、縋るように伸ばした彼女の手を扇子で叩き落す。
「痛っ!? 何すんのよ!!」
「あら、失礼。どこかの泥棒猫が私の婚約者にみだりに近づこうとするからつい。でもしかたがありませんわよね? だって私は悪役王女らしいですから」
「あんた!!」
今度は私に掴みかかろうとしていたのを、後ろから静かに近づいていたアナベル様が取り押さえたので動けないようだ。
「アナベル様、お見事ですわ!」
「騎士姿のアナベル様も素敵ですね!」
ファビアナ様とビビアナ様がきゃあきゃあ言いながら誉めている今のアナベル様は騎士服に身を包んで男装の麗人のようで凛々しくかっこいい。実はアナベル様がローゼリア様をここまで案内して連れて来た騎士だ。
「アナベル様、ありがとう」
「ふふふっ、私の出番など要らなかったかもしれませんが、お怪我が無くて良かったですわ」
咄嗟にレジェスが私を守ってくれたので大丈夫だったが、アナベル様の素早い行動で何事も無かったのも事実。あの案内役の騎士がアナベル様だった事にローゼリア様はショックを受けている。
「野に放っても誰かの迷惑になるといけないからもう一度だけ聞こうか。そうだね、ひとつ選択肢を増やそう。私の書類上の妻か婚約解消かそれとも修道院に入るか、どれでも好きなものを選べばいいよ」
「修道院に行くわ」
彼女は考える必要などないかのように修道院行きを選んだが、てっきり兄と結婚する事を選ぶと思っていたので驚いた。もう兄には興味が無いと言いたげな目をしている。これはクリストバル殿下を見ていたかつてのローゼリア様の目と同じだ。
「わかった。修道院への手続きは私がしておこう。安心すればいいよ。あの修道院からはすばらしい絶景が見られるし、何よりも君と同じ令嬢が先にひとり入っているからね。彼女から色々と教えてもらえばいいと思うよ」
それはデルフィナ様の事だろう。まさかあの修道院に送るつもりだとは思わなかった。それにデルフィナ様はすでに浄化の影響からか俗世を捨てた清らかな修道女に変貌を遂げている。ローゼリア様もそのようになってしまうのかはわからないが、そこで心穏やかに過ごしてくれるならそれでいい。大人しく連れて行かれる彼女の後姿を見てそう願うが、それもまた彼女次第だろう。
こうして私の悩みの種であったローゼリア様の一件も解決した。まだしなくてはいけない事もあるが、とりあえずは肩の荷が下りた気がする。それは兄も同じだろう。ホッと息をついてお互いの顔を見合わせて笑う。
「お兄様、お疲れ様です」
「クレスもね。自分で蒔いた種でもあるけど、どんな形であっても解決したという事になるのかな……」
兄は思う事があるようだが、今はゆっくり休んで欲しい。父がこの場を締めて今日はここで解散となる。エレティコス侯爵家の方々も一礼して客室に戻って行った。明日、もう一度ローゼリア様の事を彼らとしっかり話し合う事になる。
ただ、今日はもう私もゆっくりと休みたい。
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