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23章 孤独な世界と絆された世界
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転移で降り立ったところは木の板の壁に囲まれた10帖程の部屋で石の円状の台の上だった。炎国の指定された転移の間だ。
シェリーはその部屋を出て、右側を見る。そこには相変わらずシェリーからは頭しか見えないモノが机の上で突っ伏していた。
シェリーはいつもどおり事務机の足を勢いよく蹴飛ばす。その振動で机に突っ伏しいた人物が飛び起き、椅子を後ろに倒しながら立ち上がった。
「申し訳ありませー·····ん?」
その人物は黒髪から2本の白い角が生えており、赤目の長身の男性が目の前のシェリーの見て目を見開いている。
「誰だ!」
確かにこの姿ではシェリーはここを訪れたことはなかった。
「入国理由は買い物で、入国人数は6人です」
しかし、シェリーは入国理由と人数の申告のみを言った。
「だから、誰だ!···あ!リオン殿下!え?もしかして、金髪の嬢ちゃん?なんで黒髪?」
鬼族の男性はシェリーの後ろにいたリオンに気が付き、目の前の黒髪の女性が金髪のシェリーなのかと疑問を持ち、思わずシェリーの黒髪に触った。
シェリーが目の前の鬼族の男性に幼子の様に頭を撫でられたと思ったら、男性が消えた。いや、外に出入りする引き戸の横に穴が空いているので、壁ごとぶっ飛ばされたのだろう。
勝手に入国すると問題がありそうなので、いつも男性が記入している紙に
『シェリー・カークス
入国理由:買い物
入国人数:6人』
と日本語で書き記した。
一応、出入りする扉をスライドさせ、外に出るといつもどおり町の賑わいが溢れていた。
木と土壁で作られた建物が整然と建ち並び、黒光りする瓦が屋根を覆っており、商業で賑わう古い城下町を思わせる雰囲気はシェリーの心をふと緩ませる。
目線を下げると向かい側の建物に人垣ができていた。そこから、先程の鬼族の男性がよたりと出てくる。
「リオン殿下。いきなり殴らないでください」
どうやら、リオンがぶっ飛ばしたらしい。男性は口を切ったのか、手の甲で口元の血を拭いながらこちらに歩いてきた。
「お前が悪い。あと、殿下じゃない」
「え?殿下は王族のままですよね」
「ん?どういうことだ?」
何か齟齬があるようだ。鬼族の男性は再びシェリーに視線を向ける。
「初代様には言わなくてもいいのか?」
シェリーがここに来る理由は買い物もあるが炎王との取り引きの為に訪れているのだ。
「先日お会いしたので必要ないです」
「そうか。一応、上に連絡だけでも入れておくか」
そう言って、男性は壊れた壁から建物の中に入って行った。
シェリーはその姿を横目で見て、歩き出す。日は大分傾いてしまっており、今日こそは一旦家に帰れるだろうかと思いながら、鍛冶師ファブロの鍛冶場に向かうのだった。
大通りから、路地を抜け、人一人分が通れる民家の隙間を通り、広い敷地に出た。その奥には鍛冶師ファブロの鍛冶場の倉庫のような建物が見える。
金属を叩くような音がその建物から鳴り響いている。
シェリーは建物の入り口に立ち、声を掛けるが、シェリーの声など金属を叩く音でかき消えてしまっていた。
だから、シェリーは声に魔力を乗せる。
「『親方さん!新しい素材いりませんか?』」
「なんじゃと!今度はどんな素材だ!」
直ぐに反応があった。ファブロに剣を欲しいと言っても直ぐに対応してくれない。そんなことはファブロにとって日常茶飯事なので、手を止めることは一切ない。
ファブロと直ぐに話をしたければ、素材を提供するのが一番いいのだ。
「嬢ちゃん今度はどんなの···あ?」
ガタイがよく、筋肉質な小柄の親父が建物の奥から喜々として出てきたが、シェリーの姿を見て唖然と目を見開いて立ち止まってしまった。
「あ?いや···だれじゃ?」
やはりこの姿では誰かわからないようだ。だからシェリーは黒い刀を亜空間収納の鞄から取り出す。
「親方さん、この刀とても良かったです。今まで対応できなかったモノを斬ることができましたので、流石です。」
「あ!金髪の嬢ちゃんか。その刀は問題なかったか」
「ええ」
「それを扱えるなんて流石じゃな」
狂刀を作っておきながら、扱えるかは半信半疑だったのだろうか。
「親方さんにお願いがいくつかありまして、一つはレッドドラゴンの牙の双剣を彼にもらえませんか?」
シェリーは建物を見渡しており、俺は関係ないと雰囲気を醸し出していたグレイを指し示した。
「え?俺?」
「相変わらず、わしが何を作っているかをどうやって知り得ているのか、不思議じゃな。待っておれ」
