【完結】転生令嬢はハッピーエンドを目指します！

106話 やっと目が覚めたのに

「う…うぅ…ん…」

目を開けると、そこはよく見慣れた天井で、

とてもよく眠れたいい気分で目が覚めたリンドは、

体を起こすと…バキバキと音が鳴りそうなほどに体が硬く強ばっていた。

⁇

なんでこんなに体が痛いんだ？

そういえば…あれ？
なんで寝てたんだ？

たしか…そう、俺デビュタントに出席してなかったか？

いつ帰ってきたんだ？

忘れるほど酒なんて飲んでないよな？

人が鬱陶しくて、外に出ようとして…あれ？

それで？

まっ、いいか、帰ってきてるなら。

はぁ、あんなパーティの記憶抜け落ちててラッキーなくらいだな

と思うと、ふっと口の端を歪めながら、皮肉な顔をして笑む。

お腹が空いていることに気づいたリンドは、ベッドから降りようと体を横に向けた瞬間…

「おわっ！エッ⁈えっ⁈え⁈何⁈なんで⁈」

あまりの動揺にベッドの後ろへ素早く後ずさった。

リンドの記憶は精霊のリンドが記憶を取り戻す前まで巻き戻っていた。

そのリンドが、今、

あるはずのないもうひとつのベッドに、

いるはずのない見知らぬ女の子が寝ているのを見て、

死ぬほど驚いているのだ。

あまりの驚きと戸惑いで、大の男が声もでなくなった。

呆然と眠る女の子を食い入るように見つめる。

しかし、物音に気づくことなく、すやすや眠る女の子が、急には起きそうもないと察し、

今のうちにとりあえず見つからないようそっと部屋を出て、どうなってるのか、誰かに事情を聞こうと

そうっとベッドから降りて扉の方へ、足音に気をつけながら歩いた。その時

「う…ん…リンド…さま…」

ただのうわごとなのに、名前を呼ばれたと勘違いして驚いたリンドは、

ガタンっとテーブルにぶつかり音を立ててしまった。

うわっ、まずい！

そう思ったが遅かった…

「…う…うん。…？……⁈リンド様⁉︎」

女の子が起きてしまい、動揺したリンドは立ちすくんでしまった。

女の子は飛び起きると、パタパタとかけてきて、思いっきり抱きついてきた⁈

は⁈

「リンド様‼︎リンド様‼︎もう大丈夫なのですか⁈痛いところはございませんか⁈」

泣きじゃくって離れない…

なんだこの女⁈

リンドはなんとか引き離し

「ねぇ、君なんなの⁈誰⁉︎

俺の部屋になんでいるんだよ⁈」

「…え？…リンド…様⁇」

「そっちは俺を知ってるのか知らないが、こっちは知らないんだから勝手に名前で呼ぶな！

しかも何略して呼んでんの？

それ仲良いやつだけの呼び方だからな⁈
勝手に略すな‼︎」

「えっ？…あの…え？」

「なんか知らないけど、俺に抱きつくとか絶対やめろ！

とにかく出て行ってくれないか。

悪いが、そもそも俺は、俺に近づく女はみんな大嫌いなんだ。」

「え…」

ティアは呆然として、怒鳴るリンドを見つめ、動けなくなった。

「なんでじっとしてるんだよ。…ぁあっもう、じゃあ俺が出て行くから！

その間にそのベッド片付けて出て行けよ？じゃ」

と言うと、リンドは部屋から出て行ってしまった…

ど…どういう…こと？

あまりのショックにティアはヘナヘナとカーペットに座り込むと、そのまま気を失ってしまった…