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36話 ミラはどこだ⁉︎
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カッカッカッカッ、カッカッカッカッ、
「…カーティス様、少し落ち着いてください」
「落ち着いてるさっ!」
カーティスは、いつもの時間にカーティスの自室のゲートからミラが帰って来ないため、ゲートの前をずっとウロウロしていた。
「はぁ~、どこがです?そんなに心配なら人間界へ見にいらしたらいかがですか?」
リカルドは呆れ顔で提案した。
「仕事の邪魔はできん!」
カーティスはプイッと顔を背けるが、構わずリカルドは続ける。
「でも、いつもの教会のお仕事はもうかなり前に終わっている時間なんでしょう?だから心配でそんなにさっきからウロウロしてるんですよね?」
ニコッと可愛らしく微笑んで、覗き込むように見てくるリカルドにカーティスはさらに苛立った。
「う、うるさい!…お前は、いつも一言多い!」
「はい、はい。もう、そんなに気になるなら、とっとと見に行ってくださいよ。
もし、誘拐とかだったらど~しますぅ?」
リカルドはさらに焚き付けるように意地悪くカーティスを煽る。
「なっ、ゆっ、誘拐⁈」
「そうですよ?いくら魔女でもそれぞれ能力が違いますからね?私たち魔神と違って力は限られていますから。ミラ様は戦闘系の能力はお持ちではなかったと思いますが?」
「それを早く言え‼︎」
そう言うと同時に、カーティスはもうゲートに飛び込んでいた。
———どうなってる⁉︎
カーティスの自室と教会の中とを繋ぐゲートから出てきたカーティスは、灯りが消され、ガランと静かで誰も居なくなっていることに気づいた。
ミラの気配を、能力を使って感じ取ろうとしたが、この付近にはもうミラはいない。
カーティスは五感を獣以上に高められる。
ミラの匂いを追って外へ出ると、それがずっとずっと遠くまで続いていることがわかった。
カーティスの背中に冷や汗が伝う。
あのリカルドの言葉が、やけに酷く頭に響いた。
「…ほんとに、…誘拐?」
カーティスは姿を消し、上空まで急上昇すると、猛スピードで、その気配を追った。
——どういうことだ?
カーティスは王城の上に浮かんでいた。
「ここは…この国の国王が住む城じゃないか。なんでこんなところにミラの気配が
…」
疑問には思ったが、自分の能力がここだと告げているのは間違いないので、さらに気配を辿ってカーティスはスーッと、城に近づいた。
一番強く感じた場所のバルコニーに姿を消したまま降り立ち、中の様子を見る。
「…っ‼︎」
危うく声を出しそうになったのを、カーティスは慌てて手で口を覆い、防いだ。
ミラ⁉︎誰だその人間の男は⁇
しかし、男の後に付いて自分から部屋に入って来たから、誘拐ではない…のか?
何をしている⁇
あっ!男が部屋から出た!
ミラ1人か?
⁇どこへ行くんだ?
別の部屋へ入って行ったが…
今はミラ1人だとわかったカーティスは目に力を込めると、金色の目が発光し、念動力でバルコニーから部屋に入るガラスの扉の鍵を開けた。
「…カーティス様、少し落ち着いてください」
「落ち着いてるさっ!」
カーティスは、いつもの時間にカーティスの自室のゲートからミラが帰って来ないため、ゲートの前をずっとウロウロしていた。
「はぁ~、どこがです?そんなに心配なら人間界へ見にいらしたらいかがですか?」
リカルドは呆れ顔で提案した。
「仕事の邪魔はできん!」
カーティスはプイッと顔を背けるが、構わずリカルドは続ける。
「でも、いつもの教会のお仕事はもうかなり前に終わっている時間なんでしょう?だから心配でそんなにさっきからウロウロしてるんですよね?」
ニコッと可愛らしく微笑んで、覗き込むように見てくるリカルドにカーティスはさらに苛立った。
「う、うるさい!…お前は、いつも一言多い!」
「はい、はい。もう、そんなに気になるなら、とっとと見に行ってくださいよ。
もし、誘拐とかだったらど~しますぅ?」
リカルドはさらに焚き付けるように意地悪くカーティスを煽る。
「なっ、ゆっ、誘拐⁈」
「そうですよ?いくら魔女でもそれぞれ能力が違いますからね?私たち魔神と違って力は限られていますから。ミラ様は戦闘系の能力はお持ちではなかったと思いますが?」
「それを早く言え‼︎」
そう言うと同時に、カーティスはもうゲートに飛び込んでいた。
———どうなってる⁉︎
カーティスの自室と教会の中とを繋ぐゲートから出てきたカーティスは、灯りが消され、ガランと静かで誰も居なくなっていることに気づいた。
ミラの気配を、能力を使って感じ取ろうとしたが、この付近にはもうミラはいない。
カーティスは五感を獣以上に高められる。
ミラの匂いを追って外へ出ると、それがずっとずっと遠くまで続いていることがわかった。
カーティスの背中に冷や汗が伝う。
あのリカルドの言葉が、やけに酷く頭に響いた。
「…ほんとに、…誘拐?」
カーティスは姿を消し、上空まで急上昇すると、猛スピードで、その気配を追った。
——どういうことだ?
カーティスは王城の上に浮かんでいた。
「ここは…この国の国王が住む城じゃないか。なんでこんなところにミラの気配が
…」
疑問には思ったが、自分の能力がここだと告げているのは間違いないので、さらに気配を辿ってカーティスはスーッと、城に近づいた。
一番強く感じた場所のバルコニーに姿を消したまま降り立ち、中の様子を見る。
「…っ‼︎」
危うく声を出しそうになったのを、カーティスは慌てて手で口を覆い、防いだ。
ミラ⁉︎誰だその人間の男は⁇
しかし、男の後に付いて自分から部屋に入って来たから、誘拐ではない…のか?
何をしている⁇
あっ!男が部屋から出た!
ミラ1人か?
⁇どこへ行くんだ?
別の部屋へ入って行ったが…
今はミラ1人だとわかったカーティスは目に力を込めると、金色の目が発光し、念動力でバルコニーから部屋に入るガラスの扉の鍵を開けた。
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