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43話 疑われた待ち合わせ
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「では、今日はこれで失礼致します」
ミラは荷物をまとめ、城のエントランスでアレスに一時の別れを告げていた。
「じゃあ、僕が送って行こう」
「いえ、辻馬車を拾いますのでご心配なく」
張り切って言うアレスに、ミラは手が荷物で塞がっていたので、首を少し横に振って断った。
「そんなわけにいかないよ。君は僕の婚約者になる大事な人なんだから、君を守るのは僕の役目だ。
きちんと家まで送らせて欲しい」
一度で引いてくれないアレスに、ミラはカーティスとの約束があるので、どうやって断ろうかと困った。
「いえ、あの本当にその…あっ!この後人と会う約束がありまして」
「…それは嘘だ。だって君は昨日の夜急にこの見知らぬ土地へ連れてこられて、その翌朝には帰ろうとしているんだよ?
そんな短い時間で、しかも人が寝静まる時間に人と会う約束なんてしてないはずだ。
…そんな見え透いた嘘で断りたいほど、僕と一緒が嫌なのかい?」
アレスはとても悲しそうにミラを見た。
人と会うのは本当なんだけど…と思いながらも、ミラも別に破談にしたいわけではない。
背に腹はかえられないと思い、アレスに送って貰う事にした。
「いえ、その、お忙しいのに申し訳ないと思いまして…アレス様がよろしいのでしたら、よろしくお願い致します」
と、何とか取り繕う。
しかしそうとは知らないアレスの表情はぱっと輝き、
「そんな遠慮いらないよ?僕は一緒にいられる方が嬉しいんだから。じゃあ、すぐに馬車の準備をしてこよう。少し待っててね」
と、美しく微笑んで、どこかへ駆けて行った。
その間にミラはカーティスに貰ったブローチを握りしめ、頭の中で話しかけた。
ミラ: カーティス様?聞こえますか?
カー: ああ、終わったのか?
ミラ: それが、王子に教会まで送られることになってしまって。そちらに帰るのはもう少し時間がかかりそうなんです。
カー: それは、仕事上仕方ないということか?
ミラ: そうなんです…あっ!カーティス様!私ついに聖女になれました!しかも、近々王から国民へ大々的に発表して貰えるみたいなんです!それでまずは第一関門突破です!
カー: すごいじゃないか!ミラ!本当によくやった!
ミラ: ありがとうございます!あっ、それと、次の段階で争いを起こすために利用できる王妃になれそうなんです!
まずは婚約者からですから、2年ほど時間はかかりそうなんですが、王妃になれば争いの火種は簡単に起こせると思います!
カー: …ちょっと待て、王妃?それってこっちでいうところの…番…のことなんじゃ?
ミラ: え?何ですか?よく聞こえませんでしたが?…あっ!王子が戻って来ました!では、また後ほどそちらで…
カー: おい?ちょ、ちょっと待て!ミラ!
ミラ:
カー: ミラ⁇ミラ⁈
ミラ:
「くそっ!念話が切れた!どういうことだ…ミラ。わかってるのか?結婚したらどうなるのか…」
カーティスは、迎えに行こうとゲートの前で待っていたが、そのままふらふらとソファに座り込み、しばらくぼうっとしていた。
ミラは荷物をまとめ、城のエントランスでアレスに一時の別れを告げていた。
「じゃあ、僕が送って行こう」
「いえ、辻馬車を拾いますのでご心配なく」
張り切って言うアレスに、ミラは手が荷物で塞がっていたので、首を少し横に振って断った。
「そんなわけにいかないよ。君は僕の婚約者になる大事な人なんだから、君を守るのは僕の役目だ。
きちんと家まで送らせて欲しい」
一度で引いてくれないアレスに、ミラはカーティスとの約束があるので、どうやって断ろうかと困った。
「いえ、あの本当にその…あっ!この後人と会う約束がありまして」
「…それは嘘だ。だって君は昨日の夜急にこの見知らぬ土地へ連れてこられて、その翌朝には帰ろうとしているんだよ?
そんな短い時間で、しかも人が寝静まる時間に人と会う約束なんてしてないはずだ。
…そんな見え透いた嘘で断りたいほど、僕と一緒が嫌なのかい?」
アレスはとても悲しそうにミラを見た。
人と会うのは本当なんだけど…と思いながらも、ミラも別に破談にしたいわけではない。
背に腹はかえられないと思い、アレスに送って貰う事にした。
「いえ、その、お忙しいのに申し訳ないと思いまして…アレス様がよろしいのでしたら、よろしくお願い致します」
と、何とか取り繕う。
しかしそうとは知らないアレスの表情はぱっと輝き、
「そんな遠慮いらないよ?僕は一緒にいられる方が嬉しいんだから。じゃあ、すぐに馬車の準備をしてこよう。少し待っててね」
と、美しく微笑んで、どこかへ駆けて行った。
その間にミラはカーティスに貰ったブローチを握りしめ、頭の中で話しかけた。
ミラ: カーティス様?聞こえますか?
カー: ああ、終わったのか?
ミラ: それが、王子に教会まで送られることになってしまって。そちらに帰るのはもう少し時間がかかりそうなんです。
カー: それは、仕事上仕方ないということか?
ミラ: そうなんです…あっ!カーティス様!私ついに聖女になれました!しかも、近々王から国民へ大々的に発表して貰えるみたいなんです!それでまずは第一関門突破です!
カー: すごいじゃないか!ミラ!本当によくやった!
ミラ: ありがとうございます!あっ、それと、次の段階で争いを起こすために利用できる王妃になれそうなんです!
まずは婚約者からですから、2年ほど時間はかかりそうなんですが、王妃になれば争いの火種は簡単に起こせると思います!
カー: …ちょっと待て、王妃?それってこっちでいうところの…番…のことなんじゃ?
ミラ: え?何ですか?よく聞こえませんでしたが?…あっ!王子が戻って来ました!では、また後ほどそちらで…
カー: おい?ちょ、ちょっと待て!ミラ!
ミラ:
カー: ミラ⁇ミラ⁈
ミラ:
「くそっ!念話が切れた!どういうことだ…ミラ。わかってるのか?結婚したらどうなるのか…」
カーティスは、迎えに行こうとゲートの前で待っていたが、そのままふらふらとソファに座り込み、しばらくぼうっとしていた。
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