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26章 建国祭
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ミゲルロディアの言葉から、直接本人と何かを話したようだ。
「問題はグローリア国の成り立ちにあるのだが、これはラースの問題でもある。あまりこの事を話題に出すとナディア様の機嫌を損なう可能性があるので避けるが」
これはオリバーが我々の祖が大魔女エリザベートだと言っていることに由来するのだろう。女神ナディアの愛子であった大魔女エリザベート。
「グローリア国の王族としての基準がとても明確だ。銀髪に赤目の魔眼を持ち、その上高魔力の者のみが王族として認められる」
明確というより、外見重視だと言わんばかりだ。血が混じれば、その色合いも違ってくる。当たり前のことを否定されていたのだ。
「あの者の妹はその基準から外れ、母親共々亡き者にされた。それは国を恨みたくもなるだろう?」
基準から外れただけで殺されるとは、王族の闇はかなり深い。このようなことを聞くとオリバーが命があるのは奇跡的だったと言うことがわかる。なんせオリバーが満たしたのは高魔力というだけで、外見は金髪で普通の青い瞳だ。
オリバーの師という者に拾われなければ、その生命を落としていたことは明白だ。
「私が言いたいことは、今回の襲撃はこのラース公国だけであるなら、敵国を想定しただろう。5千年前から存在するこの国を維持する為に、色々な犠牲を強いてきたのだ。その憎悪という物は計り知れない」
それはラースの一族に強いていたモノでもあり、国民に強いていたものでもあり、ラース公国を陥れたい国であったり、仮定はできる。
「だが、同時にシーラン王国の王都メイルーンも襲撃されたとなれば、話が違ってくる」
シェリーからもたらされた情報が、ミゲルロディアに危機感を抱かせたようだ。
「私は最悪世界中に次元の悪魔が落とされたと考えている」
「そうですか」
ミゲルロディアの言葉はこの大陸に存在する国の首都全てに次元の悪魔が襲撃したと言っている。それに対して、シェリーはそういうこともあるだろうと、相づちを打つ。
「驚いていないのか」
「ええ、白き神から大陸の南に行くように言われていますので、大陸全土に戦火が飛び火すると想定していましたから」
確かにその言葉をシェリーは言っていた。
「そうですね。リオンさん」
突然、シェリーに名を呼ばれたリオンがニコリと笑みを浮かべて応える。
「なんだ?シェリー」
「炎王が時どき連絡に使っている方法で連絡を取ることはできますか?」
その言葉にリオンの機嫌が急降下する。また炎王なのかという態度だ。
「できるが……」
連絡をとることはできるが、したくないという感じがありありと醸し出されている。
「連絡をとってください」
「……はぁ」
シェリーの言葉に渋々と言う感じで、ため息を吐きながら、視線を下に落とすリオン。
「初代様。今、お時間大丈夫でしょうか?そうですか、お忙しいですか」
連絡はついたが、炎王の忙しいという理由から、リオンはそのまま引き下がろうとした。しかし、そのような事はシェリーが許すはずはない。
「リオンさん。炎王は政務を担っていませんので暇です。ここに来てもらってください」
「……」
リオンはシェリーが言うように、炎王に食って掛かるような言葉を言う事はできない。しかし、シェリーは視線でリオンにこのまま引き下がることは、させないと言っている。
「初代様。シェリーがどうしても話がしたいことがあるというので、来ていただきたいのですが……はい。いいえ、今は屋敷内ではありません」
炎王は以前、陽子に来て欲しいと言われ、オリバーの結界に殺されかけたので、今いる場所を確認したのだろう。
確かに王都メイルーンの屋敷ではない。
「え?初代様ってことは龍人の炎王ってこと!そんな人物がここに来るの?」
慌てて使用人に指示を出すオーウィルディア。国賓を……それも千年も炎国を治めてきた人物を迎えるような準備は、直ぐにできないと慌て出す。以前、オーウィルディアと会ったのは、次元の悪魔討伐にシェリーによって連れて来られただけで、直ぐに去ってしまったのだ。だから、挨拶すらしていなかった。
「オーウィルディア様。炎王にそこまで気を使う必要はありません」
オーウィルディアの慌て様にシェリーはズバッと切り捨てる。
「そんなことできるはずないじゃない!相手は龍人の炎王なのでしょう?」
龍人の炎王。初代以外は全て鬼族のため、区別されているようだ。
「叔父上。普通にシェリーの屋敷に現れて、帰って行くのでそこまで気を使う必要ないですよ」
グレイはオーウィルディアにその様にいうが、シェリーと共にいる炎王がかなり砕けた感じだということは知らないのだ。
そのとき、リオンの近くの空間が歪み、黒髪に和装を模した衣服をまとった青年が、空間の隙間を通るように現れた。
いつもと違う風景にシェリーの姿を見つけた炎王の第一声は……
「佐々木さん。何故、晩餐中に呼び出した」
