59 / 78
炎国への旅路編
25話 俺さ英雄の話をしたよな
しおりを挟む
「先見の目?」
「一種の未来視だ。絶対ではないが、キョウの目には助けられている。まぁ、初代様に言わせると、神に気に入られているか、遊ばれているかどちらかだろうと言われているがな。」
あれ?今おかしな言葉がありましたね。初代様っていいましたよね。まだ、ご顕在なのですか?
あの少女が炎王の事を語ったとき『一度、炎国を訪ねるといいかと思います。初代炎王はかなり手広くやったみたいですよ。多分、無から有を生み出すことができたのでしょう。』と過去の人物の様な言い方をしていました。どういうことでしょう。
「初代様が炎国を作られて千年と聞きましたが鬼族って長生きするのですね。」
私がそうザックさんに尋ねますと、甲板にいる皆さんの視線が一斉に刺さりました。離れたところの船首で前方を確認していたキョウさんも振り返っています。
何かいけないことを言ってしまったのでしょうか。
「奥様。あんた炎国に行かない方がいいと思う。それか炎国に着いたら一切喋らないかだ。」
ザックさんのその言葉に甲板にいる皆さんが首を縦に振っています。何がダメだったのでしょう。
「奥様。」
マリアに呼ばれ後ろを振り向きます。
「初代様は龍人です。鬼族ではありません。」
「え?炎国は鬼の国なのですよね。なのに初代炎王が龍人?」
なんだか周りからの視線が凄く痛い気がします。
「なぁ。マジで言っているのか?炎国に送り届けるが、その後の命の保証はしないぞ。」
「俺も案内役は拒否をする。」
ザックさん命の保証って、そこまでの事を私何か言ってしまいましたか?いつの間にかキョウさんが後ろにいました。キョウさんに案内役を降りられるのは困ります。
「何が悪かったのか教えてください。炎国で問題を起こさないために教えてください。」
「俺さ、英雄の話をしたよなぁ。」
キョウさんの英雄の話ですか?覚えていますよ。
「俺たちはフィーディスだ。マリアはガレーネだ。グアトールはシーラン王国に渡った。残った英雄はアマツとグラシアールだ。」
はい。そうですね。
「初代様の名はエン・グラシアール様だ。龍人の英雄と豹獣人の英雄の子だ。炎国の王でもあるが、ギランでも英雄の血を引いていることで、重要人物なんだよ。そこ間違うとあんた殺されても文句言えないぞ。」
そ、そこまでの事なのですか!
「あの、このような事にならない為にも、基本的なことから教えて欲しいのです。」
「「そんな暇はない。」」
ザックさんとキョウさんから拒否をされてしまいましたか。そうですよね。お仕事中ですよね。しかし、困りました。本当に何も知らなかったです。ギラン共和国では英雄と言う人たちが未だに崇められているのですね。
「マリアに聞けばいい。」
ザックさんがそのように言われたのでマリアを見てみると首を横に振られました。
「私は炎国に行った事がありませんので、お話しできることがありません。」
そうですね。マリアが炎国の事を知っていればこうなる前に教えてくれていましたよね。
「取り敢えず炎国に着いたら何も話すな。炎国の国民と絶対に話すなよ。それでキョウを付けるからなんとかしろ。」
「俺に丸投げするなよ。ザック。俺は仕事に戻る。」
ザックさんに炎国に着いたら何も話すなと言われ、キョウさんには背中を向けられてしまいました。本当に困りました。
船の客室に戻ってきまして、マリアに知っている炎国の情報を聞いてみましたが、初代炎王がギラン共和国生まれで島国に渡り炎国を作ったということぐらいしか知らないと言われてしまいました。
「そう言えば、シェリーさんが以前炎国に行くことを勧めてくれたときに、初代炎王が過去の人のように言われた気がしたのですが?」
「ああ、それはきっと今の炎王が5代目だからだろう。」
クストが教えてくれましたが、5代目!千年で5代目って鬼族も長く生きる種族なのでしょうか?
