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21章 聖女と魔女とエルフ
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これがこの話し合いの為にオリバーに頼んでいたことだ。魔力干渉。体内にいくら魔力を保有していようが、術として紡ぐことができなければ、エルフ族を敵視するほどのものでなくなる。
エルフ族の一番厄介なのが、膨大な魔力で紡がれる魔術や魔導術だ。稀に猛将と呼ばれたエルフの様に魔導以外に長けた者も存在するが、それは本当に稀な存在である。
そう、族長の後で剣を抜きにかかろうとしているエルフの様に。
「この話し合いの席に武力は必要ないですよね。武器を収めてください。」
シェリーの呼びかけにユーフィアは恥ずかしそうにしながら銃を仕舞い、席に着いた。しかし、目の前のエルフからはイライラとした機嫌の悪さが伺える。
さて、どう話を持っていくべきか、シェリーは4人のエルフを見ながら考える。エルフ族と話し合いをしようとしている時点で間違っているのかもしれないが、教会が、そして目の前のレイグレシア・シュエーレン猊下と呼ばれる者が認めなければ、聖女として承認されない。
シェリーとしてはそんなものに認められなくても全く困りはしないのだが、聖女として在ることで今後の未来が変わって来るというなら、その道に進もうとする努力はしてみるつもりだった。
しかし、エルフ族とは相容れない。過去に囚われて生きる者と未来に向けて生きるものとでは。やはり、何一つとっても許容できるものがない。
もう、聖女云々の事はいいのではないのかと思ってきた。交渉するのも面倒になってきた。
シェリーにも譲れない物がある。シェリー自身も色々動いてはいるが、全てはルークの未来が平穏であることのみに注がれている。
シェリー自身が他者から聖女と認めてもらうことは、さほど重要ではない。
「私を聖女として認めてもらえないのならそれで、構いません」
シェリーの言葉に、隣にいたイーリスクロムがシェリーにキツイ視線を投げかける。何を言い出すんだと言いたいのだろう。国王として、聖女をこの国に置きたいと思っている者からすれば、今すぐにでもシェリーの口を塞ぎたいと思っているはずだ。
「それでは、次の話をさせていただきます」
そう言って強引に話を変えたシェリーは一本の小瓶をテーブルの上にコトリと置いた。その小瓶は装飾もなくただの透明な容器で、中身も透明な液体が入っているだけで、見た目ではどういう物かわからない。
しかし、その小瓶を見た目の前のエルフは顔色を変えた。その物に見覚えがあったのだろう。
「貴方の末の御子様でしたか。その方を治した薬になります。急な会談でありましたから、準備は不十分かもしれませんが、ある程度用意をさせていただきました」
淡々と話すシェリーをまるで化け物でも見るかのような目でエルフの族長は見てくる。そして、若干震えているようにも見える。
「ユーフィアさん。先程の小箱を一つ出してもらえますか?それから、今はどれほどの薬の用意ができていますか?」
シェリーに言われ、ユーフィアはテーブルの上に小箱を置きながらシェリーに向かって口を開く。
「今の所5千程です。定期的に材料が入れば、安定供給をすることができます」
「そうですか。その小箱の説明をしていただけますか?」
ユーフィアは小箱を持ち、中から小瓶を引き出しながら説明を始めた。しかし、目の前にいるエルフはユーフィアの話よりも、シェリーに視線を向けている。
気づいたのだろう。勇者と聖女の血が入っていると脅した者が何者か。
「約束をしてくださいましたよね」
ユーフィアの説明が終わり、シェリーは若干怯えの見える目を見て言う。そのシェリーの言葉にビクリと方を揺らす。
「約束してくださいましたよね」
もう一度、同じ言葉をシェリーは言う。ゆっくりと、目の前の人物に問いかける。
「・・・・ああ」
時間がかかったが、肯定と捉えられる言葉が漏れ出てきた。
「「レイグレシア様!!」」
両隣にいるエルフから信じられないと言うように名を呼ばれた本人は青い顔を通り越して白くなっている。
「お互いの齟齬がないように約束内容を確認させていただいても?」
シェリーの言葉に頭を抱えるようにして俯きながら、呪いでも込めるように低い声で言葉を口にする。
