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134話 冷たい目が好きな女
しおりを挟むティアは、トラブルをさらに大きくしてしまうと思い、自分は別室にいるから、と言ったが、
リンドが、自分にはティアしかいないということを知っておいてもらいたいからと言って聞かず、
キャロラインが待つ部屋へ一緒に向かった。
コンコン
リンドが重い気持ちでノックした。
「どうぞ」
既に怒り気味のキャロラインは、低い声で返事する。
ガチャ
扉が開いて、リンドが入って来るのを見ると、
キャロラインは立ち上がってキラキラした目でリンドを見た。
怒っていないのでは?と思わせるほどに…
しかし、続いて入ったティアを見て目を吊り上げる。
やっぱり怒っていた。
そもそも怒っていることを知ってはいたが、実際にその表情を見て、事の面倒さに2人は落胆した。
「どうぞ、おかけになって」
あれ?ここ俺の家だよな?
相手の家に招かれているのか?と錯覚するほどの、キャロラインの横暴さに、リンドは呆れた。
リンドは初っ端から負けたくないと思い、
主導権を渡さない為、冷血公子の時のあの冷たく鋭い目つきをして、吹雪が吹きつけるような冷たいオーラを放ちながら、言ってやる。
「ここは、君の家ではないんだが?」
…しかし、怖気づく気配がないどころか、逆にキラキラした目でリンドを見てくる。
?もうちょっと目を鋭くしないとだめだったか?
せっかくがんばって威圧したのに、効果がなかったのでリンドはがっかりした。
「申し訳ございません、リンドール様。」
そう言うと、キャロラインは素直にこちらが座るように声をかけるのを待っていた。
「どうぞ」
と、あくまでリンドはそっけなく言う。
しかし、全く動じることなく、なんならニコニコして、
「はい、ありがとうございます。失礼致します」
と言って座った。
リンドはティアを振り返ると、わざと大げさに手を取って、そっとソファへ座らせる。
大事にしているのはこのティアだけだとわからせるように。
そして、密着するように、リンドもその隣に座る。
すると、キャロラインは目に怒りの炎をメラメラと燃え沸らせた。
気にせずにリンドは続ける。
「それで?俺に戦争仕掛けるって?」
リンドはさらに睨みをきかせた。
「私と結婚してくだされば、そんなこと致しませんわ?」
またニコニコ顔になった。気持ち悪い女…
リンドは気味が悪くなった。
「俺を脅すような女と俺が結婚するとでも?」
リンドは勝つために、あくまでも上から目線の俺様方式で行くつもりだった。
しかし、その対応をすればするほどキャロラインはキラキラするので、どうにも締まらない。
「でしたら、どうすれば結婚して頂けるのでしょうか?」
懇願するように聞いてきた。
「しない」
「え?」
「どうやっても君と結婚はできないんだ。
申し訳ない。
私はこちらのリズティアと結婚する。
大変申し訳ないのだが、身を引いて頂きたい。
こちらの事情で申し訳ないが…
私が記憶喪失だったために、一時婚約が中断されただけで、
記憶が戻った今、もうこのリズティア以外とは結婚できないんだ。
どうか、わかってもらいたい。」
真剣な目ではっきりと伝えた。
しかし、キャロラインは納得するはずもなく…
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