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51話 王子の恋煩い
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ふむ…カルーア王国とは、あの信仰の本拠地となっている国ですね。
ぜひ、一度行きたいと思っておりました…
ミラはそう思い立つと、すぐに先程の社交辞令とも取れる誘いに食い付いた。
「ありがとうございます。カルーア王国はとても平和で善行をされる方が多く、素晴らしい国だと聞き及んでおります。
ぜひ一度、自分の目でそのような幸せな世界を見てみたいと思っておりました。」
ミラは恭しくニコラスに言った。
「おお!そうでしたか!…たしかに平和ではあります…ね。それが良いのかどうか最近少し分からなくなってきましたが…まぁ、それも贅沢というものでしょうか。
どうぞ!気になるならぜひ一度いらして下さい!」
この美しい聖女にもう一度ゆっくり会えるならと、ニコラスは興奮気味に誘った。
「はい、ありがとうございます。アレス様?よろしいでしょうか?」
ニコラスに微笑んだ後、不安そうに、ミラは隣りに立つアレスの顔を見上げた。
「ふふっ、もちろんだよ。君の行きたいところは僕の行きたいところだ。ニコラス殿?ぜひ今度視察も兼ねて、カルーア王国へお邪魔させて頂きたい。構わないかな」
「ああ、楽しみに待ってるよ。アレスフォード殿はどうやらこの可愛いらしい聖女様にメロメロのご様子だな」
と、ウインクしてミラを見た。
「そんなことは…」
と、ミラは俯いた。
本当にそんなはずないと思って俯いただけだったが、男2人にはその姿は照れているようにしか見えず、2人まで少し照れるという現象が起き、
それを見たマリアンヌが、
あざとい女ね…
と、こっそり睨みを効かせていたのは誰も気付かなかった。
「ふふっ、ミリア?君の念願が叶いそうで良かったね?」
そう言いながら、アレスは俯くミラを優しく見つめ、そっと肩を抱くと、ニコラスに向き直った。
「ニコラス殿、ありがとう。ではまた日程を決めて連絡させて頂くよ。それじゃあ、お二人共、引き続きお楽しみください。私たちはこれで」
とアレスは胸に手を当てて礼をすると、ミリアを連れてその場を離れた。
アレスは歩きながら1人考える。
…あの皇太子のミリアを見る目…キケンだ…
あっちの国に行ったら、ミリアから目を離さないようにしないと…
まぁ、何かあればあの皇太子妃が黙ってなさそうだったけど…
それにしても、やっぱりそうだよね?
あの皇太子妃の僕を見る反応。
ミリアがそっけないから、最近自信喪失気味だったけど、やっぱり普通の女性の反応はあんな感じだよね?
はぁ…なんでミリアは僕のこと好きになってくれないんだろう。
この見た目、嫌いなのかな…
どんなのが好きなんだろう?
僕と違うなら、もっと大男で、日に焼けて、力が強そうな感じとか?
話し方もワイルドな方がいい?
…それかもしれないな!
大きくて頼りがいのある男は女性にモテると聞いたことがある!
背は高い方だが、…もっと筋肉をつけるか…?
話し方は、今さら変えるのも変…だよな?
いや、先にミリアの好みを聞いた方がいいのか?
……わからないよ、ミリア…
と、アレスの青い目が深海のように陰ったのをミリアは知らない。
ぜひ、一度行きたいと思っておりました…
ミラはそう思い立つと、すぐに先程の社交辞令とも取れる誘いに食い付いた。
「ありがとうございます。カルーア王国はとても平和で善行をされる方が多く、素晴らしい国だと聞き及んでおります。
ぜひ一度、自分の目でそのような幸せな世界を見てみたいと思っておりました。」
ミラは恭しくニコラスに言った。
「おお!そうでしたか!…たしかに平和ではあります…ね。それが良いのかどうか最近少し分からなくなってきましたが…まぁ、それも贅沢というものでしょうか。
どうぞ!気になるならぜひ一度いらして下さい!」
この美しい聖女にもう一度ゆっくり会えるならと、ニコラスは興奮気味に誘った。
「はい、ありがとうございます。アレス様?よろしいでしょうか?」
ニコラスに微笑んだ後、不安そうに、ミラは隣りに立つアレスの顔を見上げた。
「ふふっ、もちろんだよ。君の行きたいところは僕の行きたいところだ。ニコラス殿?ぜひ今度視察も兼ねて、カルーア王国へお邪魔させて頂きたい。構わないかな」
「ああ、楽しみに待ってるよ。アレスフォード殿はどうやらこの可愛いらしい聖女様にメロメロのご様子だな」
と、ウインクしてミラを見た。
「そんなことは…」
と、ミラは俯いた。
本当にそんなはずないと思って俯いただけだったが、男2人にはその姿は照れているようにしか見えず、2人まで少し照れるという現象が起き、
それを見たマリアンヌが、
あざとい女ね…
と、こっそり睨みを効かせていたのは誰も気付かなかった。
「ふふっ、ミリア?君の念願が叶いそうで良かったね?」
そう言いながら、アレスは俯くミラを優しく見つめ、そっと肩を抱くと、ニコラスに向き直った。
「ニコラス殿、ありがとう。ではまた日程を決めて連絡させて頂くよ。それじゃあ、お二人共、引き続きお楽しみください。私たちはこれで」
とアレスは胸に手を当てて礼をすると、ミリアを連れてその場を離れた。
アレスは歩きながら1人考える。
…あの皇太子のミリアを見る目…キケンだ…
あっちの国に行ったら、ミリアから目を離さないようにしないと…
まぁ、何かあればあの皇太子妃が黙ってなさそうだったけど…
それにしても、やっぱりそうだよね?
あの皇太子妃の僕を見る反応。
ミリアがそっけないから、最近自信喪失気味だったけど、やっぱり普通の女性の反応はあんな感じだよね?
はぁ…なんでミリアは僕のこと好きになってくれないんだろう。
この見た目、嫌いなのかな…
どんなのが好きなんだろう?
僕と違うなら、もっと大男で、日に焼けて、力が強そうな感じとか?
話し方もワイルドな方がいい?
…それかもしれないな!
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背は高い方だが、…もっと筋肉をつけるか…?
話し方は、今さら変えるのも変…だよな?
いや、先にミリアの好みを聞いた方がいいのか?
……わからないよ、ミリア…
と、アレスの青い目が深海のように陰ったのをミリアは知らない。
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