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77話 大事なフェリスを守るため
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コンコン
……
コンコン
……
「ねぇ、開けてよ、ベル?居るんでしょ?」
無理かもしれないと思ってはいても、やはりフェリスは一縷の望みを賭けてみる必要があると思い、大魔女の元を訪れていた。
……
ガチャ
と小さくドアが開いて、大魔女ベルが顔を覗かせた。
「ハァ……入んな」
困ったような顔をした大魔女は、それでも結局中へ入れてくれた。
「ねぇ、わかったんだよ!あの魔女の名前!」
「やっぱりまたその話かい…」
「そりゃそうだよ。まだ解決してないんだから。
それで、その魔女なんだけど、メイサっていうんだ。ベル、知ってる?」
「ああ…あの女か。まぁ、よく知ってはいるが…」
「やっぱり⁉︎よかった!じゃあ会わせてよ!」
「……会ってどうする?」
「それは、カトリーナから魔法を取ってもらうに決まってる。あとは毒も渡さないで欲しい」
「ハァ…だめだ、だめだ。会わせられないね」
「どうして?」
「この前と同じ理由だ。そいつがその女から魔法を取り上げるには、結局依頼したあんたの寿命全部を持っていくことになる。
それを知ってて会わせらるもんかい。馬鹿馬鹿しい。
あんたはさっさとそのエレナって子と結婚して、王子のことなんざ忘れさせてやればいいんだよ」
「ベル…どうして分かってくれないんだ!
それはエレナの本当の幸せじゃないんだよ?
頼むから会わせてよ!」
「だーめーだ!ほらっ、さっさと帰んな!」
と、ベルはフェリスの背中をぐいぐいと押して、また部屋から追い出してしまった。
「はぁ…会える方法が、すぐそばにあるのに…クソっ」
フェリスは顔を歪めて小さく叫ぶと、また人間の世界へと帰って行った。
……
コンコン
……
「ねぇ、開けてよ、ベル?居るんでしょ?」
無理かもしれないと思ってはいても、やはりフェリスは一縷の望みを賭けてみる必要があると思い、大魔女の元を訪れていた。
……
ガチャ
と小さくドアが開いて、大魔女ベルが顔を覗かせた。
「ハァ……入んな」
困ったような顔をした大魔女は、それでも結局中へ入れてくれた。
「ねぇ、わかったんだよ!あの魔女の名前!」
「やっぱりまたその話かい…」
「そりゃそうだよ。まだ解決してないんだから。
それで、その魔女なんだけど、メイサっていうんだ。ベル、知ってる?」
「ああ…あの女か。まぁ、よく知ってはいるが…」
「やっぱり⁉︎よかった!じゃあ会わせてよ!」
「……会ってどうする?」
「それは、カトリーナから魔法を取ってもらうに決まってる。あとは毒も渡さないで欲しい」
「ハァ…だめだ、だめだ。会わせられないね」
「どうして?」
「この前と同じ理由だ。そいつがその女から魔法を取り上げるには、結局依頼したあんたの寿命全部を持っていくことになる。
それを知ってて会わせらるもんかい。馬鹿馬鹿しい。
あんたはさっさとそのエレナって子と結婚して、王子のことなんざ忘れさせてやればいいんだよ」
「ベル…どうして分かってくれないんだ!
それはエレナの本当の幸せじゃないんだよ?
頼むから会わせてよ!」
「だーめーだ!ほらっ、さっさと帰んな!」
と、ベルはフェリスの背中をぐいぐいと押して、また部屋から追い出してしまった。
「はぁ…会える方法が、すぐそばにあるのに…クソっ」
フェリスは顔を歪めて小さく叫ぶと、また人間の世界へと帰って行った。
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