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13章 死の国
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マリートゥヴァはまず教皇を殺そうと教会を襲撃した。そこには神への慈悲を願うこの国の住人達で溢れ返っていた。
マリートゥヴァはその住人達を殺し、ラフテリアが行った惨劇を再び同じ教会で繰り返したのだ。しかし、教皇は存在せず、血の海と化した教会を後にしたのだ。
そこに番の体を大事そうに抱え、その体の持ち主の首を抱たラフテリアが現れたのだ。ラフテリアは自分と番を苦しめたここの住人たちをこのまま楽に死なせるのが許せなかった。だから彼女は聖女の力である「『聖女の祈りは神の奇跡』」を使用したのだ。そして、再び殺す。
マリートゥヴァが教皇を探しながらこの国の住人を殺し、ラフテリアが死んだ住人を蘇らせる。通常一度使えば使用出来なくなるはずの『聖女の祈りは神の奇跡』は魔人化したラフテリアの強大な魔力で強引に蘇らせられ続けた。
そして、人々は願う自分たちが信じた白き神にこの地獄が終わるように、魔人に天罰が下るように。
しかし、いつまで経っても神の慈悲は得られなかった。
だから、人々は心から叫んだ『助けてくれ』と、どんな者でもいいこの苦しみから助け出してくれるのであれば、何者でもいい。
人々の願いに慈悲を与えたのはただ2柱のみ。彼らは救われた・・・のだろう。
シェリーの話を聞いたカイルは天井の先にある天を仰ぎ見る。神の意は決して人の為になるとは限らないのだ。
「シェリーは俺の知らない事を沢山知っていてすごいね。本当に俺の知らない事ばかり。」
カイルはシェリーの頬に手を添える。
「いいえ、この事は全て聖女として知っているべきことなので、神から与えられた情報です。一般的な事で知らない事は沢山ありますから。」
シェリーは自分に足りない物があることぐらい理解していた。一般常識はこの世界ではないものだったりする。そのことで、戸惑ったことは多々あるのだ。
「そうだね。足りない所を補っていけばいいよね。それこそ夫婦って感じだよね。」
カイルは笑顔でシェリーに話かけるが、その言葉にシェリーの目は腐った魚の目になっていた。
「籍は入れてませんから、入れませんから。」
廊下から複数の走ってくる足音が近づいてきた。
「俺達が居ない間にいちゃいちゃしてるだろ!」
と言いながら、ドアを勢いよく開け放ちグレイが入ってきた。
「お帰り、どうだったかな?」
そんなグレイににこやかに返事を返すカイル。
「どうもこうもあるか!ここの住人ヤバすぎだろ!」
オルクスが肩で息をしながら部屋に入っていた。
「・・・。」
スーウェンは言葉も無いぐらいフラフラで部屋に入って来て、椅子に座ってテーブルにうつ伏せになった。きっと獣人の二人に振り回されたのだろう。
「最初は骸骨や動く死体がウロウロしているだけで何もなかったんだ。レイスも襲ってくるわけでもなく。浮遊しているだけだったからな。でも、そいつらがソワソワし始めたと思ったら、いきなり襲ってきたんだよ。吸血鬼共が。」
グレイが何かを思い出したのかブルリと震えた。その後をオルクスが続ける。
「アイツらの身体能力もしかして獣人よりも優れているんじゃないのか?壁を駆け上っていたぞ。斬ったと思ったら、消えて離れたところに現れるし、どうやっても倒せないじゃないか!」
どうやら、オルクスはここの住人に剣を向けたようだ。
「だから、ダメだと思ったら、ここに戻ってくればいいと言ったよね。」
確かにカイルは言っていた。吸血鬼に追いかけ回されて返ってくることも、わかっていたようだ。
「あれはどうすべきなんですか?魔術も魔導術も効かないし、どうしようもなかったのですが」
未だにうつ伏せになったままのスーウェンが尋ねる。
「うーん。俺は掴んで遠くに投げ飛ばしたかな?」
物理的に距離を取ったというカイルに
「正拳で殴ります。」
いつもどおり殴ったと答えるシェリー。二人とも力技で対処したに過ぎなかった。
「この国の住人は死にませんから、気絶させるか逃げるか、魔人並の絶対的な力で威嚇するかです。」
そう、この国の住人は未だに魔人対して恐怖を抱いていた。黒に対して尊敬の念を抱いているが、魔人の色でもある黒に恐怖心を抱いていた。何千年の月日が経とうが自分たちに生と死を与え続けた魔人を忘れることなんてありはしないのだった。
「え?対処が逃げるしかないのか?」
グレイが驚き、シェリーを見る。
「ですから、王との謁見ではどんなことがあっても逃げないでください。度胸だめしをされると聞いていますので、怯むと餌食にさせるらしいですよ。まぁ、イーリスクロム陛下から言われたので、嘘か本当かは知りませんが。」
