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7章 教会の聖女候補と世界の聖女
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「ヒィぃぃ。」
叫びながら、アイラは地面を蹴っていた。少しでもグレイから、そして御者から離れようと地面を蹴るが腰が抜けているため、ジタバタともがくだけだ。
「治してやらないのか。」
「無理。無理。あ、あたしムリ。」
その間も、御者の胸からナイフが刺さったままなので通常より出血は少ないが、それなりの血が地面に吸われている。
シェリーはため息を吐き。
「グレイさん、やり過ぎです。関係のない御者の方を巻き込むのはどうかと思います。」
シェリーはそう言いながら御者の人に近づいて行き、しゃがみ込み御者の人の傷口を見る。肋骨が少々傷ついているが、心臓、肺、太い動脈を綺麗に避けている。あの予備動作のない動きで、よく背中まで貫通できたなと思った。シェリーは魔力を練りながら、ナイフを一気に引き抜きすぐさま魔力を当て声には出さず、術式の呪を唱える。
『聖女の慈愛』
少し術の効率は悪いがこの程度なら問題ない。
御者の顔色が元に戻り、穏やかな呼吸を取り戻していた。シェリーは立ち上がり
「グレイさん。何も悪くないぎ「あんたがあたしの代わりにスライムやっつける人だったなんて、早く言ってよね!」」
アイラの声がかぶさってきた。しかも、意味が分からない。代わりにやっつけるとは一体どういうことだろう。
「それならそうと言ってくれたらよかったのに。ぶっ細工なおばさんがいるなっと思っていたら、あたしの代わりに光魔法を出す役の人だったんだぁ。」
━え。光魔法を出す役って何?ただ、光るだけの魔法になんの意味がある?━
ここにいるメンバー全員の心が揃った。
「あの。光魔法を出す役って何ですか?」
皆の心の声をアンディウムが代弁してくれた。
「アンディウムさまぁ。そんなの決まっているじゃないですか。動画を撮ってくれるんですよね。あたしがババーンとスライムを倒しているところぉ。」
「動画?ババーン?」
知らない言葉と擬音が分からず、またしてもシェリーに通訳の視線をむけるアンディウム。
「広報紙か何かに載せる写し魔道絵の撮影でスライムをかっこよく倒しているところを撮って欲しいそうです。」
「さすがに写し魔道絵の魔道具までは用意できないよ。あれはマルス帝国が独占しているからね。用意できるのは、魔道写真機ぐらいだね。」
「それじゃ、誰が倒したかわからないじゃないですかぁ。」
「ここに来る前に腕輪を渡されませんでしたか?」
「あ、このダッサイ腕輪?」
アイラは腕をアンディウムに突きだし腕輪をみせる。
「それで、聖女候補のあなたがスライムを倒したと記録がされるのです。ですので、他人の魔術で倒したとしてもそれは魔術を紡いだ人が倒したと記されるので、大丈夫です。」
「えー。じゃ、なんでそのおばさんがいるのぉ?意味ないしぃ。」
「アンディウム師団長、聖女候補の方がそのように言っているので、帰っていいですか?時間の無駄です。」
シェリーはもうこれは時間の無駄だと悟った。この、ウエダ ハナの魂を持つ聖女候補と話をするだけ無駄だ。やりもしないのに出来ない、出来ない、と言い他人に押し付け、出来上がれば自分の功績にしようとする姿にシェリーのイライラ度合いは臨界点に達していた。
「帰っていいよぉ。あたしわぁイケメン達と仲良くするからさぁ。」
「シェリーさん待ってください。この得体のしれない生物を残して帰らないでください。」
アンディウムが早足でシェリーに近づいて来て小声で言ってきた。
「でも、この国から聖女を出すために必要なのですよね。」
アンディウムは涙目で首を振りながら
「ムリです。あの言葉は解りますが理解が出来ない生物と、どう意思の疎通を通わすのですか?」
「天才と狂人は紙一重だと言うではありませんか。わたしはもう関わりたくありません。一生です。」
アンディウムは、「ああー」と頭を抱えだした。そしてふと思い付いた様な顔で
「一層の事、シェリーさんが聖女「却下します。」」
「はぁ?おばさんが聖女にぃ?」
いつの間にか立ち直り、アンディウムの後を付いてきていたアイラは小声で話す二人の言葉が聞こえ、反論する。
「なんでこんなおばさんを聖女にするのぉ?信じられなーい。あたしの方が聖女だしぃ。ちょっと光魔法使えるからって、聖女になれるわけないじゃん。このブスの癖にイケメン侍らそうなんて、できるわけないじゃん。」
側にいたグレイから「殺す、絶対にコロス。」と聞こえ、他の3人からも殺気をバシバシ感じる。三人の近くにいるヴァン・リヴィーニ中隊長が青い顔をしてブルブルしているのはカイルの側にいるので冷気を纏った殺気に当てられているのだろう。
そして、シェリーはとある変化に気がついた。
アイラをマジマジと視る。
「何よぉ。何か文句でもあるのぉ。でも、本当のことじゃないのぉ。」
