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25章-4 冬期休暇-悪魔という存在
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残りの4つの悪魔の揺り籠はすべてユールクスの部下のモノたちの手によって、破壊され中身も駆除された。
そして、不完全な悪魔たちの魔核は存在せず、シェリーは再び心を揺さぶる一階層から、どこの階層かわからない応接室に戻っていた。
「ラースの言葉を疑って申し訳なかった」
ユールクスはそう言いてシェリーに対して頭を下げた。それに対してシェリーは淡々と言葉にする。
「それは信じられないことだったと理解できますので、謝罪の言葉は受け取りますが、一体の悪魔を逃したことには不満に思います」
チクリとシェリーはユールクスに言った。あの状況で逃がすなどあり得ないと。
「それは、あの者が予想外な行動を取ったからだ。ダンジョンの外に出てしまえば、我は手が出せぬ」
まさか悪魔が背を向けて逃げるとは思えなかったと。
やはり、シェリーはユールクスに任せずにさっさと始末すればよかったのではと考えていた。しかし、終わったことを今更グジグジと言っても仕方がない。
「だが、我もただで逃したわけではない。印をつけておいた。今はダンジョンの上を飛んているようだ。地に着けば、ダンジョンに引きずり込むことができる」
ユールクスはそう言って今は何もない天井を仰ぎ見ている。これは後始末は自分自身で行なうとユールクスは意志を示したのだろう。
この広大なユールクスのダンジョンからは普通の者であれば逃げ切れない。だた、上空を飛ぶもの以外はと付け加えなければならいが。
「この分だと、空島に逃げられそうだな」
やはり、空のモノは空に帰るのだろう。しかし、また不可解なことが増えた。完全体の悪魔とは何だろうか。
「ふむ。ダンジョンの力を奪い取って悪魔と化していたというのは、些か腹が立つものだな。しかし、監視の目が必要だというのはどうすべきか」
ユールクスが何かを考えているようだが、ユールクスの配下は基本的にゾンビ系だ。その者たちを複数配置するとなると、異界の都市がゾンビタウンになりそうだ。
シェリーはその様な姿の街並みを想像してしまい。大きく溜息を吐くのだった。
そして一方、グレイとオルクスは二人して顔をしかめて立っていた。その原因はニールから受けた依頼の一つであった。ダンジョンのスタンピード疑いの調査だった。
二人の目の前には曇天の空の下、広大な湖が広がっている。対岸までは1キロメルはあるように見えた。そこまでは良い。普通は湖に沿うように進んでいき、その奥に見える森へ進むのが正式なルートだ。
ただ、湖の中央にその場には似合わない物体が存在していた。そう、黒い球体が湖の上に浮いているように悠然と存在しているのだ。
「あれ怪しいよな」
オクルスが確信を持って言う。その横ではグレイは頷いているものの、困惑の表情を浮かべていた。
「オルクス。どう考えても近づけないけど?」
その言葉にオルクスは低く唸るような声を出す。どうみても怪しい物体があるのに、そこに近づくことができそうにない。
カイルがここに居れば、第二形態で翼を生やして空を飛べただろう。スーウェンであれば、魔術で離れた距離のモノに攻撃ができたであろう。
だが、二人は獣人であり魔術は得意ではなく、空も飛ぶことができない。
「カイルがいたら水を凍らせてくれそうなのになぁ」
確かにカイルは感情が漏れただけで、周りに与える影響は甚大だった。だから、この湖を凍らせて足場を作ることぐらい容易だろう。
「そう言えば、あの黒狼って空を駆けていたな」
グレイがクロードとの手合わせの時を思い出して言葉にする。
「ん?じゃ、水の上って走れるんじゃないか?」
オルクスが思いついた様に言った。そして、グレイの返事を待たずに足を一歩踏み出す。
「待てオルクス!」
グレイが引き止める声と同時に、雷電をまとったオルクスがグレイの隣から消えて行った。そして、水しぶきが水面から立ち上り、一直線に怪しい黒い球体に向かって行っている。
その姿を見たグレイは溜息を吐き出す。
「だからなぁ。後先考えずに行動するのをやめろって言っているのに、あの中に何が入っているかわからないまま突っ込むのは危険すぎる」
ここに来るまでオルクスに色々振り回されたグレイは苦労してきたようだ。
そして、グレイは双剣を抜き、何が起こっても対処できるように構えを取っておく。
水しぶきの一線が黒い球体に近づき、ぶつかった。いや、オルクスが黒い球体に剣を上段から振り下ろしている。
黒い球体を叩き切るように壊していき、そのまま湖まで斬ろうかという勢いだ。だが、そのオルクスの剣が途中で止まった。
黒い殻から突き出される黒く腕に止められている。それ以上はオルクスの剣は進むことができない。中からの物体に剣を止められたことを感じたオルクスは距離を取ろうと身を引いた瞬間。
オルクスの姿は湖の中に没していたのだった。
そして、不完全な悪魔たちの魔核は存在せず、シェリーは再び心を揺さぶる一階層から、どこの階層かわからない応接室に戻っていた。
「ラースの言葉を疑って申し訳なかった」
ユールクスはそう言いてシェリーに対して頭を下げた。それに対してシェリーは淡々と言葉にする。
「それは信じられないことだったと理解できますので、謝罪の言葉は受け取りますが、一体の悪魔を逃したことには不満に思います」
チクリとシェリーはユールクスに言った。あの状況で逃がすなどあり得ないと。
「それは、あの者が予想外な行動を取ったからだ。ダンジョンの外に出てしまえば、我は手が出せぬ」
まさか悪魔が背を向けて逃げるとは思えなかったと。
やはり、シェリーはユールクスに任せずにさっさと始末すればよかったのではと考えていた。しかし、終わったことを今更グジグジと言っても仕方がない。
「だが、我もただで逃したわけではない。印をつけておいた。今はダンジョンの上を飛んているようだ。地に着けば、ダンジョンに引きずり込むことができる」
ユールクスはそう言って今は何もない天井を仰ぎ見ている。これは後始末は自分自身で行なうとユールクスは意志を示したのだろう。
この広大なユールクスのダンジョンからは普通の者であれば逃げ切れない。だた、上空を飛ぶもの以外はと付け加えなければならいが。
「この分だと、空島に逃げられそうだな」
やはり、空のモノは空に帰るのだろう。しかし、また不可解なことが増えた。完全体の悪魔とは何だろうか。
「ふむ。ダンジョンの力を奪い取って悪魔と化していたというのは、些か腹が立つものだな。しかし、監視の目が必要だというのはどうすべきか」
ユールクスが何かを考えているようだが、ユールクスの配下は基本的にゾンビ系だ。その者たちを複数配置するとなると、異界の都市がゾンビタウンになりそうだ。
シェリーはその様な姿の街並みを想像してしまい。大きく溜息を吐くのだった。
そして一方、グレイとオルクスは二人して顔をしかめて立っていた。その原因はニールから受けた依頼の一つであった。ダンジョンのスタンピード疑いの調査だった。
二人の目の前には曇天の空の下、広大な湖が広がっている。対岸までは1キロメルはあるように見えた。そこまでは良い。普通は湖に沿うように進んでいき、その奥に見える森へ進むのが正式なルートだ。
ただ、湖の中央にその場には似合わない物体が存在していた。そう、黒い球体が湖の上に浮いているように悠然と存在しているのだ。
「あれ怪しいよな」
オクルスが確信を持って言う。その横ではグレイは頷いているものの、困惑の表情を浮かべていた。
「オルクス。どう考えても近づけないけど?」
その言葉にオルクスは低く唸るような声を出す。どうみても怪しい物体があるのに、そこに近づくことができそうにない。
カイルがここに居れば、第二形態で翼を生やして空を飛べただろう。スーウェンであれば、魔術で離れた距離のモノに攻撃ができたであろう。
だが、二人は獣人であり魔術は得意ではなく、空も飛ぶことができない。
「カイルがいたら水を凍らせてくれそうなのになぁ」
確かにカイルは感情が漏れただけで、周りに与える影響は甚大だった。だから、この湖を凍らせて足場を作ることぐらい容易だろう。
「そう言えば、あの黒狼って空を駆けていたな」
グレイがクロードとの手合わせの時を思い出して言葉にする。
「ん?じゃ、水の上って走れるんじゃないか?」
オルクスが思いついた様に言った。そして、グレイの返事を待たずに足を一歩踏み出す。
「待てオルクス!」
グレイが引き止める声と同時に、雷電をまとったオルクスがグレイの隣から消えて行った。そして、水しぶきが水面から立ち上り、一直線に怪しい黒い球体に向かって行っている。
その姿を見たグレイは溜息を吐き出す。
「だからなぁ。後先考えずに行動するのをやめろって言っているのに、あの中に何が入っているかわからないまま突っ込むのは危険すぎる」
ここに来るまでオルクスに色々振り回されたグレイは苦労してきたようだ。
そして、グレイは双剣を抜き、何が起こっても対処できるように構えを取っておく。
水しぶきの一線が黒い球体に近づき、ぶつかった。いや、オルクスが黒い球体に剣を上段から振り下ろしている。
黒い球体を叩き切るように壊していき、そのまま湖まで斬ろうかという勢いだ。だが、そのオルクスの剣が途中で止まった。
黒い殻から突き出される黒く腕に止められている。それ以上はオルクスの剣は進むことができない。中からの物体に剣を止められたことを感じたオルクスは距離を取ろうと身を引いた瞬間。
オルクスの姿は湖の中に没していたのだった。
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