37 / 780
2章 闇と勇者と聖女
33
しおりを挟む
巻き上がる砂ぼこりがこちらに向かってくる。
「俺の番!!!」
シェリーは辺りを見渡し考えた。そして
「俺の番。会いたかった。」
シェリーは勇者の盾を手に入れた。
タララッタッタッター!
もとい、勇者を盾にした。
「黒の悪魔がなぜいる。」
「佐々木さん、俺を盾にせんといてーな。」
赤金の髪に三角の耳がぴんと出た赤い目の金狼族の男がナオフミを睨み付けていた。
シェリーは一直線に向かって来た者に対して目の前のナオフミ胸ぐらを掴んで引き寄せ、場所を入れ替わり、背中を押し出したのだ。
「あなたが招いたものなので対処してください。わたしは関わりたくありません。」
「おれは泥沼三角関係にかかわりとうない。」
「番から否定された。」
「シェリー、このまま行こうか。」
「え?そこの兄ちゃんも番で、赤い人も番?」
カオスである。
とりあえず、シェリーに押し付けられたナオフミが問う。
「そこの大公閣下の次男の兄ちゃん。ちょっと落ち着い聞いてや。」
「だから、なぜ俺の番の隣に黒の悪魔がいるんだ。」
「いや、よう見てや。」
黒髪のシェリーの隣にはカイルがシェリーの腰を抱き寄せ立っている。肝心のシェリーの目は死んでいるが、番フィルターがかかっているものには関係がない。
「テメー。俺の番から離れろ。」
赤い男の頭をはたきながらナオフミは言う。
「違うわ。自分が番ゆうてる子の髪は黒色やろ。俺の子やで。」
「なんだと!黒い髪。悪魔の子が番。」
「嫌なら、さっさとどこかに行けばいいよ。俺の番をそんな目で見ないで欲しいな。」
カイルは殺気を込めた目で言う。
-シェリーをそんな風に言うやつがシェリーの隣にいる資格はない。-
「俺の番だと!そいつは俺のだ。」
「黒髪が受け入れられないんだよね。」
「いや。いや。受け入れる。俺の番、名をなんと言う?」
シェリーは無表情のまま答えない。目は相変わらず死んでいるが
「あっ。さっきのは間違いだ。悪魔とかは嘘だ。違うんだ。」
「落ち着きや犬の兄ちゃん。取り敢えず、自分から名乗りや。それから、隣の竜の兄ちゃんが番ゆうてるのはほんまやで、番が5人いるそうや。」
「5人!え・・?あっ。グレイシャル・ラースという。グレイと呼んでくれ。番の名を教えてくれないか?」
「悪魔と呼ばれています。石を投げられたりします。炎の矢の魔術が飛んで来たりもします。
ユウマさんこれが黒の色を持つ人族に対するこの世界の人の対応です。目の前で見られて勉強になりましたね。」
グレイシャル・ラースと名乗った男は四つん這いになって項垂れた。
夢にまで見た番に出会えたことと、己のトラウマの男に遭遇したこでパニックなり、番に対して言ってはいけないことを口にしてしまったが為に番に嫌われてしまった。
「いや。勉強になったというか。俺よりもすっげー項垂れているけど、これどおすんだ。」
「そのままでよろしいですわ。」
いつの間にか聖女ビアンカがナオフミの横に立っていた。
「ナオフミがなかなか戻って来なくて心配しましたのよ。」
「すまんなぁ。」
ビアンカが虫けらを見るような目で、グレイを見下し
「ナオフミや子供たちの黒色をけなすような者は捨てておけば宜しいのです。お兄様の金狼の第三婦人の子がわたくしを訪ねに来たのでしょう?ここ数日、結界の外を徘徊しているものがいるのはわかっておりましたから。」
「叔母上」
ビアンカの言葉でグレイは顔を上げ、ビアンカを見上げる。
「叔母上、父上を助けてください。頼れる方は叔母上しかいないのです。」
「わたくしは悪魔の妻ですから、無理ですわね。」
「グフッ」
シェリーとビアンカの母子のトゲトゲしい言葉と氷点下の視線にグレイは完全に撃沈した。
「俺の番!!!」
シェリーは辺りを見渡し考えた。そして
「俺の番。会いたかった。」
シェリーは勇者の盾を手に入れた。
タララッタッタッター!