王との謁見で度胸を試されるとはどういう事なんだろう。イーリスクロムの一国の国王の言葉を信用していないシェリーもどうかと思う。
マリートゥヴァはその住人達を殺し、ラフテリアが行った惨劇を再び同じ教会で繰り返したのだ。しかし、教皇は存在せず、血の海と化した教会を後にしたのだ。
そこに番の体を大事そうに抱え、その体の持ち主の首を抱たラフテリアが現れたのだ。ラフテリアは自分と番を苦しめたここの住人たちをこのまま楽に死なせるのが許せなかった。だから彼女は聖女の力である「『聖女の祈りは神の奇跡』」を使用したのだ。そして、再び殺す。
マリートゥヴァが教皇を探しながらこの国の住人を殺し、ラフテリアが死んだ住人を蘇らせる。通常一度使えば使用出来なくなるはずの『聖女の祈りは神の奇跡』は魔人化したラフテリアの強大な魔力で強引に蘇らせられ続けた。
そして、人々は願う自分たちが信じた白き神にこの地獄が終わるように、魔人に天罰が下るように。
しかし、いつまで経っても神の慈悲は得られなかった。
だから、人々は心から叫んだ『助けてくれ』と、どんな者でもいいこの苦しみから助け出してくれるのであれば、何者でもいい。
人々の願いに慈悲を与えたのはただ2柱のみ。彼らは救われた・・・のだろう。
シェリーの話を聞いたカイルは天井の先にある天を仰ぎ見る。神の意は決して人の為になるとは限らないのだ。
「シェリーは俺の知らない事を沢山知っていてすごいね。本当に俺の知らない事ばかり。」
カイルはシェリーの頬に手を添える。
「いいえ、この事は全て聖女として知っているべきことなので、神から与えられた情報です。一般的な事で知らない事は沢山ありますから。」
シェリーは自分に足りない物があることぐらい理解していた。一般常識はこの世界ではないものだったりする。そのことで、戸惑ったことは多々あるのだ。
「そうだね。足りない所を補っていけばいいよね。それこそ夫婦って感じだよね。」
カイルは笑顔でシェリーに話かけるが、その言葉にシェリーの目は腐った魚の目になっていた。
「籍は入れてませんから、入れませんから。」
廊下から複数の走ってくる足音が近づいてきた。
「俺達が居ない間にいちゃいちゃしてるだろ!」
と言いながら、ドアを勢いよく開け放ちグレイが入ってきた。
「お帰り、どうだったかな?」
そんなグレイににこやかに返事を返すカイル。
「どうもこうもあるか!ここの住人ヤバすぎだろ!」
オルクスが肩で息をしながら部屋に入っていた。
「・・・。」
スーウェンは言葉も無いぐらいフラフラで部屋に入って来て、椅子に座ってテーブルにうつ伏せになった。きっと獣人の二人に振り回されたのだろう。
「最初は骸骨や動く死体がウロウロしているだけで何もなかったんだ。レイスも襲ってくるわけでもなく。浮遊しているだけだったからな。でも、そいつらがソワソワし始めたと思ったら、いきなり襲ってきたんだよ。吸血鬼共が。」
グレイが何かを思い出したのかブルリと震えた。その後をオルクスが続ける。
「アイツらの身体能力もしかして獣人よりも優れているんじゃないのか?壁を駆け上っていたぞ。斬ったと思ったら、消えて離れたところに現れるし、どうやっても倒せないじゃないか!」
どうやら、オルクスはここの住人に剣を向けたようだ。
「だから、ダメだと思ったら、ここに戻ってくればいいと言ったよね。」
確かにカイルは言っていた。吸血鬼に追いかけ回されて返ってくることも、わかっていたようだ。
「あれはどうすべきなんですか?魔術も魔導術も効かないし、どうしようもなかったのですが」
未だにうつ伏せになったままのスーウェンが尋ねる。
「うーん。俺は掴んで遠くに投げ飛ばしたかな?」
物理的に距離を取ったというカイルに
「正拳で殴ります。」
いつもどおり殴ったと答えるシェリー。二人とも力技で対処したに過ぎなかった。
「この国の住人は死にませんから、気絶させるか逃げるか、魔人並の絶対的な力で威嚇するかです。」
そう、この国の住人は未だに魔人対して恐怖を抱いていた。黒に対して尊敬の念を抱いているが、魔人の色でもある黒に恐怖心を抱いていた。何千年の月日が経とうが自分たちに生と死を与え続けた魔人を忘れることなんてありはしないのだった。
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「ですから、王との謁見ではどんなことがあっても逃げないでください。度胸だめしをされると聞いていますので、怯むと餌食にさせるらしいですよ。まぁ、イーリスクロム陛下から言われたので、嘘か本当かは知りませんが。」
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