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25章-1 冬期休暇-辺境から忍び寄る影
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ダンジョン side
「はぁ?!意味がわかんねぇーよ!」
イライラした雰囲気を醸し出しているのは、陽子にシェリーに会いたいと言い続けていたオルクスである。
「意味わかんなくないよ?陽子さんはちゃんと言ったよ?オニゴッコっていう遊びをしようって。魔物から逃げて中央の塔に来るんだよって」
陽子はオルクスの言葉に心外だという顔をして答える。しかし、オルクスからすればその答えは不服だったのだろう。石の床にあぐらをかいているが、太く長い尻尾をバシバシと床に叩きつけている。
今現在、災害級と言っていい偶発的産物は陽子によって元の場所に戻され、居なくなっている。そして、シェリーが去っていった中央塔の屋上に残りの3人が駆けつけてきたのだ。
「しかしだな。目の前に魔物が立ちふさがると普通は攻撃するだろ?」
リオンもオルクスに同意見なのか、陽子に向かって文句を言っている。
「そこは普通じゃないよ。自分の力量と相手の力量を測って、何を優先して行動を取るか考えるものだよ」
しかし、陽子は違うという。
「そもそもだね。君たちは攻撃性が強すぎるんだよ。何でも殴って蹴れば解決できるものじゃない!竜の兄ちゃんなんか陽子さんのダンジョンに入っても、魔物が居ても居なくても攻略することが最優先だったよ?」
いや、それはただ単にカイルがシェリーのポイントに近づきたかっただけで、そこにダンジョンを攻略しなければという意志があったかはわからない。
文句を言っている三人は、ここには居ないカイルの事を出され増々機嫌が悪くなって来ている。それは勿論、カイルは番であるシェリーを今現在、独り占めしているからだ。
「その前に貴女は我々を強くするために、この様な事をしているのですよね。それは先程の事と言っていることが矛盾しているのではないのですか?」
スーウェンも不満そうに言う。その言葉にオルクスもリオンも頷く。陽子は悪魔と戦える力をつけさす為に力を貸していることは事実だ。だが、今回は敢えて魔物から逃げろと言ったのだ。それは矛盾していると指摘されてしまうだろう。
「えー!なんで陽子さんが悪いってことになるのかなぁ?陽子さんは君達のやる気を出すためにササっちに頼んであげたんだよ?国境付近の依頼を受けに行こうとしているところを引き止めてお願いしたんだよ?」
今度は陽子が彼らに不満を訴える。番であるシェリーに会いたいと言い続けている、特にオルクスを黙らすために陽子はシェリーにお願いをしたのだ。
「依頼を受けに行くからあまり時間を取っては駄目だろうなとか、4人共押しかけるとササっちが嫌な顔をしそうだなっていう事を考慮して、早いもの勝ちにしたんだよ?始めに陽子さんは説明したよ?
オニゴッコの勝者がササっちに会えるよって。Sクラスの魔物を解き放つから、それらから逃げて中央の塔の最上階に来るようにって」
「いや、でもさぁ。行く道を塞がれたら攻撃するのが普通だろ?」
それでもオルクスが不服そうに言う。それはそうだろう。シェリーに会えると意気込んで見たものの、入り組んだ道で思うように進めないと同時に、一筋縄ではいかない魔物が行く道を塞ぐのだ。
引くか排除するかの選択肢を迫られれば、先を急ぐ者の感情としては排除する一択なのだろう。
「だからさぁ。陽子さんはそれが普通じゃないっていっているの!」
陽子はここ1週間同じことを言い続けているのだが、目の前の者達はそれが理解できないようで、力の暴力で解決しようとするのだ。
「そこの狼くんを見てよ!無事ササっちと会えたでしょ!」
そう言って陽子はグレイを指し示す。そのグレイはというと、ニコニコとご機嫌だ。少しの間だけでもシェリーと会えたのだ。
陽子のよくわからないダンジョンを自力で攻略しろと言われ、6日目でやっと30階層まで到着したものの、陽子に全然なってないと文句を言われ、このダンジョンがおかしいと押し問答をしたストレスも解消できて、ご機嫌だ。
そのグレイに3人の視線が突き刺さる。一人だけシェリーに会えたのだ。それは嫉妬もするだろう。
「一番レベルが低いのに」
「ぐふっ!」
そんなグレイに陽子はとどめをさした。グレイの一番気にしていることを陽子は指摘する。
「レベルが低くても狼くんがササっちに会えたのは何故だと思う?」
「狼獣人の速さを生かしたからでしょうか?」
「道を無視してまっすぐ進んだからか?」
「いや、戦わずに進むってこと自体が無理だろう」
三者三様に自分の意見を言うが、それに対し陽子は首を振りため息を吐く。
「本当に種族っていうのか。力を持つ者たちの特徴なのかしらないけど、力を振るわない戦いかたも覚えてよね。ココを使うのココを!」
そう言って陽子は自分の頭を指した。それに対しオルクスが答える。
「黒髪?」
「ちがーう!頭を使えって言っているの!」
陽子はオルクスにブチギレた。そして、いらないことを口走ってしまった。
「やっぱり、ササっちの番は竜の兄ちゃんだけでいいんじゃない?」
「「「「ああ゛?!」」」」
「はぁ?!意味がわかんねぇーよ!」
イライラした雰囲気を醸し出しているのは、陽子にシェリーに会いたいと言い続けていたオルクスである。
「意味わかんなくないよ?陽子さんはちゃんと言ったよ?オニゴッコっていう遊びをしようって。魔物から逃げて中央の塔に来るんだよって」
陽子はオルクスの言葉に心外だという顔をして答える。しかし、オルクスからすればその答えは不服だったのだろう。石の床にあぐらをかいているが、太く長い尻尾をバシバシと床に叩きつけている。
今現在、災害級と言っていい偶発的産物は陽子によって元の場所に戻され、居なくなっている。そして、シェリーが去っていった中央塔の屋上に残りの3人が駆けつけてきたのだ。
「しかしだな。目の前に魔物が立ちふさがると普通は攻撃するだろ?」
リオンもオルクスに同意見なのか、陽子に向かって文句を言っている。
「そこは普通じゃないよ。自分の力量と相手の力量を測って、何を優先して行動を取るか考えるものだよ」
しかし、陽子は違うという。
「そもそもだね。君たちは攻撃性が強すぎるんだよ。何でも殴って蹴れば解決できるものじゃない!竜の兄ちゃんなんか陽子さんのダンジョンに入っても、魔物が居ても居なくても攻略することが最優先だったよ?」
いや、それはただ単にカイルがシェリーのポイントに近づきたかっただけで、そこにダンジョンを攻略しなければという意志があったかはわからない。
文句を言っている三人は、ここには居ないカイルの事を出され増々機嫌が悪くなって来ている。それは勿論、カイルは番であるシェリーを今現在、独り占めしているからだ。
「その前に貴女は我々を強くするために、この様な事をしているのですよね。それは先程の事と言っていることが矛盾しているのではないのですか?」
スーウェンも不満そうに言う。その言葉にオルクスもリオンも頷く。陽子は悪魔と戦える力をつけさす為に力を貸していることは事実だ。だが、今回は敢えて魔物から逃げろと言ったのだ。それは矛盾していると指摘されてしまうだろう。
「えー!なんで陽子さんが悪いってことになるのかなぁ?陽子さんは君達のやる気を出すためにササっちに頼んであげたんだよ?国境付近の依頼を受けに行こうとしているところを引き止めてお願いしたんだよ?」
今度は陽子が彼らに不満を訴える。番であるシェリーに会いたいと言い続けている、特にオルクスを黙らすために陽子はシェリーにお願いをしたのだ。
「依頼を受けに行くからあまり時間を取っては駄目だろうなとか、4人共押しかけるとササっちが嫌な顔をしそうだなっていう事を考慮して、早いもの勝ちにしたんだよ?始めに陽子さんは説明したよ?
オニゴッコの勝者がササっちに会えるよって。Sクラスの魔物を解き放つから、それらから逃げて中央の塔の最上階に来るようにって」
「いや、でもさぁ。行く道を塞がれたら攻撃するのが普通だろ?」
それでもオルクスが不服そうに言う。それはそうだろう。シェリーに会えると意気込んで見たものの、入り組んだ道で思うように進めないと同時に、一筋縄ではいかない魔物が行く道を塞ぐのだ。
引くか排除するかの選択肢を迫られれば、先を急ぐ者の感情としては排除する一択なのだろう。
「だからさぁ。陽子さんはそれが普通じゃないっていっているの!」
陽子はここ1週間同じことを言い続けているのだが、目の前の者達はそれが理解できないようで、力の暴力で解決しようとするのだ。
「そこの狼くんを見てよ!無事ササっちと会えたでしょ!」
そう言って陽子はグレイを指し示す。そのグレイはというと、ニコニコとご機嫌だ。少しの間だけでもシェリーと会えたのだ。
陽子のよくわからないダンジョンを自力で攻略しろと言われ、6日目でやっと30階層まで到着したものの、陽子に全然なってないと文句を言われ、このダンジョンがおかしいと押し問答をしたストレスも解消できて、ご機嫌だ。
そのグレイに3人の視線が突き刺さる。一人だけシェリーに会えたのだ。それは嫉妬もするだろう。
「一番レベルが低いのに」
「ぐふっ!」
そんなグレイに陽子はとどめをさした。グレイの一番気にしていることを陽子は指摘する。
「レベルが低くても狼くんがササっちに会えたのは何故だと思う?」
「狼獣人の速さを生かしたからでしょうか?」
「道を無視してまっすぐ進んだからか?」
「いや、戦わずに進むってこと自体が無理だろう」
三者三様に自分の意見を言うが、それに対し陽子は首を振りため息を吐く。
「本当に種族っていうのか。力を持つ者たちの特徴なのかしらないけど、力を振るわない戦いかたも覚えてよね。ココを使うのココを!」
そう言って陽子は自分の頭を指した。それに対しオルクスが答える。
「黒髪?」
「ちがーう!頭を使えって言っているの!」
陽子はオルクスにブチギレた。そして、いらないことを口走ってしまった。
「やっぱり、ササっちの番は竜の兄ちゃんだけでいいんじゃない?」
「「「「ああ゛?!」」」」
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