「薬は各国の主教会を通じて配る。金は請求しない。その事に関して・・・聖女の指示に従う」
「「レイグレシア様!!」何をおっしゃっているのです!」
両隣の二人からすれば寝耳に水の事柄だったのだろう。確かにオリバーが頼ん・・・脅した事もあるが、スーウェンに根回しをお願いした時も、スーウェンと族長との間での話だったのだろう。
「その内容で問題ありません。その様にお願い致します」
族長の異変に3人のエルフの視線がシェリーに向けられるが、シェリーはいつもどおり無表情で何を考えているのか伺い知ることはできない。
エルフ族の一番厄介なのが、膨大な魔力で紡がれる魔術や魔導術だ。稀に猛将と呼ばれたエルフの様に魔導以外に長けた者も存在するが、それは本当に稀な存在である。
そう、族長の後で剣を抜きにかかろうとしているエルフの様に。
「この話し合いの席に武力は必要ないですよね。武器を収めてください。」
シェリーの呼びかけにユーフィアは恥ずかしそうにしながら銃を仕舞い、席に着いた。しかし、目の前のエルフからはイライラとした機嫌の悪さが伺える。
さて、どう話を持っていくべきか、シェリーは4人のエルフを見ながら考える。エルフ族と話し合いをしようとしている時点で間違っているのかもしれないが、教会が、そして目の前のレイグレシア・シュエーレン猊下と呼ばれる者が認めなければ、聖女として承認されない。
シェリーとしてはそんなものに認められなくても全く困りはしないのだが、聖女として在ることで今後の未来が変わって来るというなら、その道に進もうとする努力はしてみるつもりだった。
しかし、エルフ族とは相容れない。過去に囚われて生きる者と未来に向けて生きるものとでは。やはり、何一つとっても許容できるものがない。
もう、聖女云々の事はいいのではないのかと思ってきた。交渉するのも面倒になってきた。
シェリーにも譲れない物がある。シェリー自身も色々動いてはいるが、全てはルークの未来が平穏であることのみに注がれている。
シェリー自身が他者から聖女と認めてもらうことは、さほど重要ではない。
「私を聖女として認めてもらえないのならそれで、構いません」
シェリーの言葉に、隣にいたイーリスクロムがシェリーにキツイ視線を投げかける。何を言い出すんだと言いたいのだろう。国王として、聖女をこの国に置きたいと思っている者からすれば、今すぐにでもシェリーの口を塞ぎたいと思っているはずだ。
「それでは、次の話をさせていただきます」
そう言って強引に話を変えたシェリーは一本の小瓶をテーブルの上にコトリと置いた。その小瓶は装飾もなくただの透明な容器で、中身も透明な液体が入っているだけで、見た目ではどういう物かわからない。
しかし、その小瓶を見た目の前のエルフは顔色を変えた。その物に見覚えがあったのだろう。
「貴方の末の御子様でしたか。その方を治した薬になります。急な会談でありましたから、準備は不十分かもしれませんが、ある程度用意をさせていただきました」
淡々と話すシェリーをまるで化け物でも見るかのような目でエルフの族長は見てくる。そして、若干震えているようにも見える。
「ユーフィアさん。先程の小箱を一つ出してもらえますか?それから、今はどれほどの薬の用意ができていますか?」
シェリーに言われ、ユーフィアはテーブルの上に小箱を置きながらシェリーに向かって口を開く。
「今の所5千程です。定期的に材料が入れば、安定供給をすることができます」
「そうですか。その小箱の説明をしていただけますか?」
ユーフィアは小箱を持ち、中から小瓶を引き出しながら説明を始めた。しかし、目の前にいるエルフはユーフィアの話よりも、シェリーに視線を向けている。
気づいたのだろう。勇者と聖女の血が入っていると脅した者が何者か。
「約束をしてくださいましたよね」
ユーフィアの説明が終わり、シェリーは若干怯えの見える目を見て言う。そのシェリーの言葉にビクリと方を揺らす。
「約束してくださいましたよね」
もう一度、同じ言葉をシェリーは言う。ゆっくりと、目の前の人物に問いかける。
「・・・・ああ」
時間がかかったが、肯定と捉えられる言葉が漏れ出てきた。
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「その内容で問題ありません。その様にお願い致します」
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