そう言って、ファブロは建物の奥に消えて行った。グレイはシェリーの側に寄ってきて戸惑いを見せている。
「俺は剣が欲しいって言っていないけど?」
シェリーはその部屋を出て、右側を見る。そこには相変わらずシェリーからは頭しか見えないモノが机の上で突っ伏していた。
シェリーはいつもどおり事務机の足を勢いよく蹴飛ばす。その振動で机に突っ伏しいた人物が飛び起き、椅子を後ろに倒しながら立ち上がった。
「申し訳ありませー·····ん?」
その人物は黒髪から2本の白い角が生えており、赤目の長身の男性が目の前のシェリーの見て目を見開いている。
「誰だ!」
確かにこの姿ではシェリーはここを訪れたことはなかった。
「入国理由は買い物で、入国人数は6人です」
しかし、シェリーは入国理由と人数の申告のみを言った。
「だから、誰だ!···あ!リオン殿下!え?もしかして、金髪の嬢ちゃん?なんで黒髪?」
鬼族の男性はシェリーの後ろにいたリオンに気が付き、目の前の黒髪の女性が金髪のシェリーなのかと疑問を持ち、思わずシェリーの黒髪に触った。
シェリーが目の前の鬼族の男性に幼子の様に頭を撫でられたと思ったら、男性が消えた。いや、外に出入りする引き戸の横に穴が空いているので、壁ごとぶっ飛ばされたのだろう。
勝手に入国すると問題がありそうなので、いつも男性が記入している紙に
『シェリー・カークス
入国理由:買い物
入国人数:6人』
と日本語で書き記した。
一応、出入りする扉をスライドさせ、外に出るといつもどおり町の賑わいが溢れていた。
木と土壁で作られた建物が整然と建ち並び、黒光りする瓦が屋根を覆っており、商業で賑わう古い城下町を思わせる雰囲気はシェリーの心をふと緩ませる。
目線を下げると向かい側の建物に人垣ができていた。そこから、先程の鬼族の男性がよたりと出てくる。
「リオン殿下。いきなり殴らないでください」
どうやら、リオンがぶっ飛ばしたらしい。男性は口を切ったのか、手の甲で口元の血を拭いながらこちらに歩いてきた。
「お前が悪い。あと、殿下じゃない」
「え?殿下は王族のままですよね」
「ん?どういうことだ?」
何か齟齬があるようだ。鬼族の男性は再びシェリーに視線を向ける。
「初代様には言わなくてもいいのか?」
シェリーがここに来る理由は買い物もあるが炎王との取り引きの為に訪れているのだ。
「先日お会いしたので必要ないです」
「そうか。一応、上に連絡だけでも入れておくか」
そう言って、男性は壊れた壁から建物の中に入って行った。
シェリーはその姿を横目で見て、歩き出す。日は大分傾いてしまっており、今日こそは一旦家に帰れるだろうかと思いながら、鍛冶師ファブロの鍛冶場に向かうのだった。
大通りから、路地を抜け、人一人分が通れる民家の隙間を通り、広い敷地に出た。その奥には鍛冶師ファブロの鍛冶場の倉庫のような建物が見える。
金属を叩くような音がその建物から鳴り響いている。
シェリーは建物の入り口に立ち、声を掛けるが、シェリーの声など金属を叩く音でかき消えてしまっていた。
だから、シェリーは声に魔力を乗せる。
「『親方さん!新しい素材いりませんか?』」
「なんじゃと!今度はどんな素材だ!」
直ぐに反応があった。ファブロに剣を欲しいと言っても直ぐに対応してくれない。そんなことはファブロにとって日常茶飯事なので、手を止めることは一切ない。
ファブロと直ぐに話をしたければ、素材を提供するのが一番いいのだ。
「嬢ちゃん今度はどんなの···あ?」
ガタイがよく、筋肉質な小柄の親父が建物の奥から喜々として出てきたが、シェリーの姿を見て唖然と目を見開いて立ち止まってしまった。
「あ?いや···だれじゃ?」
やはりこの姿では誰かわからないようだ。だからシェリーは黒い刀を亜空間収納の鞄から取り出す。
「親方さん、この刀とても良かったです。今まで対応できなかったモノを斬ることができましたので、流石です。」
「あ!金髪の嬢ちゃんか。その刀は問題なかったか」
「ええ」
「それを扱えるなんて流石じゃな」
狂刀を作っておきながら、扱えるかは半信半疑だったのだろうか。
「親方さんにお願いがいくつかありまして、一つはレッドドラゴンの牙の双剣を彼にもらえませんか?」
シェリーは建物を見渡しており、俺は関係ないと雰囲気を醸し出していたグレイを指し示した。
「え?俺?」
「相変わらず、わしが何を作っているかをどうやって知り得ているのか、不思議じゃな。待っておれ」
そう言って、ファブロは建物の奥に消えて行った。グレイはシェリーの側に寄ってきて戸惑いを見せている。
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