だった。確かに、一国の国主主催の晩餐と言って良い状況だ。普通は人を呼びつける状況ではない。
「まだ、食べ始めてはいません」
「問題はグローリア国の成り立ちにあるのだが、これはラースの問題でもある。あまりこの事を話題に出すとナディア様の機嫌を損なう可能性があるので避けるが」
これはオリバーが我々の祖が大魔女エリザベートだと言っていることに由来するのだろう。女神ナディアの愛子であった大魔女エリザベート。
「グローリア国の王族としての基準がとても明確だ。銀髪に赤目の魔眼を持ち、その上高魔力の者のみが王族として認められる」
明確というより、外見重視だと言わんばかりだ。血が混じれば、その色合いも違ってくる。当たり前のことを否定されていたのだ。
「あの者の妹はその基準から外れ、母親共々亡き者にされた。それは国を恨みたくもなるだろう?」
基準から外れただけで殺されるとは、王族の闇はかなり深い。このようなことを聞くとオリバーが命があるのは奇跡的だったと言うことがわかる。なんせオリバーが満たしたのは高魔力というだけで、外見は金髪で普通の青い瞳だ。
オリバーの師という者に拾われなければ、その生命を落としていたことは明白だ。
「私が言いたいことは、今回の襲撃はこのラース公国だけであるなら、敵国を想定しただろう。5千年前から存在するこの国を維持する為に、色々な犠牲を強いてきたのだ。その憎悪という物は計り知れない」
それはラースの一族に強いていたモノでもあり、国民に強いていたものでもあり、ラース公国を陥れたい国であったり、仮定はできる。
「だが、同時にシーラン王国の王都メイルーンも襲撃されたとなれば、話が違ってくる」
シェリーからもたらされた情報が、ミゲルロディアに危機感を抱かせたようだ。
「私は最悪世界中に次元の悪魔が落とされたと考えている」
「そうですか」
ミゲルロディアの言葉はこの大陸に存在する国の首都全てに次元の悪魔が襲撃したと言っている。それに対して、シェリーはそういうこともあるだろうと、相づちを打つ。
「驚いていないのか」
「ええ、白き神から大陸の南に行くように言われていますので、大陸全土に戦火が飛び火すると想定していましたから」
確かにその言葉をシェリーは言っていた。
「そうですね。リオンさん」
突然、シェリーに名を呼ばれたリオンがニコリと笑みを浮かべて応える。
「なんだ?シェリー」
「炎王が時どき連絡に使っている方法で連絡を取ることはできますか?」
その言葉にリオンの機嫌が急降下する。また炎王なのかという態度だ。
「できるが……」
連絡をとることはできるが、したくないという感じがありありと醸し出されている。
「連絡をとってください」
「……はぁ」
シェリーの言葉に渋々と言う感じで、ため息を吐きながら、視線を下に落とすリオン。
「初代様。今、お時間大丈夫でしょうか?そうですか、お忙しいですか」
連絡はついたが、炎王の忙しいという理由から、リオンはそのまま引き下がろうとした。しかし、そのような事はシェリーが許すはずはない。
「リオンさん。炎王は政務を担っていませんので暇です。ここに来てもらってください」
「……」
リオンはシェリーが言うように、炎王に食って掛かるような言葉を言う事はできない。しかし、シェリーは視線でリオンにこのまま引き下がることは、させないと言っている。
「初代様。シェリーがどうしても話がしたいことがあるというので、来ていただきたいのですが……はい。いいえ、今は屋敷内ではありません」
炎王は以前、陽子に来て欲しいと言われ、オリバーの結界に殺されかけたので、今いる場所を確認したのだろう。
確かに王都メイルーンの屋敷ではない。
「え?初代様ってことは龍人の炎王ってこと!そんな人物がここに来るの?」
慌てて使用人に指示を出すオーウィルディア。国賓を……それも千年も炎国を治めてきた人物を迎えるような準備は、直ぐにできないと慌て出す。以前、オーウィルディアと会ったのは、次元の悪魔討伐にシェリーによって連れて来られただけで、直ぐに去ってしまったのだ。だから、挨拶すらしていなかった。
「オーウィルディア様。炎王にそこまで気を使う必要はありません」
オーウィルディアの慌て様にシェリーはズバッと切り捨てる。
「そんなことできるはずないじゃない!相手は龍人の炎王なのでしょう?」
龍人の炎王。初代以外は全て鬼族のため、区別されているようだ。
「叔父上。普通にシェリーの屋敷に現れて、帰って行くのでそこまで気を使う必要ないですよ」
グレイはオーウィルディアにその様にいうが、シェリーと共にいる炎王がかなり砕けた感じだということは知らないのだ。
そのとき、リオンの近くの空間が歪み、黒髪に和装を模した衣服をまとった青年が、空間の隙間を通るように現れた。
いつもと違う風景にシェリーの姿を見つけた炎王の第一声は……
「佐々木さん。何故、晩餐中に呼び出した」
だった。確かに、一国の国主主催の晩餐と言って良い状況だ。普通は人を呼びつける状況ではない。
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