「因みに鬼族はどれぐらいの寿命なのですか?」
「奥様。聞いた話では500年程と。」
「愚兄は5代目はとても気が合うと言っていましたから、近づかないようにしてください。きっと、ろくなことになりません。それから、炎国に行く度に初代炎王にお目通りが叶わなかったっと言って戻ってくるので、炎国にはあまりいらっしゃらないのかもしれません。」
セーラから今の炎王の情報が出ましたが、愚兄と言っているお兄さんは外交官か何かですかね。
そのような話をしながら一日目が過ぎて行き、2日目の日が登る前の早朝に突き上げるような振動で目が覚めました。
何があったのでしょう。遠くから大きな声で何か言っている声が聞こえますが、何を言っているか聞き取れません。
未だに振動は続いています。
「襲われているな。」
隣で寝ていたはずのクストの声が離れたところから聞こえていました。
「一種の未来視だ。絶対ではないが、キョウの目には助けられている。まぁ、初代様に言わせると、神に気に入られているか、遊ばれているかどちらかだろうと言われているがな。」
あれ?今おかしな言葉がありましたね。初代様っていいましたよね。まだ、ご顕在なのですか?
あの少女が炎王の事を語ったとき『一度、炎国を訪ねるといいかと思います。初代炎王はかなり手広くやったみたいですよ。多分、無から有を生み出すことができたのでしょう。』と過去の人物の様な言い方をしていました。どういうことでしょう。
「初代様が炎国を作られて千年と聞きましたが鬼族って長生きするのですね。」
私がそうザックさんに尋ねますと、甲板にいる皆さんの視線が一斉に刺さりました。離れたところの船首で前方を確認していたキョウさんも振り返っています。
何かいけないことを言ってしまったのでしょうか。
「奥様。あんた炎国に行かない方がいいと思う。それか炎国に着いたら一切喋らないかだ。」
ザックさんのその言葉に甲板にいる皆さんが首を縦に振っています。何がダメだったのでしょう。
「奥様。」
マリアに呼ばれ後ろを振り向きます。
「初代様は龍人です。鬼族ではありません。」
「え?炎国は鬼の国なのですよね。なのに初代炎王が龍人?」
なんだか周りからの視線が凄く痛い気がします。
「なぁ。マジで言っているのか?炎国に送り届けるが、その後の命の保証はしないぞ。」
「俺も案内役は拒否をする。」
ザックさん命の保証って、そこまでの事を私何か言ってしまいましたか?いつの間にかキョウさんが後ろにいました。キョウさんに案内役を降りられるのは困ります。
「何が悪かったのか教えてください。炎国で問題を起こさないために教えてください。」
「俺さ、英雄の話をしたよなぁ。」
キョウさんの英雄の話ですか?覚えていますよ。
「俺たちはフィーディスだ。マリアはガレーネだ。グアトールはシーラン王国に渡った。残った英雄はアマツとグラシアールだ。」
はい。そうですね。
「初代様の名はエン・グラシアール様だ。龍人の英雄と豹獣人の英雄の子だ。炎国の王でもあるが、ギランでも英雄の血を引いていることで、重要人物なんだよ。そこ間違うとあんた殺されても文句言えないぞ。」
そ、そこまでの事なのですか!
