210 / 775
17章 不確定な未来と不穏な未来の予兆
200
しおりを挟む
シェリーは炎王の悲鳴を聞きながら、魔石を取り出し、魔力を込めながら床に落とした。
「『転移。』」
シェリーのその言葉と同時にシェリーとカイルと炎王はギラン共和国から姿を消した。
シェリーたちが姿を現したのは壁一面に地図が描かれた部屋だった。そう、オーウィルディアがシェリーとコンタクトを取ったラースを管理する部屋である。
「シェリーミディア様。お待ちしておりました。」
そう言ってきたのは、魔道具越しにシェリーと話しをしていた、この部屋の管理者の男性である。金髪に青い目。人族によく見られる色合いだが、右側の顔一面に赤い蔦が絡まったような痣が見られた。赤い痣。このことから、この男性もラースの一族の血が入っていることがわかる。
「クルバさん。オーウィルディア様はどちらに?」
シェリーにクルバと呼ばれた男性は壁一面に描かれた地図の一点を指しながら
「こちらになります。」
ラース公国の東側を指している。そこにはピンク色の光が強く光っていた。確かに地図上には複数の光る点があるのだが、この一点のみ光輝いている。どうやら、魔眼を使用しているのだろう。
「私達をその場所に送ってください。できますよね。」
一度、オーウィルディアがシェリーのところに空間を割って出現したように、シェリーがオーウィルディアのところに行くことも可能なはずだ。
「私達?」
その言葉でクレバはシェリー以外にも人が居ることに気がついたようで、その人物を見て、目を見開いた。
「竜人と龍人が共にいる・・・。」
うわ事のように呟いた。それはそうだろう。この大陸には竜人は皆無と言っていいほど居ない。それに輪をかけて存在しないのが龍人だ。その二人がこの場に揃っている。はっきり言ってありえないことだった。
「で、送ってくれるのですか?」
「え?ええ。送ります。あちらの台の上に乗って下さい。」
クレバが指した台というのは、ただの石の台と言っていいものだった。だが、この石自体に膨大な魔力が含まれていることから、特殊な石だということがわかる。
その石の上にシェリーとカイルとカイルに掴まれた炎王が立った。その間も炎王は『俺関係無いよな。』と言い続けている。
「それではご武運を」
その言葉と共にシェリーたちは闇に包まれ、闇が晴れたと思ったら、巨大な拳が頭上から降ってきた。その拳を3人は避け、距離を取る。
「シェリーちゃん!遅い!ってなんで炎王様までいるのぉ?」
甲冑を着込み、大きな槍を携えたオーウィルディアがいた。
そして、目の前には以前倒したタイプの次元の悪魔がいる。6~7メルはあろう黒い体、太く振り回せばその辺りの木々など簡単になぎ倒せそうな黒い手足。血管の様に全体に這う赤い線がはしり、あるべき場所に頭部がない。力タイプの頭がない黒い巨人だ。
「戦力増加です。」
シェリーはそう言いつつ、巨体を持つ次元の悪魔の手首を斬り落とした。あのときは、傷を付けることさえできなかった次元の悪魔に対し、今回は手首を斬り落とすことができたことにシェリーは笑った。
「ふふふ、やっと対抗できる手段を得られた。」
「シェリーちゃん喜んでいるところ悪いけど、最悪なお知らせよ。」
「魔眼持ちがいるのですね。」
「あら?知っていたの?」
「とある情報筋から」
「そう、ならあたしは何も言わないわ。一人で悪魔を任せているヤツがいるから、あたしはそっちの手伝いに行くわ。」
オーウィルディアが離れたところで爆音が響いているほうに向かおうとしたところで、シェリーはオーウィルディアを引き止め
「少し待ってください。『聖女の慈愛』。これで脇腹の傷、よくなったでしょう。」
オーウィルディアは丸一日の戦闘で流石に無傷とは行かなかった。右側の横腹がえぐれていたのだ。その状況でよく戦っていたものだと関心するが、戦乱の中では当たり前のことだったのかも知れない。
「ありがとう。はぁ。昔はこんなザコに傷なんて負わなかったのに歳は取りたくないわね。」
そう言いながら、オーウィルディアは駆けていった。ザコ。確かに完全体の次元の悪魔に比べればザコだ。ザコを斬ることできたぐらいで喜んではいけなかった。これからもっと厳しくなる戦いに備えなければならないとシェリーは気を引き締める。
