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27章 魔人と神人
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「取り敢えず、第零師団長さんに水を精製する魔道具の移動をお願いできれば、第三師団がそのまま第零師団にできそうですね」
シェリーはかなり横暴なことを口にした。第三師団を半分に分けることにもかなり問題が大きくなったのに、それを丸ごと異動させようと……いや、第三師団を無くして第零師団にしようと言っている。
「陽子さん。よくわからないのだけど、そこまで第零師団って必要なのかな?結局マルス帝国に入国するのが危険すぎるっていうなら、そこまでこだわる必要ないと思う」
盗み聞きしていた陽子が、なにかと第零師団にこだわるシェリーに疑問を投げかける。
現状マルス帝国に普通に入国することはできる。半年前にシェリーがマルス帝国に行ったときは、表向きは何も変わらない日常が過ぎていっているように見えた。
だが、マルス帝国が今まで行ってきた現状を見るに、帝国内を調査していると怪しまれ、直ぐに捕縛される可能性がある。いや、可能性ではなく絶対といいきれる。
半年も経てば監視機能の性能も向上していることだろう。
だから、師団長であるツヴェークにマルス帝国に行かなくていいとシェリーは言っている。
このことから、陽子はシェリーが第零師団を早急に立ち上げる必要はないと。
「陽子さん。脳筋共に情報収集ができると思っているのですか?」
「無理だね」
シェリーの言葉に陽子ははっきりと答える。陽子のダンジョンをことごとく壊してくれた獣人たちに頭脳戦を求めるのは、愚の骨頂だと。
「目も耳も無いのならせめて、目だけでも国内に放った方がいいに決まっています。あんな王都の外から攻撃されるなんて!私のルーちゃんに何かあったらどうしてくれるのですか!」
「うん。ササっちのそのルーくんに対してブレないとこ、陽子さん好きだよ」
シェリーは中止になってしまった剣術大会のことを言っているのだ。もし、監視の目が張り巡らせていれば、怪しい動きを国内でしている者たちを見つけられたかもしれない。
そうすれば、王都内に雨のような砲弾が降ってくることは無かったはずだと。
「陽子さんも、さっさと王都全域を掌握してください!」
「陽子さんに飛び火した!」
シェリーと陽子がそのような話をしている近くで、シュロスが黒い墓石のような物の前で、『こうすれば天の火を放つことができるんだ』と炎王に説明している。
「シュロス王!そんなモノを放ったら、王都全体が吹っ飛ぶのでしないでください!」
「流石に、それはしない」
「それから、元々あったという結界を再構築してください」
結界。それは第一層の壁のところにあったという結界のことだろう。ナヴァル家がこの地にやってきた時には、ほぼ機能していなかった結界だ。
「何か増えている!佐々木さん、俺を扱き使い過ぎじゃないのか?」
「できますよね?」
「それまた俺に拒否権がないやつじゃないか」
シュロスはそう言って、肩を落とす。が、言うほど本気で嫌がっている様子ではない。
ただ、言葉の投げかけ合いを楽しんでいるようだった。
「うぉ!なんでここで攻撃してくるんだ!佐々木さんの彼氏、暴力的すぎるぞ!」
そんな馴れ馴れしい雰囲気を感じたカイルが、シュロスに向かって氷の刃を投げはなったのだった。
「ということで、ダンジョンの件は問題ありません」
「何が『ということ』なんだ?シェリー」
ここは王都の西区第三層にある冒険者ギルドだ。年明け早々に訪れたときには、仕事人間を体現したかのようなニールしか、ギルド内に居なかった。だが、今日はいつもの平穏を取り戻したかのように、ギルド内には人の姿を見かける。
しかし、昼間であるため、冒険者よりも職員の方が多くいた。
「全然説明になってない。それはダンジョンに行くのが面倒くさかったのか、行く時間がなかったのかどっちだ?」
いつもの席で不機嫌な表情をしながらタバコを吹かして、シェリーを問い詰めているのは、補佐官のニールである。
その横には番である鬼族のオリビアもいるが、いつもと違って緊張をしているのか、ニールの横に座ったままピクリとも動かない。
「行けなかったということです。ですが、『愚者の常闇』ダンジョンは問題ありません」
シェリーは、ニールから陽子のダンジョンから見たこともない魔物が大量にでてきたことについて、調査を依頼されていた。
だが、年明け早々に宣戦布告のように、次元の悪魔が空から襲撃して、王都を離れることになったのだ。
今まで居なかったのだから、表向きは陽子のダンジョンには行くことはできない。
「ですから、代わりに行ってきてもらった証拠の薬草です」
シェリーはそう言って、薬草というには薄い黄色い花をニールに突きつけた。
「……確かに太陽の日が当たらないところにしか生えない月光花だけどな。頼み事をするような御仁じゃないだろう!常識を身につけろと散々言ってきただろうが!」