もとい、勇者を盾にした。
「黒の悪魔がなぜいる。」
「佐々木さん、俺を盾にせんといてーな。」
赤金の髪に三角の耳がぴんと出た赤い目の金狼族の男がナオフミを睨み付けていた。
シェリーは一直線に向かって来た者に対して目の前のナオフミ胸ぐらを掴んで引き寄せ、場所を入れ替わり、背中を押し出したのだ。
「あなたが招いたものなので対処してください。わたしは関わりたくありません。」
「おれは泥沼三角関係にかかわりとうない。」
「番から否定された。」
「シェリー、このまま行こうか。」
「え?そこの兄ちゃんも番で、赤い人も番?」
カオスである。
とりあえず、シェリーに押し付けられたナオフミが問う。
「そこの大公閣下の次男の兄ちゃん。ちょっと落ち着い聞いてや。」
「だから、なぜ俺の番の隣に黒の悪魔がいるんだ。」
「いや、よう見てや。」
黒髪のシェリーの隣にはカイルがシェリーの腰を抱き寄せ立っている。肝心のシェリーの目は死んでいるが、番フィルターがかかっているものには関係がない。
「テメー。俺の番から離れろ。」
赤い男の頭をはたきながらナオフミは言う。
「違うわ。自分が番ゆうてる子の髪は黒色やろ。俺の子やで。」
「なんだと!黒い髪。悪魔の子が番。」
「嫌なら、さっさとどこかに行けばいいよ。俺の番をそんな目で見ないで欲しいな。」
カイルは殺気を込めた目で言う。
-シェリーをそんな風に言うやつがシェリーの隣にいる資格はない。-
「俺の番だと!そいつは俺のだ。」
「黒髪が受け入れられないんだよね。」
「いや。いや。受け入れる。俺の番、名をなんと言う?」
シェリーは無表情のまま答えない。目は相変わらず死んでいるが
「あっ。さっきのは間違いだ。悪魔とかは嘘だ。違うんだ。」
「落ち着きや犬の兄ちゃん。取り敢えず、自分から名乗りや。それから、隣の竜の兄ちゃんが番ゆうてるのはほんまやで、番が5人いるそうや。」
「5人!え・・?あっ。グレイシャル・ラースという。グレイと呼んでくれ。番の名を教えてくれないか?」
「悪魔と呼ばれています。石を投げられたりします。炎の矢の魔術が飛んで来たりもします。
ユウマさんこれが黒の色を持つ人族に対するこの世界の人の対応です。目の前で見られて勉強になりましたね。」
グレイシャル・ラースと名乗った男は四つん這いになって項垂れた。
夢にまで見た番に出会えたことと、己のトラウマの男に遭遇したこでパニックなり、番に対して言ってはいけないことを口にしてしまったが為に番に嫌われてしまった。
「いや。勉強になったというか。俺よりもすっげー項垂れているけど、これどおすんだ。」
「そのままでよろしいですわ。」
いつの間にか聖女ビアンカがナオフミの横に立っていた。
「ナオフミがなかなか戻って来なくて心配しましたのよ。」
「すまんなぁ。」
ビアンカが虫けらを見るような目で、グレイを見下し
「ナオフミや子供たちの黒色をけなすような者は捨てておけば宜しいのです。お兄様の金狼の第三婦人の子がわたくしを訪ねに来たのでしょう?ここ数日、結界の外を徘徊しているものがいるのはわかっておりましたから。」
「叔母上」
ビアンカの言葉でグレイは顔を上げ、ビアンカを見上げる。
「叔母上、父上を助けてください。頼れる方は叔母上しかいないのです。」
「わたくしは悪魔の妻ですから、無理ですわね。」
「グフッ」
シェリーとビアンカの母子のトゲトゲしい言葉と氷点下の視線にグレイは完全に撃沈した。
21
お気に入りに追加
1,014
あなたにおすすめの小説
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
二度目の人生は異世界で溺愛されています
ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。
ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。
加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。
おまけに女性が少ない世界のため
夫をたくさん持つことになりー……
周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています
平山和人
恋愛
伯爵令嬢であるオフィーリアは、ある日、前世の記憶を思い出す、前世の自分は平凡なOLでトラックに轢かれて死んだことを。
自分が転生したのは散財が趣味の悪役令嬢で、王太子と婚約破棄の上、断罪される運命にある。オフィーリアは運命を受け入れ、どうせ断罪されるなら好きに生きようとするが、なぜか周囲から溺愛されてしまう。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる