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25章-1 冬期休暇-辺境から忍び寄る影
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「シェリーさん。それは流石にクストの許可がいるわ。客人となると私だけの問題じゃないですもの。それに、縁もゆかりもない人を」
魔道具のことならば、ユーフィアの采配でどのようにもできるが、このナヴァル公爵家で預かって欲しいということは、当主であるクストの許可が必要となるのは当たり前だ。
「ユーフィアさん。この女性は決戦の火蓋です。わかりますか?エルフ族の女性がハルナ・アキオの居場所を知っているのです」
シェリーは子供に言い聞かすようにゆっくりと言葉を選びながらユーフィアに言う。魔道具の事以外さっぱり興味を持てないユーフィアが理解できるように。
「魔術師であるこの女性がマルス帝国の要人の居場所に転移をして、内側からぶっ壊すいい人材だと思いませんか?」
何れマルス帝国を壊すために、このエルフの女性を使おうとシェリーは言っているのだ。
その言葉にユーフィアは戸惑いを見せる。マルス帝国の奴隷であった女性を家へ帰さずに、いいように使おうというシェリーの言葉はユーフィアにとって心が痛む行いだ。
「シェリーさん。流石にそれは人の行いとしてはどうかと思うわ」
シェリーは鞄から小瓶をユーフィアに差し出した。中身は灰色の液体が入っていた。ただの普通の液体に見えるが、その液体を見たユーフィアはシェリーから奪い取るように小瓶を手にした。
「こ、これはなんて言うモノを!」
ユーフィアはわなわな震えながら、その小瓶を見る。その姿にエルフ族の女性が胸を張って自慢をした。
「アキオ様の素晴らしさがお分かりのようですわね。そう、アキオ様は「パンッ」····」
エルフ族の女性は言葉の続きを紡げなかった。なぜなら、ユーフィアに頬を叩かれたからだ。エルフ族の女性は突然の事に呆然とする。
「これは!これは!人の意思すら奪うモノではないですか!こんなモノを創ってしまったのですか!」
ユーフィアには珍しく怒っていた。己と同じ過ちを、いやそれ以上のモノを召喚者に創られているマルス帝国に。
「こんなモノ?アキオ様の作るの物は素晴らしい物ばかりですわ!普通の魔術師では到達できない領域の物をお作りになられます!魔導師ではないあなた方ではわからないかもしれませんが、私にはわかりますわ!」
エルフの女性は叩かれた頬を押さえながら、ユーフィアに突っかかる。
確かに普通では到達できない領域のモノを創り出したかもしれない。だか、それをユーフィアの前で言うのはどうかと思う。
シェリーはここに来る前にユーフィアの名を出したはずだ。
ユーフィア・ウォルスと。
ここに来てからもシェリーは幾度かエルフの女性の前でユーフィアの名を呼んでいるというのに、その事に気が付かないなんて、やはりエルフ族というは馬鹿なのだろうかとシェリーはため息を吐く。
「そこのエルフ族!黙って聞いておけば、一番素晴らしいのはユーフィア様に決まっております!」
忠犬ならぬ忠狼の金狼マリアがユーフィアを庇いながら、エルフ族の女性に威嚇をしだした。ここでマリアに出しゃばられると、話が進まなくなるので、シェリーはユーフィアに向かって、ここにエルフ族の女性を連れてきたもう一つの目的を言う。
「ユーフィアさん。この恐ろしさが理解できましたか?召喚者は言われたモノを作り出しても、魔具師としても未熟。
だから、このようなモノを作ってしまうのです。ですから、この女性にユーフィアさんの作り方を教えてあげてください」
シェリーの言葉にユーフィアは目を見開く。
「どのような形であろうと、彼はこの世界で生きて行かねばならないでしょう。その時に好き勝手なモノを作り出されても、周りに被害が広がるだけです。しかし、このエルフの女性は奴隷から解放されたというのに召喚者の元に行こうとしました。なら、魔導師であるこの女性に基礎を叩き込めばいいのではないのでしょうか?」
ハルナ・アキオはこの世界で生きていかねばならない。帰る術があるのであれば、ナオフミはビアンカを連れてきっと帰っただろう。この理不尽な世界を捨て去って。しかし、そうしなかったということは帰ることはできなかったと言うことだ。
もし、帰れる可能性があるとすれば、正に神頼みしかない。
シェリーの言葉に、アキオという者が素晴らしいと語っていたエルフ族の女性も、威嚇をしていたマリアも、シェリーに視線を向けた。いったい何を言い出すのだろうかと。
そして、シェリーの言葉を聞いたユーフィアは首を傾げる。
「シェリーさん。そんなまどろっこしい事をしなくても、私が直接そのアキオさん?でしたか。その方に教えればいいのではないのでしょうか?」
ユーフィアの言っていることは最もだ。人から又聞きよりも本人同士で物事を教えた方がいいに決まっている。
しかし、シェリーはため息を吐く。
「それを師団長さんが許すとでも?」
ハルナ アキオ。その名からすれば性別は男性だろう。己の番に異性が近づくことを許すと思っているのだろうか。
シェリーは左頬を押さえる。自分の子でさえ近づく事を許さなかったのだ。