ニールは、シェリーの背後で苦笑いを浮かべながら立っている炎王を見ながら叫んだのだった。
シェリーはかなり横暴なことを口にした。第三師団を半分に分けることにもかなり問題が大きくなったのに、それを丸ごと異動させようと……いや、第三師団を無くして第零師団にしようと言っている。
「陽子さん。よくわからないのだけど、そこまで第零師団って必要なのかな?結局マルス帝国に入国するのが危険すぎるっていうなら、そこまでこだわる必要ないと思う」
盗み聞きしていた陽子が、なにかと第零師団にこだわるシェリーに疑問を投げかける。
現状マルス帝国に普通に入国することはできる。半年前にシェリーがマルス帝国に行ったときは、表向きは何も変わらない日常が過ぎていっているように見えた。
だが、マルス帝国が今まで行ってきた現状を見るに、帝国内を調査していると怪しまれ、直ぐに捕縛される可能性がある。いや、可能性ではなく絶対といいきれる。
半年も経てば監視機能の性能も向上していることだろう。
だから、師団長であるツヴェークにマルス帝国に行かなくていいとシェリーは言っている。
このことから、陽子はシェリーが第零師団を早急に立ち上げる必要はないと。
「陽子さん。脳筋共に情報収集ができると思っているのですか?」
「無理だね」
シェリーの言葉に陽子ははっきりと答える。陽子のダンジョンをことごとく壊してくれた獣人たちに頭脳戦を求めるのは、愚の骨頂だと。
「目も耳も無いのならせめて、目だけでも国内に放った方がいいに決まっています。あんな王都の外から攻撃されるなんて!私のルーちゃんに何かあったらどうしてくれるのですか!」
「うん。ササっちのそのルーくんに対してブレないとこ、陽子さん好きだよ」
シェリーは中止になってしまった剣術大会のことを言っているのだ。もし、監視の目が張り巡らせていれば、怪しい動きを国内でしている者たちを見つけられたかもしれない。
そうすれば、王都内に雨のような砲弾が降ってくることは無かったはずだと。
「陽子さんも、さっさと王都全域を掌握してください!」
「陽子さんに飛び火した!」
シェリーと陽子がそのような話をしている近くで、シュロスが黒い墓石のような物の前で、『こうすれば天の火を放つことができるんだ』と炎王に説明している。
「シュロス王!そんなモノを放ったら、王都全体が吹っ飛ぶのでしないでください!」
「流石に、それはしない」
「それから、元々あったという結界を再構築してください」
結界。それは第一層の壁のところにあったという結界のことだろう。ナヴァル家がこの地にやってきた時には、ほぼ機能していなかった結界だ。
「何か増えている!佐々木さん、俺を扱き使い過ぎじゃないのか?」
「できますよね?」
「それまた俺に拒否権がないやつじゃないか」
シュロスはそう言って、肩を落とす。が、言うほど本気で嫌がっている様子ではない。
ただ、言葉の投げかけ合いを楽しんでいるようだった。
「うぉ!なんでここで攻撃してくるんだ!佐々木さんの彼氏、暴力的すぎるぞ!」
そんな馴れ馴れしい雰囲気を感じたカイルが、シュロスに向かって氷の刃を投げはなったのだった。
「ということで、ダンジョンの件は問題ありません」
「何が『ということ』なんだ?シェリー」
ここは王都の西区第三層にある冒険者ギルドだ。年明け早々に訪れたときには、仕事人間を体現したかのようなニールしか、ギルド内に居なかった。だが、今日はいつもの平穏を取り戻したかのように、ギルド内には人の姿を見かける。
しかし、昼間であるため、冒険者よりも職員の方が多くいた。
「全然説明になってない。それはダンジョンに行くのが面倒くさかったのか、行く時間がなかったのかどっちだ?」
いつもの席で不機嫌な表情をしながらタバコを吹かして、シェリーを問い詰めているのは、補佐官のニールである。
その横には番である鬼族のオリビアもいるが、いつもと違って緊張をしているのか、ニールの横に座ったままピクリとも動かない。
「行けなかったということです。ですが、『愚者の常闇』ダンジョンは問題ありません」
シェリーは、ニールから陽子のダンジョンから見たこともない魔物が大量にでてきたことについて、調査を依頼されていた。
だが、年明け早々に宣戦布告のように、次元の悪魔が空から襲撃して、王都を離れることになったのだ。
今まで居なかったのだから、表向きは陽子のダンジョンには行くことはできない。
「ですから、代わりに行ってきてもらった証拠の薬草です」
シェリーはそう言って、薬草というには薄い黄色い花をニールに突きつけた。
「……確かに太陽の日が当たらないところにしか生えない月光花だけどな。頼み事をするような御仁じゃないだろう!常識を身につけろと散々言ってきただろうが!」
ニールは、シェリーの背後で苦笑いを浮かべながら立っている炎王を見ながら叫んだのだった。
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