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31話 モフモフ王子
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パチッ…パチパチ…
(…何の音だ?……あれ?…声が…出せない…)
カイルはそう感じて目をそっと開けた。
(ああ、夜か。狼になってるんだな……え⁉︎焚き火⁉︎どこだここは⁉︎)
驚いたカイルは体を起こそうとしたが、体に何かもたれ掛かられている重みを感じて、お腹の辺りを見る。
(…ア、アイリス⁉︎…えっ⁉︎しかも、しっ下着姿⁉︎あっ…だ、だめだ…見てない、見てないぞ…アイリスは僕が人間になったら狼の記憶を全部忘れると思ってるんだから!)
そう思って、カイルは自分から見えないように、体と尻尾でアイリスをしっかり包み込んだ。
そして、少し落ち着いて考える。
(そうか…あのバッヂを見て頭が割れるように痛くなって…)
少しずつさっきまでの状況を思い出すと、カイルは周りを見て確かめた。
焚き火や干された服、それに積まれた焚き木が目に入って驚く。
自分の毛の中ですやすや眠るこの可愛いらしい少女が、こんなにも逞しく強い存在であったのだと知ると、それが逆に何故か居ても立ってもいられず、自分が守ってやりたいと思わされてしまう。
カイルはそんな不思議な衝動に駆られていた。
(…夢を見ていたように思うが……たぶんあれは僕の記憶だ。間違いない。
あの王家の紋章が彫られたバッヂ…あれは、僕が落とした僕のものだ。あれが引き金になって思い出せたのかもしれない。
……どうする?アイリスに言うか?
でも…言ったら…どう思うだろう…
結婚の約束どころか、僕のことまできれいさっぱり忘れられているからな…
まったく…笑い話にもならない…
婚約を嫌がる筈だ…)
そう思いながらカイルは尻尾を少し上げて、アイリスの左腕を見ると、またフワリと尻尾を巻きつけた。
(あの時の傷…まだ少し残ってるな…
僕がもう少しちゃんと見てやっていれば…)
カイルはあの10歳の頃の、アイリスが木から落ちてしまった日のことを思い出しながら、幼いが故に考えが足りなかった自分の至らなさを後悔した。
(はぁ…全部話したいけど、アイリスに嫌われたく…ないな
アクアとは仲良くしてくれてるが、本当の僕は、……嫌われてるんだよな…?
夜にいなくなっていたのは遊んでたわけじゃないことは分かってもらえるだろうけど、戦争でたくさん人を殺してしまったのは…事実だ…
本当の事を言えば恐がらせるだけだな…
それに、今は追われる身。
これを解決しないことには全部話したところで婚約さえできない。
あの女の正体を暴いてマクロスに教えないと…
マリーサ…覚えてろよ…絶対にこのままでは終わらせない!)
カイルは怒りを抑えられず、喉をグルルと鳴らしてしまった。
「ぅ…ん」
焚き火の前で狼姿のカイルに包まれ眠っていたアイリスが、その声を聞いて、もぞもぞと寝返りを打ち、目を覚ましかけた。
(あっ、まずい…起こしてしまったか?)
「ふわふわの…お布団…気持ちいい…むにゃ」
寝言を言いながら、また寝ようとしている。
(ふふっ、可愛いな…でも夜の森は危ないから、そろそろ起こして帰らないとな)
カイルは優しく尻尾でアイリスの頭を撫でた。
「…ぅ…ん?……あっ、…やだ、寝ちゃってたのね、私」
慌てて体を起こしたアイリスは、眠気まなこを擦った。その目とじっと見つめていた狼の目とが合う。
「アクア‼︎よかった‼︎目が覚めたのね⁇急に倒れたからびっくりしたのよ⁇」
アイリスはそう言って狼姿のカイルのふわふわの毛の中に顔を埋めると、ぐりぐりと嬉しそうに頬を擦り付けた。
(や、やめてっ、アイリス、くっくすぐったいよ、ふっはっ、はっはは)
「ワフワフっ」
「何なに?アクアも気持ちいい?ほんとにあなたの毛ってふわふわよね!」
アイリスはアクアをギュッと抱きしめた。どうも狼姿を見ると、もともと人間だという認識を忘れてしまうらしい。
(うわっ、アイリス!そっ、それはまずい…それに、早く服を着てくれ!)
頭の中がしっかり人間のカイルは、鼻先で干してある服を示して、ワフっ、と小さく吠えた。
「あっ、服?そろそろ乾いたかしらね?…?ねぇ、アクア?狼の時も頭の中は人間なの…?」
「……」
カイルは知らんぷりしてその場に丸まって尻尾で顔を隠すと寝たふりをする。
「ふふっ、まぁいいか」
アイリスは笑ってそう言いながら服を着て、焚き木を火にくべようとした時、カイルが後ろから服の裾を咥えて軽く引っ張った。
「えっ?何なに?」
振り返ると、カイルが鼻先で自分の背を指し示しアイリスに乗るように促した。自分の背に乗せて小屋まで帰ろうと思ったカイルは、なんとか身振りで訴えた。
「えっ?もしかして乗れってこと?えっ?乗せてくれるの?」
アイリスの目が輝く。
「ワフっ」
とカイルは返事をした。
「きゃぁ、嬉しい‼︎こんなふわふわの狼さんに乗せて貰えるなんてっ」
そう言って、アイリスはカイルに飛びついて喜んだ。
(ははっ、変わってないな、アイリスは)
カイルは6歳の頃のアイリスを思い出し、微笑ましくアイリスを見つめて、尻尾をパタパタと振った。
「あっ、ちょっと待ってね?」
アイリスは干してあったカイルの服も取り込んで、持っていたカバンに仕舞うと、肩からかけ、焚き火の火を消して帰り支度をした。
「お待たせ。じゃあ乗ってもいい?」
アイリスがそう言うと、カイルは伏せて乗りやすく背を低くした。
「ふふっ、ありがとう、それじゃあ…お邪魔します」
そう言って、アイリスはわくわくしながらそっと上に跨った。
「うわぁ…ふわふわで気持ちいーい」
ふかふかの暖かい毛の中に埋もれて、気持ち良さそうに背中にしがみつく。
(ふふっ、じゃあ行くよ?しっかり掴まっててね?)
と言いたいところだが、口から出たのは、ワフっ、だけで、カイルは諦めるとそのままゆっくり小屋に向かって歩いた。
(…何の音だ?……あれ?…声が…出せない…)
カイルはそう感じて目をそっと開けた。
(ああ、夜か。狼になってるんだな……え⁉︎焚き火⁉︎どこだここは⁉︎)
驚いたカイルは体を起こそうとしたが、体に何かもたれ掛かられている重みを感じて、お腹の辺りを見る。
(…ア、アイリス⁉︎…えっ⁉︎しかも、しっ下着姿⁉︎あっ…だ、だめだ…見てない、見てないぞ…アイリスは僕が人間になったら狼の記憶を全部忘れると思ってるんだから!)
そう思って、カイルは自分から見えないように、体と尻尾でアイリスをしっかり包み込んだ。
そして、少し落ち着いて考える。
(そうか…あのバッヂを見て頭が割れるように痛くなって…)
少しずつさっきまでの状況を思い出すと、カイルは周りを見て確かめた。
焚き火や干された服、それに積まれた焚き木が目に入って驚く。
自分の毛の中ですやすや眠るこの可愛いらしい少女が、こんなにも逞しく強い存在であったのだと知ると、それが逆に何故か居ても立ってもいられず、自分が守ってやりたいと思わされてしまう。
カイルはそんな不思議な衝動に駆られていた。
(…夢を見ていたように思うが……たぶんあれは僕の記憶だ。間違いない。
あの王家の紋章が彫られたバッヂ…あれは、僕が落とした僕のものだ。あれが引き金になって思い出せたのかもしれない。
……どうする?アイリスに言うか?
でも…言ったら…どう思うだろう…
結婚の約束どころか、僕のことまできれいさっぱり忘れられているからな…
まったく…笑い話にもならない…
婚約を嫌がる筈だ…)
そう思いながらカイルは尻尾を少し上げて、アイリスの左腕を見ると、またフワリと尻尾を巻きつけた。
(あの時の傷…まだ少し残ってるな…
僕がもう少しちゃんと見てやっていれば…)
カイルはあの10歳の頃の、アイリスが木から落ちてしまった日のことを思い出しながら、幼いが故に考えが足りなかった自分の至らなさを後悔した。
(はぁ…全部話したいけど、アイリスに嫌われたく…ないな
アクアとは仲良くしてくれてるが、本当の僕は、……嫌われてるんだよな…?
夜にいなくなっていたのは遊んでたわけじゃないことは分かってもらえるだろうけど、戦争でたくさん人を殺してしまったのは…事実だ…
本当の事を言えば恐がらせるだけだな…
それに、今は追われる身。
これを解決しないことには全部話したところで婚約さえできない。
あの女の正体を暴いてマクロスに教えないと…
マリーサ…覚えてろよ…絶対にこのままでは終わらせない!)
カイルは怒りを抑えられず、喉をグルルと鳴らしてしまった。
「ぅ…ん」
焚き火の前で狼姿のカイルに包まれ眠っていたアイリスが、その声を聞いて、もぞもぞと寝返りを打ち、目を覚ましかけた。
(あっ、まずい…起こしてしまったか?)
「ふわふわの…お布団…気持ちいい…むにゃ」
寝言を言いながら、また寝ようとしている。
(ふふっ、可愛いな…でも夜の森は危ないから、そろそろ起こして帰らないとな)
カイルは優しく尻尾でアイリスの頭を撫でた。
「…ぅ…ん?……あっ、…やだ、寝ちゃってたのね、私」
慌てて体を起こしたアイリスは、眠気まなこを擦った。その目とじっと見つめていた狼の目とが合う。
「アクア‼︎よかった‼︎目が覚めたのね⁇急に倒れたからびっくりしたのよ⁇」
アイリスはそう言って狼姿のカイルのふわふわの毛の中に顔を埋めると、ぐりぐりと嬉しそうに頬を擦り付けた。
(や、やめてっ、アイリス、くっくすぐったいよ、ふっはっ、はっはは)
「ワフワフっ」
「何なに?アクアも気持ちいい?ほんとにあなたの毛ってふわふわよね!」
アイリスはアクアをギュッと抱きしめた。どうも狼姿を見ると、もともと人間だという認識を忘れてしまうらしい。
(うわっ、アイリス!そっ、それはまずい…それに、早く服を着てくれ!)
頭の中がしっかり人間のカイルは、鼻先で干してある服を示して、ワフっ、と小さく吠えた。
「あっ、服?そろそろ乾いたかしらね?…?ねぇ、アクア?狼の時も頭の中は人間なの…?」
「……」
カイルは知らんぷりしてその場に丸まって尻尾で顔を隠すと寝たふりをする。
「ふふっ、まぁいいか」
アイリスは笑ってそう言いながら服を着て、焚き木を火にくべようとした時、カイルが後ろから服の裾を咥えて軽く引っ張った。
「えっ?何なに?」
振り返ると、カイルが鼻先で自分の背を指し示しアイリスに乗るように促した。自分の背に乗せて小屋まで帰ろうと思ったカイルは、なんとか身振りで訴えた。
「えっ?もしかして乗れってこと?えっ?乗せてくれるの?」
アイリスの目が輝く。
「ワフっ」
とカイルは返事をした。
「きゃぁ、嬉しい‼︎こんなふわふわの狼さんに乗せて貰えるなんてっ」
そう言って、アイリスはカイルに飛びついて喜んだ。
(ははっ、変わってないな、アイリスは)
カイルは6歳の頃のアイリスを思い出し、微笑ましくアイリスを見つめて、尻尾をパタパタと振った。
「あっ、ちょっと待ってね?」
アイリスは干してあったカイルの服も取り込んで、持っていたカバンに仕舞うと、肩からかけ、焚き火の火を消して帰り支度をした。
「お待たせ。じゃあ乗ってもいい?」
アイリスがそう言うと、カイルは伏せて乗りやすく背を低くした。
「ふふっ、ありがとう、それじゃあ…お邪魔します」
そう言って、アイリスはわくわくしながらそっと上に跨った。
「うわぁ…ふわふわで気持ちいーい」
ふかふかの暖かい毛の中に埋もれて、気持ち良さそうに背中にしがみつく。
(ふふっ、じゃあ行くよ?しっかり掴まっててね?)
と言いたいところだが、口から出たのは、ワフっ、だけで、カイルは諦めるとそのままゆっくり小屋に向かって歩いた。
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