「で、俺はこいつを倒せば帰っていいのか?」
炎王が刀を構えながらシェリーに聞いてきた。
「3体です。そのうち1体が魔眼持ちです。」
「魔眼持ち・・・その情報はどこからだ。嘘だったじゃ許さないぞ。」
「アリスと言えばいいですか?」
「アリス!アリスならその情報は信用できるな!」
そう言いながら炎王は頭の無い巨体の腕を斬り落とした。
「だから、二人は仲が良すぎないか?」
カイルは八つ当たりのように巨体の胴体を縦に半分に斬った。
「恐っ!」
炎王がカイルの行動に身震いしているその時、突如として怒りの感情に支配された。これは外的な圧力。シェリーはその要因を探そうと視線を巡られていると、殺気を横から感じ体を反らす。
そこにはシェリーに大剣を振り下ろしたカイルがいた。
「『転移。』」
シェリーのその言葉と同時にシェリーとカイルと炎王はギラン共和国から姿を消した。
シェリーたちが姿を現したのは壁一面に地図が描かれた部屋だった。そう、オーウィルディアがシェリーとコンタクトを取ったラースを管理する部屋である。
「シェリーミディア様。お待ちしておりました。」
そう言ってきたのは、魔道具越しにシェリーと話しをしていた、この部屋の管理者の男性である。金髪に青い目。人族によく見られる色合いだが、右側の顔一面に赤い蔦が絡まったような痣が見られた。赤い痣。このことから、この男性もラースの一族の血が入っていることがわかる。
「クルバさん。オーウィルディア様はどちらに?」
シェリーにクルバと呼ばれた男性は壁一面に描かれた地図の一点を指しながら
「こちらになります。」
ラース公国の東側を指している。そこにはピンク色の光が強く光っていた。確かに地図上には複数の光る点があるのだが、この一点のみ光輝いている。どうやら、魔眼を使用しているのだろう。
「私達をその場所に送ってください。できますよね。」
一度、オーウィルディアがシェリーのところに空間を割って出現したように、シェリーがオーウィルディアのところに行くことも可能なはずだ。
「私達?」
その言葉でクレバはシェリー以外にも人が居ることに気がついたようで、その人物を見て、目を見開いた。
「竜人と龍人が共にいる・・・。」
うわ事のように呟いた。それはそうだろう。この大陸には竜人は皆無と言っていいほど居ない。それに輪をかけて存在しないのが龍人だ。その二人がこの場に揃っている。はっきり言ってありえないことだった。
「で、送ってくれるのですか?」
「え?ええ。送ります。あちらの台の上に乗って下さい。」
クレバが指した台というのは、ただの石の台と言っていいものだった。だが、この石自体に膨大な魔力が含まれていることから、特殊な石だということがわかる。
その石の上にシェリーとカイルとカイルに掴まれた炎王が立った。その間も炎王は『俺関係無いよな。』と言い続けている。
「それではご武運を」
その言葉と共にシェリーたちは闇に包まれ、闇が晴れたと思ったら、巨大な拳が頭上から降ってきた。その拳を3人は避け、距離を取る。
「シェリーちゃん!遅い!ってなんで炎王様までいるのぉ?」
甲冑を着込み、大きな槍を携えたオーウィルディアがいた。
そして、目の前には以前倒したタイプの次元の悪魔がいる。6~7メルはあろう黒い体、太く振り回せばその辺りの木々など簡単になぎ倒せそうな黒い手足。血管の様に全体に這う赤い線がはしり、あるべき場所に頭部がない。力タイプの頭がない黒い巨人だ。
「戦力増加です。」
シェリーはそう言いつつ、巨体を持つ次元の悪魔の手首を斬り落とした。あのときは、傷を付けることさえできなかった次元の悪魔に対し、今回は手首を斬り落とすことができたことにシェリーは笑った。
「ふふふ、やっと対抗できる手段を得られた。」
「シェリーちゃん喜んでいるところ悪いけど、最悪なお知らせよ。」
「魔眼持ちがいるのですね。」
「あら?知っていたの?」
「とある情報筋から」
「そう、ならあたしは何も言わないわ。一人で悪魔を任せているヤツがいるから、あたしはそっちの手伝いに行くわ。」
オーウィルディアが離れたところで爆音が響いているほうに向かおうとしたところで、シェリーはオーウィルディアを引き止め
「少し待ってください。『聖女の慈愛』。これで脇腹の傷、よくなったでしょう。」
オーウィルディアは丸一日の戦闘で流石に無傷とは行かなかった。右側の横腹がえぐれていたのだ。その状況でよく戦っていたものだと関心するが、戦乱の中では当たり前のことだったのかも知れない。
「ありがとう。はぁ。昔はこんなザコに傷なんて負わなかったのに歳は取りたくないわね。」
そう言いながら、オーウィルディアは駆けていった。ザコ。確かに完全体の次元の悪魔に比べればザコだ。ザコを斬ることできたぐらいで喜んではいけなかった。これからもっと厳しくなる戦いに備えなければならないとシェリーは気を引き締める。
「で、俺はこいつを倒せば帰っていいのか?」
炎王が刀を構えながらシェリーに聞いてきた。
「3体です。そのうち1体が魔眼持ちです。」
「魔眼持ち・・・その情報はどこからだ。嘘だったじゃ許さないぞ。」
「アリスと言えばいいですか?」
「アリス!アリスならその情報は信用できるな!」
そう言いながら炎王は頭の無い巨体の腕を斬り落とした。
「だから、二人は仲が良すぎないか?」
カイルは八つ当たりのように巨体の胴体を縦に半分に斬った。
「恐っ!」
炎王がカイルの行動に身震いしているその時、突如として怒りの感情に支配された。これは外的な圧力。シェリーはその要因を探そうと視線を巡られていると、殺気を横から感じ体を反らす。
そこにはシェリーに大剣を振り下ろしたカイルがいた。
0
お気に入りに追加
1,016
あなたにおすすめの小説
婚約者が最凶すぎて困っています
白雲八鈴
恋愛
今日は婚約者のところに連行されていました。そう、二か月は不在だと言っていましたのに、一ヶ月しか無かった私の平穏。
そして現在進行系で私は誘拐されています。嫌な予感しかしませんわ。
最凶すぎる第一皇子の婚約者と、その婚約者に振り回される子爵令嬢の私の話。
*幼少期の主人公の言葉はキツイところがあります。
*不快におもわれましたら、そのまま閉じてください。
*作者の目は節穴ですので、誤字脱字があります。
*カクヨム。小説家になろうにも投稿。
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!
悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています
平山和人
恋愛
伯爵令嬢であるオフィーリアは、ある日、前世の記憶を思い出す、前世の自分は平凡なOLでトラックに轢かれて死んだことを。
自分が転生したのは散財が趣味の悪役令嬢で、王太子と婚約破棄の上、断罪される運命にある。オフィーリアは運命を受け入れ、どうせ断罪されるなら好きに生きようとするが、なぜか周囲から溺愛されてしまう。
聖女だけど、偽物にされたので隣国を栄えさせて見返します
陽炎氷柱
恋愛
同級生に生活をめちゃくちゃにされた聖川心白(ひじりかわこはく)は、よりによってその張本人と一緒に異世界召喚されてしまう。
「聖女はどちらだ」と尋ねてきた偉そうな人に、我先にと名乗り出した同級生は心白に偽物の烙印を押した。そればかりか同級生は異世界に身一つで心白を追放し、暗殺まで仕掛けてくる。
命からがら逃げた心白は宮廷魔導士と名乗る男に助けられるが、彼は心白こそが本物の聖女だと言う。へえ、じゃあ私は同級生のためにあんな目に遭わされたの?
そうして復讐を誓った心白は少しずつ力をつけていき…………なぜか隣国の王宮に居た。どうして。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラや攻略不可キャラからも、モテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ
朝霞 花純@電子書籍化決定
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。
理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。
逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。
エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる