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26章 建国祭
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一方その頃シーラン王国-王都メイルーンではシェリーたちが去った後、一人残されたグレットは片手を黒い巨体の右肩のところに突き刺していた。
「残念だったッスね。俺には魔眼は効かないッスよ」
そう言って、右手を巨体の肩から引き抜き、その手には黒い塊を持っていた。グレットはその黒く丸い塊をぐしゃりと握り潰す。
シェリーの刀でも突き刺せなかった次元の悪魔の魔核をいとも簡単にグレットは壊したのだ。流石、蛇人と言ったところか。いや、過酷な討伐戦を生き抜いた者ということだ。
グレットは先程次元の悪魔が落ちてきた空を見上げる。何もない冬の白群色の空が頭上に広がっているだけで、次元の悪魔が出てきた空間など既に閉じて存在していなかった。
「うーん?これはどう考えれば良いっすかね?」
グレットは何か引っかかるようだ。しかし、考えてもわからないものは、わからないと、グレットは周りを見渡す。
新人教育は副師団長のルジオーネ辺りが指揮をとってしているだろうから、グレットは対処できていない次元の悪魔がいるか探しているのだ。
そのグレットに声をかける者がいる。
「グレットが始末してくれたのか」
その声に視線を向けると、同じ蛇人であるヒューレクレトがいた。
「第5師団長。お疲れ様っす!」
「お前いつも言っているがその言葉遣いをなんとかしろ!」
スラーヴァル公爵家の当主であるヒューレクレトからすれば、代々この国を支えてきた一族として、その軽薄な態度が許せないのだろう。
「それで第5師団長はどおしたんっすか?確か南地区の担当だったすよね」
ここは北地区のため、南地区の警備を担当していたヒューレクレトがいるのがおかしいとグレットは尋ねる。勿論、ヒューレクレトの小言は聞こえてはいるが、いつものもとなのでグレットは無視をする。
「はぁ、南地区は第6副師団長が全て受け持つから、手薄な北地区に行くように言われたのだ」
どうやらルジオーネは南地区を新人教育の場として用いるようだ。しかし、一般市民が多く住む南地区での戦闘行為は如何なものかと思えるが、政治的観点から見れば、一番都合がいいのが、南地区だったのだろう。
いや、確かシェリーとユーフィアの通信の背後で侍女のセーラがルジオーネに魔道結界を持っていくと言っていたのはこのためだったと思われた。
「そうなんっすね。でも、この近くにはリベラ軍部指令総監もいるっすから、すでに北地区には次元の悪魔はいないっすね」
そう、この北地区には先程までシェリーと共にいたリベラ大佐がいる。討伐戦の英雄の一人に挙げられる彼女であれば、次元の悪魔など、ゴブリンを捻り潰すが如く簡単に討伐したことだろう。
「なんだ?リベラ大佐がいるのか?ならば、西地区に行った方が良かったか?」
「どおっすかね。ここから戦闘の音が聞こえないっすから、終わっているかもしれないっすね。東地区は派手な音が聞こえるっすから、ナヴァル公爵夫人が出ているっぽいっすね」
北地区から西地区と東地区はそれなりに距離があるが、グレットには戦闘の音が分かるらしい。
「しかし、第5師団長。通信機で連絡とればいいじゃないっすか」
このようなことはグレットに聞かずとも、手が足りないところはないのかと通信すればいいのだ。そもそも今回の為にユーフィアに通信機を作ってもらったと言っても過言ではない。
「むっ。魔道具は好まん」
ヒューレクレトの好みの問題だけだった。これだと、通信機の意味がない。
「そう言えば、お前はなぜ空を見上げていたのだ?」
自分の都合の悪いことを言われたために、ヒューレクレトは話題を変えた。ヒューレクレトがグレットに声をかける前に確かに空を見上げていた。ヒューレクレト自身何かと直感というものを信じるタイプだ。この直感がグレットの大したことがない行動が気になると告げたのだ。
「あ、それっすか?いや、普通に現れたなっと思っただけっす」
普通に現れた。次元の悪魔の名の由来通り、次元を切り裂いて空間を超えて現れたのだ。そこに何を疑問に思うことがあるのだろう。
「まぁ、普通だったな。それが気になったのか?」
「いや、それが年末に団長の家に現れた次元の悪魔と話を聞く限り違うと思ったっす」
「それは、帝国が送り込んできたという、次元の悪魔のことだろう?」
確証は無いものの状況的判断から、帝国の仕業だと決めつけた事件のことだ。
「それなんっすけど、団長の屋敷に現れた次元の悪魔は無理やり空間を固定化して、開き続けたところに、巨体が侵入して転移門が壊れたと聞いたっす。だけど、今回は空はきれいなままっす」
そう言ってグレットは空を見上げ、それに釣られるようにヒューレクレトも青い空を見上げた。
「これは帝国ではない第3者が関わったとみるべきっす。確信は無いっすけど」
グレットは状況から次元の悪魔を送り込んだのは、第3者だと予想したのだった。
「残念だったッスね。俺には魔眼は効かないッスよ」
そう言って、右手を巨体の肩から引き抜き、その手には黒い塊を持っていた。グレットはその黒く丸い塊をぐしゃりと握り潰す。
シェリーの刀でも突き刺せなかった次元の悪魔の魔核をいとも簡単にグレットは壊したのだ。流石、蛇人と言ったところか。いや、過酷な討伐戦を生き抜いた者ということだ。
グレットは先程次元の悪魔が落ちてきた空を見上げる。何もない冬の白群色の空が頭上に広がっているだけで、次元の悪魔が出てきた空間など既に閉じて存在していなかった。
「うーん?これはどう考えれば良いっすかね?」
グレットは何か引っかかるようだ。しかし、考えてもわからないものは、わからないと、グレットは周りを見渡す。
新人教育は副師団長のルジオーネ辺りが指揮をとってしているだろうから、グレットは対処できていない次元の悪魔がいるか探しているのだ。
そのグレットに声をかける者がいる。
「グレットが始末してくれたのか」
その声に視線を向けると、同じ蛇人であるヒューレクレトがいた。
「第5師団長。お疲れ様っす!」
「お前いつも言っているがその言葉遣いをなんとかしろ!」
スラーヴァル公爵家の当主であるヒューレクレトからすれば、代々この国を支えてきた一族として、その軽薄な態度が許せないのだろう。
「それで第5師団長はどおしたんっすか?確か南地区の担当だったすよね」
ここは北地区のため、南地区の警備を担当していたヒューレクレトがいるのがおかしいとグレットは尋ねる。勿論、ヒューレクレトの小言は聞こえてはいるが、いつものもとなのでグレットは無視をする。
「はぁ、南地区は第6副師団長が全て受け持つから、手薄な北地区に行くように言われたのだ」
どうやらルジオーネは南地区を新人教育の場として用いるようだ。しかし、一般市民が多く住む南地区での戦闘行為は如何なものかと思えるが、政治的観点から見れば、一番都合がいいのが、南地区だったのだろう。
いや、確かシェリーとユーフィアの通信の背後で侍女のセーラがルジオーネに魔道結界を持っていくと言っていたのはこのためだったと思われた。
「そうなんっすね。でも、この近くにはリベラ軍部指令総監もいるっすから、すでに北地区には次元の悪魔はいないっすね」
そう、この北地区には先程までシェリーと共にいたリベラ大佐がいる。討伐戦の英雄の一人に挙げられる彼女であれば、次元の悪魔など、ゴブリンを捻り潰すが如く簡単に討伐したことだろう。
「なんだ?リベラ大佐がいるのか?ならば、西地区に行った方が良かったか?」
「どおっすかね。ここから戦闘の音が聞こえないっすから、終わっているかもしれないっすね。東地区は派手な音が聞こえるっすから、ナヴァル公爵夫人が出ているっぽいっすね」
北地区から西地区と東地区はそれなりに距離があるが、グレットには戦闘の音が分かるらしい。
「しかし、第5師団長。通信機で連絡とればいいじゃないっすか」
このようなことはグレットに聞かずとも、手が足りないところはないのかと通信すればいいのだ。そもそも今回の為にユーフィアに通信機を作ってもらったと言っても過言ではない。
「むっ。魔道具は好まん」
ヒューレクレトの好みの問題だけだった。これだと、通信機の意味がない。
「そう言えば、お前はなぜ空を見上げていたのだ?」
自分の都合の悪いことを言われたために、ヒューレクレトは話題を変えた。ヒューレクレトがグレットに声をかける前に確かに空を見上げていた。ヒューレクレト自身何かと直感というものを信じるタイプだ。この直感がグレットの大したことがない行動が気になると告げたのだ。
「あ、それっすか?いや、普通に現れたなっと思っただけっす」
普通に現れた。次元の悪魔の名の由来通り、次元を切り裂いて空間を超えて現れたのだ。そこに何を疑問に思うことがあるのだろう。
「まぁ、普通だったな。それが気になったのか?」
「いや、それが年末に団長の家に現れた次元の悪魔と話を聞く限り違うと思ったっす」
「それは、帝国が送り込んできたという、次元の悪魔のことだろう?」
確証は無いものの状況的判断から、帝国の仕業だと決めつけた事件のことだ。
「それなんっすけど、団長の屋敷に現れた次元の悪魔は無理やり空間を固定化して、開き続けたところに、巨体が侵入して転移門が壊れたと聞いたっす。だけど、今回は空はきれいなままっす」
そう言ってグレットは空を見上げ、それに釣られるようにヒューレクレトも青い空を見上げた。
「これは帝国ではない第3者が関わったとみるべきっす。確信は無いっすけど」
グレットは状況から次元の悪魔を送り込んだのは、第3者だと予想したのだった。
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