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5章 魔人の初源
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「で、シェリーちゃん面白いことになっているって聞いたけど?」
にやにやした顔で大男が聞いてくる。
「何も面白いことはありません。わたしは帰るので失礼します。」
シェリーはいたって真顔で答える。
「兄さんの遺言聞いたんじゃないの?」
「そこの実子のグレイさんに聞いてください。」
「継承権があるのはシェリーちゃんよ。」
「それはとっくに放棄しています。」
シェリーの顔に苛立ちが出始めた。
「そもそも、当分の間はオーウィルディア様が継ぐのですよね。わたしにふらないで貰えますか。それに、わたしにはやることがあるので拒否権を示します。」
「でも、ビアンカの子で任せられる子って会った中ではいないのよね。」
シェリーは少し疑問に思った。会った中では?
「わたしを入れて何人子供がいると思っているんですか?」
「例の子入れて4人でしょ。」
やはり、知らなかった。
「8人です。」
「は?8人?」
オーウィルディアは目を丸くして固まった。そばにいるギルバートも唖然としている。もしかして、ラース家の誰も知らなかったのか。いや、聖女を閉じ込めていた勇者が悪いのだ。
「ちなみにその中でディアの名を持つものは?」
「名前を大公閣下からいただいているかは知りませんが、わたしを含め5人。」
「あ、ありえない。」
「もしかして、バカ勇者にディアの意味を教えていないのですか?」
「それはないわ、ディアの伴侶には必ず大公閣下から説明があるはず。」
ということは、ただ単にあの勇者が忘れていたと言うことだ。
「ねぇ、シェリー。ディアの意味って何?」
シェリーの横で聞いたいたカイルが質問する。
「・・・わたしには答えられません。」
シェリーにはその質問に答える権限はない。それをディア以外の者に告げることができるのは、今は空席の大公閣下のみだからだ。
「そおね。あなたたち皆シェリーちゃんの番なんだって?それなら聞く権利はあるわよね。ギルバートあなたは外に行っていなさい。」
「わかりました叔父上。その話が終わったら呼んでくださいよ。」
そう言ってギルバートは部屋から出ていった。
「そうねまずは、初代ラースの事ね。これはグレイあなたは知っているでしょ。」
「ああ、初代ラースは女神を伴侶に迎えた者だと言われている。」
「まあ。5千年も前のことだから真偽は定かではないわ。でも、不思議なことにラース家の血が入ったものは体のどこかに赤の祝福が授けられると言われているわ。現にグレイは金狼族の血が反映されているのに、ラースの赤がよく現れている。特に特徴的なのがこのピンクの目、今は封じているけれども、これは魔眼なのよ。」
オーウィルディアは自分の目を指しながらいう。人族が魔眼を持っていると。
シェリーの番は一斉にシェリーを見る。オーウィルディアと同じ魔眼を持っている。
「その、魔眼は魅了眼。使い方によっては人の心を操り世界を牛耳れることができるわ。そして、魔眼を持っているものは次元の悪魔の魔眼に対抗する唯一と言ってもいいわ。魅了眼は危険なものよ。だから、ラース家で管理をしなければならない。女神ナディアの名を戴くことで、魅了眼を管理するのよ。」
「名前で管理をするとはどういうことだ。」
グレイが叔父であるオーウィルディアに問う。
「そういう魔道具があるのよ。いつからあるのか分からないけど、誰が何処にいる。生きている。死んでいる。魅了眼を使用したなど、詳細に記録していく物があるのよ。グレイあなた、ビアンカのところに訪ねたそうじゃない?第三夫人が使用したのでしょう。そういうことだから、管理しやすいようにその血を増やさないようにしているのよ。」
「もしかして、叔父上達に伴侶がいないのは血を増やさないためか。」
「殺された弟は魔眼は持っていないわよ。あの子はビアンカが大好き過ぎるから。まあ、番で絆されたものは別として、ディアの名を持つものは大公以外伴侶を持つことが許されないのよ。はぁ。ビアンカとその家族を呼び出さなきゃいけないわ。ねぇ。シェリーちゃんが説明に行ってくれない?」
「いや。」
「血の繋がった家族じゃない。」
「家族?ですか?互いにツガイのことしか見えていないのに?」
シェリーの声が地を這うように響く。
「まあ、番とはそういうものだしね。」
「ツガイの家族は3歳の子供に食事や洗濯をさせても普通なのですね。町に買い物に行くのが怖いからと言って、婆やと3歳の黒髪の子供に行かすのも普通なのですね。掃除も手が汚れるから嫌。食器の片付けも手が荒れるから嫌。婆やが倒れても、医者を呼んであげなさいって子供に行かすのも普通なのですね。」
「ちょっと待って、それ普通じゃないから。それ、母親か使用人の仕事よ。あの子そんなことをシェリーちゃんにやらせていたの?」
「わたしが出来ない間は婆やがすべてやってくれていましたよ。私の名付けも」
「ああ、もういいわ。それ以上言わなくていいわ。本当にごめんなさい。私が謝って済むことじゃないけど、私が直接ビアンカとナオフミに説明するわ。」
「それじゃ、わたしはこれで失礼していいですね。」
「それとコレとは別よ」
「チッ」
「兄さんの最後を知っているのは貴方達だけなんですからね。あの何とも言えない者が昨日から兄さんの部屋の前にいて近づけなかったのよ。」
「では、魔人ラフテリア様がいらしてましたので、丁重にお帰りをお願いし、大公閣下がラフテリア様に興味をお持ちでしたので、説明をしました。グレイさんが第三夫人に言い残すことがあるかと訊ね、何もないと答えられ、第一夫人の話になりますと豹変し、そのまま転送いたしました。それでは、さようなら。」
シェリーは部屋を出ようとして腕を捕まれる。
「いやいや。ちょっとお、待って、聞き捨てならないことが沢山あったわよお。」
「詳しくはそこのグレイさんに聞いてください。さようなら。」
「シェリー、捨てて行かないでくれ。」
「きちんと説明して行きなさい。」
結局シェリーは離宮に引き留められるのであった。
にやにやした顔で大男が聞いてくる。
「何も面白いことはありません。わたしは帰るので失礼します。」
シェリーはいたって真顔で答える。
「兄さんの遺言聞いたんじゃないの?」
「そこの実子のグレイさんに聞いてください。」
「継承権があるのはシェリーちゃんよ。」
「それはとっくに放棄しています。」
シェリーの顔に苛立ちが出始めた。
「そもそも、当分の間はオーウィルディア様が継ぐのですよね。わたしにふらないで貰えますか。それに、わたしにはやることがあるので拒否権を示します。」
「でも、ビアンカの子で任せられる子って会った中ではいないのよね。」
シェリーは少し疑問に思った。会った中では?
「わたしを入れて何人子供がいると思っているんですか?」
「例の子入れて4人でしょ。」
やはり、知らなかった。
「8人です。」
「は?8人?」
オーウィルディアは目を丸くして固まった。そばにいるギルバートも唖然としている。もしかして、ラース家の誰も知らなかったのか。いや、聖女を閉じ込めていた勇者が悪いのだ。
「ちなみにその中でディアの名を持つものは?」
「名前を大公閣下からいただいているかは知りませんが、わたしを含め5人。」
「あ、ありえない。」
「もしかして、バカ勇者にディアの意味を教えていないのですか?」
「それはないわ、ディアの伴侶には必ず大公閣下から説明があるはず。」
ということは、ただ単にあの勇者が忘れていたと言うことだ。
「ねぇ、シェリー。ディアの意味って何?」
シェリーの横で聞いたいたカイルが質問する。
「・・・わたしには答えられません。」
シェリーにはその質問に答える権限はない。それをディア以外の者に告げることができるのは、今は空席の大公閣下のみだからだ。
「そおね。あなたたち皆シェリーちゃんの番なんだって?それなら聞く権利はあるわよね。ギルバートあなたは外に行っていなさい。」
