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48話 きょうだいなら…
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「…姉上…」
グスッ…うっ…ひっく…ぅうっ
ルーカスは嗚咽を上げながら泣くエレナの背中を優しくさすり続けた。
「…ルーカス、っく…ご、ごめん…ね。
こんなに情けない姉で…本当に…っご、ごめんね」
「もういいから、姉上、もういいから…何も喋らなくていいよ」
そう言うと、ルーカスは我慢出来ずにエレナを抱きしめた。
「姉上…姉上は何も悪くない…姉上は…何も!
…悔しいけど、弟の僕にできることはたかが知れてる。
でもフェリス殿下ならきっと姉上を幸せにしてくれるよ。
ね?姉上?あの優しくて賢いフェリス殿下だよ?大丈夫、大丈夫だよ」
ルーカスはエレナを優しく諭しながらも、自分の立場ではどうしようもできない身の上を呪った。
もしここでエレナを連れ去ったりしたら、母親の立場が悪くなり公爵家にいられなくなるだろう。
それに身分のなくなった自分と一緒にいたら、貴族暮らししか知らないエレナをきっと不幸にしてしまう。
本当は公爵家を抜けて、ただのルーカスになり、結婚できる歳になったらエレナと結婚して、自分が幸せにしてやりたい。
しかしエレナのことも母のことも不幸にしてしまうことが目に見えているのに、自分の我儘を通すわけにはいかなかった。
それならば、自分は潔く身を引き、信頼できるフェリスに託せるなら、それが一番だと思った。
「ルーカス、ルーカス…私もう嫌。
婚約も結婚も貴族も…全部嫌!
フェリス殿下が嫌なんじゃない。
でも人の気持ちなんて簡単に変わるのよ…
今度のことでそれが心底よくわかったわ…
もう誰も好きになりたくない!
もう誰にも好きになって貰いたくない…」
エレナは泣き叫んだ。
「姉上……」
ルーカスはしばらく黙っていたが、やがて覚悟を決めたように、エレナを抱きしめたまま、ゆっくり口を開いた。
「……姉上?僕は姉上の弟でしょ?」
「ええ、…もちろん、
あなたは私の大事な可愛い弟よ?」
「姉上……
きょうだいってさ、好きも嫌いもなく、でもずっとお互いを助け合う、利害関係も感情による裏切りもない相手だよね?」
「…?そうね?
でも私はルーカスが好きよ?」
「……男女の好き嫌いの意味だよ」
「あっ、…そういうことなら、そうね?」
「……姉上、……貴族、本当にやめたいなら、
そんなに全部嫌なら……
………僕と一緒にやめる?
今なら、一緒に連れて逃げてあげられるよ?
僕ならずっと変わらず姉上を愛している。
きょうだい2人でずっと暮らさないか?
裏切りも心変わりもないきょうだいで。
平民なら学園に通う必要もない。すぐに僕が働けばいいだけだ。
幸い僕は王族に匹敵する魔力を持っているから、魔道士として生きていける。
学園に行かなくても、公爵家で教育も受けてきた。今すぐに働くことができる。
姉上……どうかな?僕は……本気だよ?」
ルーカスは諦めてフェリスに託すつもりだったが、さっきのエレナの心の叫びを聞いて、自分の思いを止められなくなってしまった。
グスッ…うっ…ひっく…ぅうっ
ルーカスは嗚咽を上げながら泣くエレナの背中を優しくさすり続けた。
「…ルーカス、っく…ご、ごめん…ね。
こんなに情けない姉で…本当に…っご、ごめんね」
「もういいから、姉上、もういいから…何も喋らなくていいよ」
そう言うと、ルーカスは我慢出来ずにエレナを抱きしめた。
「姉上…姉上は何も悪くない…姉上は…何も!
…悔しいけど、弟の僕にできることはたかが知れてる。
でもフェリス殿下ならきっと姉上を幸せにしてくれるよ。
ね?姉上?あの優しくて賢いフェリス殿下だよ?大丈夫、大丈夫だよ」
ルーカスはエレナを優しく諭しながらも、自分の立場ではどうしようもできない身の上を呪った。
もしここでエレナを連れ去ったりしたら、母親の立場が悪くなり公爵家にいられなくなるだろう。
それに身分のなくなった自分と一緒にいたら、貴族暮らししか知らないエレナをきっと不幸にしてしまう。
本当は公爵家を抜けて、ただのルーカスになり、結婚できる歳になったらエレナと結婚して、自分が幸せにしてやりたい。
しかしエレナのことも母のことも不幸にしてしまうことが目に見えているのに、自分の我儘を通すわけにはいかなかった。
それならば、自分は潔く身を引き、信頼できるフェリスに託せるなら、それが一番だと思った。
「ルーカス、ルーカス…私もう嫌。
婚約も結婚も貴族も…全部嫌!
フェリス殿下が嫌なんじゃない。
でも人の気持ちなんて簡単に変わるのよ…
今度のことでそれが心底よくわかったわ…
もう誰も好きになりたくない!
もう誰にも好きになって貰いたくない…」
エレナは泣き叫んだ。
「姉上……」
ルーカスはしばらく黙っていたが、やがて覚悟を決めたように、エレナを抱きしめたまま、ゆっくり口を開いた。
「……姉上?僕は姉上の弟でしょ?」
「ええ、…もちろん、
あなたは私の大事な可愛い弟よ?」
「姉上……
きょうだいってさ、好きも嫌いもなく、でもずっとお互いを助け合う、利害関係も感情による裏切りもない相手だよね?」
「…?そうね?
でも私はルーカスが好きよ?」
「……男女の好き嫌いの意味だよ」
「あっ、…そういうことなら、そうね?」
「……姉上、……貴族、本当にやめたいなら、
そんなに全部嫌なら……
………僕と一緒にやめる?
今なら、一緒に連れて逃げてあげられるよ?
僕ならずっと変わらず姉上を愛している。
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幸い僕は王族に匹敵する魔力を持っているから、魔道士として生きていける。
学園に行かなくても、公爵家で教育も受けてきた。今すぐに働くことができる。
姉上……どうかな?僕は……本気だよ?」
ルーカスは諦めてフェリスに託すつもりだったが、さっきのエレナの心の叫びを聞いて、自分の思いを止められなくなってしまった。
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