アイラのステータスの表示が一部変更されたのだった。
叫びながら、アイラは地面を蹴っていた。少しでもグレイから、そして御者から離れようと地面を蹴るが腰が抜けているため、ジタバタともがくだけだ。
「治してやらないのか。」
「無理。無理。あ、あたしムリ。」
その間も、御者の胸からナイフが刺さったままなので通常より出血は少ないが、それなりの血が地面に吸われている。
シェリーはため息を吐き。
「グレイさん、やり過ぎです。関係のない御者の方を巻き込むのはどうかと思います。」
シェリーはそう言いながら御者の人に近づいて行き、しゃがみ込み御者の人の傷口を見る。肋骨が少々傷ついているが、心臓、肺、太い動脈を綺麗に避けている。あの予備動作のない動きで、よく背中まで貫通できたなと思った。シェリーは魔力を練りながら、ナイフを一気に引き抜きすぐさま魔力を当て声には出さず、術式の呪を唱える。
『聖女の慈愛』
少し術の効率は悪いがこの程度なら問題ない。
御者の顔色が元に戻り、穏やかな呼吸を取り戻していた。シェリーは立ち上がり
「グレイさん。何も悪くないぎ「あんたがあたしの代わりにスライムやっつける人だったなんて、早く言ってよね!」」
アイラの声がかぶさってきた。しかも、意味が分からない。代わりにやっつけるとは一体どういうことだろう。
「それならそうと言ってくれたらよかったのに。ぶっ細工なおばさんがいるなっと思っていたら、あたしの代わりに光魔法を出す役の人だったんだぁ。」
━え。光魔法を出す役って何?ただ、光るだけの魔法になんの意味がある?━
ここにいるメンバー全員の心が揃った。
「あの。光魔法を出す役って何ですか?」
皆の心の声をアンディウムが代弁してくれた。
「アンディウムさまぁ。そんなの決まっているじゃないですか。動画を撮ってくれるんですよね。あたしがババーンとスライムを倒しているところぉ。」
「動画?ババーン?」
知らない言葉と擬音が分からず、またしてもシェリーに通訳の視線をむけるアンディウム。
「広報紙か何かに載せる写し魔道絵の撮影でスライムをかっこよく倒しているところを撮って欲しいそうです。」
「さすがに写し魔道絵の魔道具までは用意できないよ。あれはマルス帝国が独占しているからね。用意できるのは、魔道写真機ぐらいだね。」
「それじゃ、誰が倒したかわからないじゃないですかぁ。」
「ここに来る前に腕輪を渡されませんでしたか?」
「あ、このダッサイ腕輪?」
アイラは腕をアンディウムに突きだし腕輪をみせる。
「それで、聖女候補のあなたがスライムを倒したと記録がされるのです。ですので、他人の魔術で倒したとしてもそれは魔術を紡いだ人が倒したと記されるので、大丈夫です。」
「えー。じゃ、なんでそのおばさんがいるのぉ?意味ないしぃ。」
「アンディウム師団長、聖女候補の方がそのように言っているので、帰っていいですか?時間の無駄です。」
シェリーはもうこれは時間の無駄だと悟った。この、ウエダ ハナの魂を持つ聖女候補と話をするだけ無駄だ。やりもしないのに出来ない、出来ない、と言い他人に押し付け、出来上がれば自分の功績にしようとする姿にシェリーのイライラ度合いは臨界点に達していた。
「帰っていいよぉ。あたしわぁイケメン達と仲良くするからさぁ。」
「シェリーさん待ってください。この得体のしれない生物を残して帰らないでください。」
アンディウムが早足でシェリーに近づいて来て小声で言ってきた。
「でも、この国から聖女を出すために必要なのですよね。」
アンディウムは涙目で首を振りながら
「ムリです。あの言葉は解りますが理解が出来ない生物と、どう意思の疎通を通わすのですか?」
「天才と狂人は紙一重だと言うではありませんか。わたしはもう関わりたくありません。一生です。」
アンディウムは、「ああー」と頭を抱えだした。そしてふと思い付いた様な顔で
「一層の事、シェリーさんが聖女「却下します。」」
「はぁ?おばさんが聖女にぃ?」
いつの間にか立ち直り、アンディウムの後を付いてきていたアイラは小声で話す二人の言葉が聞こえ、反論する。
「なんでこんなおばさんを聖女にするのぉ?信じられなーい。あたしの方が聖女だしぃ。ちょっと光魔法使えるからって、聖女になれるわけないじゃん。このブスの癖にイケメン侍らそうなんて、できるわけないじゃん。」
側にいたグレイから「殺す、絶対にコロス。」と聞こえ、他の3人からも殺気をバシバシ感じる。三人の近くにいるヴァン・リヴィーニ中隊長が青い顔をしてブルブルしているのはカイルの側にいるので冷気を纏った殺気に当てられているのだろう。
そして、シェリーはとある変化に気がついた。
アイラをマジマジと視る。
「何よぉ。何か文句でもあるのぉ。でも、本当のことじゃないのぉ。」
アイラのステータスの表示が一部変更されたのだった。
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