と、突然。外側の壁が破壊された。シェリーはカイルに抱えられ、入り口の方に移動させられ、ユーフィアはマリアに庇われ、何が起こったのかと目を白黒させている。
「俺が何を許さないって?」
魔道具のことならば、ユーフィアの采配でどのようにもできるが、このナヴァル公爵家で預かって欲しいということは、当主であるクストの許可が必要となるのは当たり前だ。
「ユーフィアさん。この女性は決戦の火蓋です。わかりますか?エルフ族の女性がハルナ・アキオの居場所を知っているのです」
シェリーは子供に言い聞かすようにゆっくりと言葉を選びながらユーフィアに言う。魔道具の事以外さっぱり興味を持てないユーフィアが理解できるように。
「魔術師であるこの女性がマルス帝国の要人の居場所に転移をして、内側からぶっ壊すいい人材だと思いませんか?」
何れマルス帝国を壊すために、このエルフの女性を使おうとシェリーは言っているのだ。
その言葉にユーフィアは戸惑いを見せる。マルス帝国の奴隷であった女性を家へ帰さずに、いいように使おうというシェリーの言葉はユーフィアにとって心が痛む行いだ。
「シェリーさん。流石にそれは人の行いとしてはどうかと思うわ」
シェリーは鞄から小瓶をユーフィアに差し出した。中身は灰色の液体が入っていた。ただの普通の液体に見えるが、その液体を見たユーフィアはシェリーから奪い取るように小瓶を手にした。
「こ、これはなんて言うモノを!」
ユーフィアはわなわな震えながら、その小瓶を見る。その姿にエルフ族の女性が胸を張って自慢をした。
「アキオ様の素晴らしさがお分かりのようですわね。そう、アキオ様は「パンッ」····」
エルフ族の女性は言葉の続きを紡げなかった。なぜなら、ユーフィアに頬を叩かれたからだ。エルフ族の女性は突然の事に呆然とする。
「これは!これは!人の意思すら奪うモノではないですか!こんなモノを創ってしまったのですか!」
ユーフィアには珍しく怒っていた。己と同じ過ちを、いやそれ以上のモノを召喚者に創られているマルス帝国に。
「こんなモノ?アキオ様の作るの物は素晴らしい物ばかりですわ!普通の魔術師では到達できない領域の物をお作りになられます!魔導師ではないあなた方ではわからないかもしれませんが、私にはわかりますわ!」
エルフの女性は叩かれた頬を押さえながら、ユーフィアに突っかかる。
確かに普通では到達できない領域のモノを創り出したかもしれない。だか、それをユーフィアの前で言うのはどうかと思う。
シェリーはここに来る前にユーフィアの名を出したはずだ。
ユーフィア・ウォルスと。
ここに来てからもシェリーは幾度かエルフの女性の前でユーフィアの名を呼んでいるというのに、その事に気が付かないなんて、やはりエルフ族というは馬鹿なのだろうかとシェリーはため息を吐く。
「そこのエルフ族!黙って聞いておけば、一番素晴らしいのはユーフィア様に決まっております!」
忠犬ならぬ忠狼の金狼マリアがユーフィアを庇いながら、エルフ族の女性に威嚇をしだした。ここでマリアに出しゃばられると、話が進まなくなるので、シェリーはユーフィアに向かって、ここにエルフ族の女性を連れてきたもう一つの目的を言う。
「ユーフィアさん。この恐ろしさが理解できましたか?召喚者は言われたモノを作り出しても、魔具師としても未熟。
だから、このようなモノを作ってしまうのです。ですから、この女性にユーフィアさんの作り方を教えてあげてください」
シェリーの言葉にユーフィアは目を見開く。
「どのような形であろうと、彼はこの世界で生きて行かねばならないでしょう。その時に好き勝手なモノを作り出されても、周りに被害が広がるだけです。しかし、このエルフの女性は奴隷から解放されたというのに召喚者の元に行こうとしました。なら、魔導師であるこの女性に基礎を叩き込めばいいのではないのでしょうか?」
ハルナ・アキオはこの世界で生きていかねばならない。帰る術があるのであれば、ナオフミはビアンカを連れてきっと帰っただろう。この理不尽な世界を捨て去って。しかし、そうしなかったということは帰ることはできなかったと言うことだ。
もし、帰れる可能性があるとすれば、正に神頼みしかない。
シェリーの言葉に、アキオという者が素晴らしいと語っていたエルフ族の女性も、威嚇をしていたマリアも、シェリーに視線を向けた。いったい何を言い出すのだろうかと。
そして、シェリーの言葉を聞いたユーフィアは首を傾げる。
「シェリーさん。そんなまどろっこしい事をしなくても、私が直接そのアキオさん?でしたか。その方に教えればいいのではないのでしょうか?」
ユーフィアの言っていることは最もだ。人から又聞きよりも本人同士で物事を教えた方がいいに決まっている。
しかし、シェリーはため息を吐く。
「それを師団長さんが許すとでも?」
ハルナ アキオ。その名からすれば性別は男性だろう。己の番に異性が近づくことを許すと思っているのだろうか。
シェリーは左頬を押さえる。自分の子でさえ近づく事を許さなかったのだ。
と、突然。外側の壁が破壊された。シェリーはカイルに抱えられ、入り口の方に移動させられ、ユーフィアはマリアに庇われ、何が起こったのかと目を白黒させている。
「俺が何を許さないって?」
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