「あの、このような事にならない為にも、基本的なことから教えて欲しいのです。」
「「そんな暇はない。」」
ザックさんとキョウさんから拒否をされてしまいましたか。そうですよね。お仕事中ですよね。しかし、困りました。本当に何も知らなかったです。ギラン共和国では英雄と言う人たちが未だに崇められているのですね。
「マリアに聞けばいい。」
ザックさんがそのように言われたのでマリアを見てみると首を横に振られました。
「私は炎国に行った事がありませんので、お話しできることがありません。」
そうですね。マリアが炎国の事を知っていればこうなる前に教えてくれていましたよね。
「取り敢えず炎国に着いたら何も話すな。炎国の国民と絶対に話すなよ。それでキョウを付けるからなんとかしろ。」
「俺に丸投げするなよ。ザック。俺は仕事に戻る。」
ザックさんに炎国に着いたら何も話すなと言われ、キョウさんには背中を向けられてしまいました。本当に困りました。
船の客室に戻ってきまして、マリアに知っている炎国の情報を聞いてみましたが、初代炎王がギラン共和国生まれで島国に渡り炎国を作ったということぐらいしか知らないと言われてしまいました。
「そう言えば、シェリーさんが以前炎国に行くことを勧めてくれたときに、初代炎王が過去の人のように言われた気がしたのですが?」
「ああ、それはきっと今の炎王が5代目だからだろう。」
クストが教えてくれましたが、5代目!千年で5代目って鬼族も長く生きる種族なのでしょうか?
「因みに鬼族はどれぐらいの寿命なのですか?」
「奥様。聞いた話では500年程と。」
「愚兄は5代目はとても気が合うと言っていましたから、近づかないようにしてください。きっと、ろくなことになりません。それから、炎国に行く度に初代炎王にお目通りが叶わなかったっと言って戻ってくるので、炎国にはあまりいらっしゃらないのかもしれません。」
セーラから今の炎王の情報が出ましたが、愚兄と言っているお兄さんは外交官か何かですかね。
そのような話をしながら一日目が過ぎて行き、2日目の日が登る前の早朝に突き上げるような振動で目が覚めました。
何があったのでしょう。遠くから大きな声で何か言っている声が聞こえますが、何を言っているか聞き取れません。
未だに振動は続いています。
「襲われているな。」
隣で寝ていたはずのクストの声が離れたところから聞こえていました。
55
お気に入りに追加
3,896
あなたにおすすめの小説
夫のかつての婚約者が現れて、離縁を求めて来ました──。
Nao*
恋愛
結婚し一年が経った頃……私、エリザベスの元を一人の女性が訪ねて来る。
彼女は夫ダミアンの元婚約者で、ミラージュと名乗った。
そして彼女は戸惑う私に対し、夫と別れるよう要求する。
この事を夫に話せば、彼女とはもう終わって居る……俺の妻はこの先もお前だけだと言ってくれるが、私の心は大きく乱れたままだった。
その後、この件で自身の身を案じた私は護衛を付ける事にするが……これによって夫と彼女、それぞれの思いを知る事となり──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。
婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!
夫達の裏切りに復讐心で一杯だった私は、死の間際に本当の願いを見つけ幸せになれました。
Nao*
恋愛
家庭を顧みず、外泊も増えた夫ダリス。
それを寂しく思う私だったが、庭師のサムとその息子のシャルに癒される日々を送って居た。
そして私達は、三人であるバラの苗を庭に植える。
しかしその後…夫と親友のエリザによって、私は酷い裏切りを受ける事に─。
命の危機が迫る中、私の心は二人への復讐心で一杯になるが…駆けつけたシャルとサムを前に、本当の願いを見つけて─?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
婚約者に心変わりされた私は、悪女が巣食う学園から姿を消す事にします──。
Nao*
恋愛
ある役目を終え、学園に戻ったシルビア。
すると友人から、自分が居ない間に婚約者のライオスが別の女に心変わりしたと教えられる。
その相手は元平民のナナリーで、可愛く可憐な彼女はライオスだけでなく友人の婚約者や他の男達をも虜にして居るらしい。
事情を知ったシルビアはライオスに会いに行くが、やがて婚約破棄を言い渡される。
しかしその後、ナナリーのある驚きの行動を目にして──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
私の療養中に、婚約者と幼馴染が駆け落ちしました──。
Nao*
恋愛
素適な婚約者と近く結婚する私を病魔が襲った。
彼の為にも早く元気になろうと療養する私だったが、一通の手紙を残し彼と私の幼馴染が揃って姿を消してしまう。
どうやら私、彼と幼馴染に裏切られて居たようです──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。最終回の一部、改正してあります。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる