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25章-2 冬期休暇-旅行先の不穏な空気
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ルークはロビンの言葉に困惑する。ルークの中で英雄クラスといえば、先日会った第6師団長だ。そのような存在になる?言葉ではわかっていても、英雄クラスになる自分が想像できないでいた。
そして、ルークは再び姉であるシェリーに視線を向ける。
「姉さんはレベル90の壁を超えているの?」
ルークからすれば最もな質問だ。目の前の青年が最低でもレベル90の壁を超えなければならないと言っているのだ。
ただ、シェリーはルークには関わってほしくない事なので、頷くのみにとどめた。
「シェリーちゃんは僕の剣を全て吸収したからね。君が心配することはないよ」
ロビンはニコリと笑っていう。
その言葉にルークは驚く。確か姉はこの者の事を剣聖と言わなかっただろうかと。ならばと、ルークは思い切って目の前の青年の姿をした存在に聞いてみた。
「では、僕がレベル90の壁を超えたら、剣術を教えてもらえますか?」
ルークの言葉にシェリーは慌てて止めようとするが、ロビンはそんなシェリーに視線を向け、口を挟まないように促す。
強くなろうという者にその道を示してやるのも己の役目だと言わんばかりに。
「君に剣術を教えることはできる。だけど、僕の剣は世界の敵を討ち滅ぼす剣だ。おそらく、今まで君が習ってきたものとは違う。それと、これは君にとって不愉快なことかもしれないけど言っておくよ」
ロビンはルークを見て一旦言葉を切った。そして、言葉をいい放つ。
「剣神レピダの加護を持っていない今の君は、剣術を神剣術まで極めることはできない」
剣神レピダ。シェリーの前に人知れず顕れ、シェリーを説得していた神の名だ。
「ではどうすれば···」
神の加護。自分の努力ではどうしようもない事で、無理だと言われてしまえば、その道が閉ざされてしまったことと同じ事。
「悲観することはないよ。僕は『今の君は』と言ったよね。神々は努力をするものに慈悲を与えてくれる。気に入れば加護を与えてくれる。生半可なことでは駄目と言ったのはこういう事だよ」
確かに生半可な気持ちでは神の加護なんて物は戴くことはできないだろう。
「そう、神さまはいつもわたし達を見て下さっているの。わたしの過ちを赦してくださったもの」
ラフテリアはウットリとした表情で天を仰ぐ。直接白き神から赦しを得たことを思い出しでもしているのだろう。
見た目は人だが、その持つ力は人外の域に達している二人を見てルークは尋ねる。
「あなた方は神の加護を得たから、そこまで強い力を持っているのですか?」
そう、ただの疑問だった。何かと神を掲げる二人。ルークは魔人というモノは物語の存在であり、どう魔人と成ったかを知らなかった。
ルークの言葉に二人の雰囲気が変化した。先程まで機嫌よく話していた二人が、全てを射殺すような雰囲気をまといだした。
シェリーは慌ててルークと魔人二人の間に滑り込む。
「申し訳ありません。弟には世界の事は何も教えてはおらず、ラフテリア様とロビン様のことも教えはいないのです」
そう言ってシェリーは二人に頭を下げる。
「姉さん?」
ルークにはシェリーの態度も目の前の二人が何を怒っているのかわからなかった。
「はぁ。そうだね。僕たちは忘れらた存在だからね。今日はこれで帰らせてもらうよ。ああ、そうだ。僕の力が必要になればいつでも声をかけてくればいいよ。古の契約は守らなければならないからね」
ロビンはそう言いながら、転移陣を発動させる。
「黒の6番目、ロビンと遊んでくれてありがとう。久しぶりに楽しそうに剣を振っているロビンが見られて嬉しかったよ」
遊んでいたわけではないが、ラフテリアからすればロビンが楽しそうに剣を交えていることが、嬉しかったようだ。
ラフテリアのその言葉を残して二人は消えていった。
「姉さん。僕は何か間違った事を言ってしまったの?」
消えてしまった二人の人外がいた場所から目が離せず、ルークが言葉を漏らす。
だが、シェリーは首を横に振る。
「これはルーちゃんに世界の事を教えていなかったお姉ちゃんが悪いの。だから、ルーちゃんは悪くない」
「世界のこと?」
「必ずしも真実は正しくはないということ」
シェリーの言っている意味がルークは分からず首を傾げる。
「ルーちゃんには普通の人と同じ世界を見てほしかったから、真実は時として残酷で理不尽だから」
「だから、僕には何も話してくれなかったってこと?家族なのに?」
ルークからそう言われてしまったら、シェリーとしてはこれ以上言葉を紡ぐことはできない。
「姉さんなんて。姉さんなんて大嫌いだ!」
ルークはそう言ってシェリーに背を向け屋敷の中に戻っていった。シェリーは呆然として屋敷の中に消えていくルークの背中を見ていた。そのシェリーの頭の中ではルークの言葉が繰り返し再生されている。
『大嫌いだ。大嫌いだ。大嫌いだ···』
シェリーは地面に膝を付き項垂れる。
「ルーちゃんに嫌われた」
この歳になって初めての姉弟喧嘩(?)だった。
そして、ルークは再び姉であるシェリーに視線を向ける。
「姉さんはレベル90の壁を超えているの?」
ルークからすれば最もな質問だ。目の前の青年が最低でもレベル90の壁を超えなければならないと言っているのだ。
ただ、シェリーはルークには関わってほしくない事なので、頷くのみにとどめた。
「シェリーちゃんは僕の剣を全て吸収したからね。君が心配することはないよ」
ロビンはニコリと笑っていう。
その言葉にルークは驚く。確か姉はこの者の事を剣聖と言わなかっただろうかと。ならばと、ルークは思い切って目の前の青年の姿をした存在に聞いてみた。
「では、僕がレベル90の壁を超えたら、剣術を教えてもらえますか?」
ルークの言葉にシェリーは慌てて止めようとするが、ロビンはそんなシェリーに視線を向け、口を挟まないように促す。
強くなろうという者にその道を示してやるのも己の役目だと言わんばかりに。
「君に剣術を教えることはできる。だけど、僕の剣は世界の敵を討ち滅ぼす剣だ。おそらく、今まで君が習ってきたものとは違う。それと、これは君にとって不愉快なことかもしれないけど言っておくよ」
ロビンはルークを見て一旦言葉を切った。そして、言葉をいい放つ。
「剣神レピダの加護を持っていない今の君は、剣術を神剣術まで極めることはできない」
剣神レピダ。シェリーの前に人知れず顕れ、シェリーを説得していた神の名だ。
「ではどうすれば···」
神の加護。自分の努力ではどうしようもない事で、無理だと言われてしまえば、その道が閉ざされてしまったことと同じ事。
「悲観することはないよ。僕は『今の君は』と言ったよね。神々は努力をするものに慈悲を与えてくれる。気に入れば加護を与えてくれる。生半可なことでは駄目と言ったのはこういう事だよ」
確かに生半可な気持ちでは神の加護なんて物は戴くことはできないだろう。
「そう、神さまはいつもわたし達を見て下さっているの。わたしの過ちを赦してくださったもの」
ラフテリアはウットリとした表情で天を仰ぐ。直接白き神から赦しを得たことを思い出しでもしているのだろう。
見た目は人だが、その持つ力は人外の域に達している二人を見てルークは尋ねる。
「あなた方は神の加護を得たから、そこまで強い力を持っているのですか?」
そう、ただの疑問だった。何かと神を掲げる二人。ルークは魔人というモノは物語の存在であり、どう魔人と成ったかを知らなかった。
ルークの言葉に二人の雰囲気が変化した。先程まで機嫌よく話していた二人が、全てを射殺すような雰囲気をまといだした。
シェリーは慌ててルークと魔人二人の間に滑り込む。
「申し訳ありません。弟には世界の事は何も教えてはおらず、ラフテリア様とロビン様のことも教えはいないのです」
そう言ってシェリーは二人に頭を下げる。
「姉さん?」
ルークにはシェリーの態度も目の前の二人が何を怒っているのかわからなかった。
「はぁ。そうだね。僕たちは忘れらた存在だからね。今日はこれで帰らせてもらうよ。ああ、そうだ。僕の力が必要になればいつでも声をかけてくればいいよ。古の契約は守らなければならないからね」
ロビンはそう言いながら、転移陣を発動させる。
「黒の6番目、ロビンと遊んでくれてありがとう。久しぶりに楽しそうに剣を振っているロビンが見られて嬉しかったよ」
遊んでいたわけではないが、ラフテリアからすればロビンが楽しそうに剣を交えていることが、嬉しかったようだ。
ラフテリアのその言葉を残して二人は消えていった。
「姉さん。僕は何か間違った事を言ってしまったの?」
消えてしまった二人の人外がいた場所から目が離せず、ルークが言葉を漏らす。
だが、シェリーは首を横に振る。
「これはルーちゃんに世界の事を教えていなかったお姉ちゃんが悪いの。だから、ルーちゃんは悪くない」
「世界のこと?」
「必ずしも真実は正しくはないということ」
シェリーの言っている意味がルークは分からず首を傾げる。
「ルーちゃんには普通の人と同じ世界を見てほしかったから、真実は時として残酷で理不尽だから」
「だから、僕には何も話してくれなかったってこと?家族なのに?」
ルークからそう言われてしまったら、シェリーとしてはこれ以上言葉を紡ぐことはできない。
「姉さんなんて。姉さんなんて大嫌いだ!」
ルークはそう言ってシェリーに背を向け屋敷の中に戻っていった。シェリーは呆然として屋敷の中に消えていくルークの背中を見ていた。そのシェリーの頭の中ではルークの言葉が繰り返し再生されている。
『大嫌いだ。大嫌いだ。大嫌いだ···』
シェリーは地面に膝を付き項垂れる。
「ルーちゃんに嫌われた」
この歳になって初めての姉弟喧嘩(?)だった。
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