「わかりました叔父上。その話が終わったら呼んでくださいよ。」
そう言ってギルバートは部屋から出ていった。
「そうねまずは、初代ラースの事ね。これはグレイあなたは知っているでしょ。」
「ああ、初代ラースは女神を伴侶に迎えた者だと言われている。」
「まあ。5千年も前のことだから真偽は定かではないわ。でも、不思議なことにラース家の血が入ったものは体のどこかに赤の祝福が授けられると言われているわ。現にグレイは金狼族の血が反映されているのに、ラースの赤がよく現れている。特に特徴的なのがこのピンクの目、今は封じているけれども、これは魔眼なのよ。」
オーウィルディアは自分の目を指しながらいう。人族が魔眼を持っていると。
シェリーの番は一斉にシェリーを見る。オーウィルディアと同じ魔眼を持っている。
「その、魔眼は魅了眼。使い方によっては人の心を操り世界を牛耳れることができるわ。そして、魔眼を持っているものは次元の悪魔の魔眼に対抗する唯一と言ってもいいわ。魅了眼は危険なものよ。だから、ラース家で管理をしなければならない。女神ナディアの名を戴くことで、魅了眼を管理するのよ。」
「名前で管理をするとはどういうことだ。」
グレイが叔父であるオーウィルディアに問う。
「そういう魔道具があるのよ。いつからあるのか分からないけど、誰が何処にいる。生きている。死んでいる。魅了眼を使用したなど、詳細に記録していく物があるのよ。グレイあなた、ビアンカのところに訪ねたそうじゃない?第三夫人が使用したのでしょう。そういうことだから、管理しやすいようにその血を増やさないようにしているのよ。」
「もしかして、叔父上達に伴侶がいないのは血を増やさないためか。」
「殺された弟は魔眼は持っていないわよ。あの子はビアンカが大好き過ぎるから。まあ、番で絆されたものは別として、ディアの名を持つものは大公以外伴侶を持つことが許されないのよ。はぁ。ビアンカとその家族を呼び出さなきゃいけないわ。ねぇ。シェリーちゃんが説明に行ってくれない?」
「いや。」
「血の繋がった家族じゃない。」
「家族?ですか?互いにツガイのことしか見えていないのに?」
シェリーの声が地を這うように響く。
「まあ、番とはそういうものだしね。」
「ツガイの家族は3歳の子供に食事や洗濯をさせても普通なのですね。町に買い物に行くのが怖いからと言って、婆やと3歳の黒髪の子供に行かすのも普通なのですね。掃除も手が汚れるから嫌。食器の片付けも手が荒れるから嫌。婆やが倒れても、医者を呼んであげなさいって子供に行かすのも普通なのですね。」
「ちょっと待って、それ普通じゃないから。それ、母親か使用人の仕事よ。あの子そんなことをシェリーちゃんにやらせていたの?」
「わたしが出来ない間は婆やがすべてやってくれていましたよ。私の名付けも」
「ああ、もういいわ。それ以上言わなくていいわ。本当にごめんなさい。私が謝って済むことじゃないけど、私が直接ビアンカとナオフミに説明するわ。」
「それじゃ、わたしはこれで失礼していいですね。」
「それとコレとは別よ」
「チッ」
「兄さんの最後を知っているのは貴方達だけなんですからね。あの何とも言えない者が昨日から兄さんの部屋の前にいて近づけなかったのよ。」
「では、魔人ラフテリア様がいらしてましたので、丁重にお帰りをお願いし、大公閣下がラフテリア様に興味をお持ちでしたので、説明をしました。グレイさんが第三夫人に言い残すことがあるかと訊ね、何もないと答えられ、第一夫人の話になりますと豹変し、そのまま転送いたしました。それでは、さようなら。」
シェリーは部屋を出ようとして腕を捕まれる。
「いやいや。ちょっとお、待って、聞き捨てならないことが沢山あったわよお。」
「詳しくはそこのグレイさんに聞いてください。さようなら。」
「シェリー、捨てて行かないでくれ。」
「きちんと説明して行きなさい。」
結局シェリーは離宮に引き留められるのであった。
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