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語呂合わせ
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「では説明します…… 待った。皆さんを呼んできてくれませんか?
ちょうどいい機会ですから全員に知ってもらいましょう。
さっきまであれほど嫌がっていたのに皆に打ち明けるとはどういう心境の変化だ?
出来ればアリアには知らせたくない。
もう正体を隠そうともしないアリア。彼女よりも早く『聖女の涙』を。
それなのにハッピー先生は俺だけに教えようとはしない。
「あの…… 」
「どうしました? 早く呼んできてください」
「そのアリアもですか? 」
「あらあらどうしたんですか? 喧嘩でもしたんですか? 」
「しかし彼女は…… 」
「大河さん」
アリアが偽物だとしても彼女の存在が偽りな訳ではない。
出会った当時のアリアと今のアリアは同一人物だろう。
俺がここに来る前の話なので推測でしかないが。
だからなのかハッピー先生はアリアのことを信じている。
ハッピー先生にとってアリアは変わらずアリアなのだ。
まだ問題行動を起こした訳ではない。いやばれてないだけだが。
実際は隠れて色々と工作している。
放っておけばマウントシーに害をもたらすのは火を見るより明らか。
そもそも俺に襲撃予告までした。
とは言え災難から逃れてきた一人の少女。
そのスタイルは変えない。
少女たちの一人として分け隔てなく接する。それが彼女の優しさ。甘さでもある。
まさか説得できるとでも? アリア一人の為に少女たちを危険にさらしていいのか?
すべて把握してる彼女だからこそ俺たち二人の関係も気にかけている。
問題は情報をどこから仕入れたかだ。漏れてるに違いない。俺には心当たりがある。
ブリリアントだ。嘘をつけない彼女がハッピー先生に問い詰められすべてを吐く。
それがブリリアントのいいところであり弱点でもあるが。
「いえ…… 危険ですよ」
念のために忠告する。
今アリアとは敵対している。できれば彼女とは仲直りしたいがそれも彼女次第。
目的がはっきりしない今警戒を怠るべきではない。
「彼女もマウントシーの一員。差別はいけません。
それに彼女にも聞いておく必要があるんじゃないですか? 」
いくら危険だと忠告しても無駄のようだ。
一度決めたことは変える気はない。頑固な面がある。
見た目からはそうは見えないが芯のある人だ。
「すべてお見通しのようで。さすがはハッピー先生。
ただ彼女を追い詰めるのは危険かと。何をするか分かったものじゃない。
くれぐれも気をつけてください」
そう言って皆に招集をかけに行く。
ミス・マームは準備の為倉庫室へ。
倉庫室は南京錠で開かないようになってる。
その上ナンバーロックまで掛っている。
ここには大変貴重なもの。そうお神酒が置いてある。
四桁の数字で一年に数回しか開け閉めしないナンバーロック。
この番号はもちろん私しか知らない。
管理人さんの二人にも念のため教えていない。
ただ手伝ってもらった時に盗み見ることもできなくはない。
でも私は信じてる。
ええっと数字。数字。
最近使ったばかりなのに度忘れしてしまった。
まったく私としたことが実に情けない。
でも大丈夫。そんな時の為に語呂合わせにしている。
確かえっと…… 昔よく使っていた単語。
若かりし頃にふざけて言わされたのが口癖になってしまった。
本当にあの頃はよかったな。楽しくて。
皆それぞれに悩みや苦しみを抱えていたけどそれでも精一杯笑顔で。
私も同じように心の傷を負っていたのに忘れるほどの体験を。
実際トラウマや後悔ではとても表せないような地獄を経験した子も。
それを彼が救ってくれた。私たちを救ってくれた。
彼こそ私たちのヒーロー。
あらあら私ったらいつの間にか過去に浸っていた。
5643 ごろくしさん?
ああ恥ずかしい。倒れてしまいそう。
ガチャ
さあ開いた。
お神酒を取り出して準備完了。
三十分経過。ようやく全員揃う。
「もう大河なんなの? 僕眠いよ」
「大河さん」
「大河さん。こんな晩に一体? 」
目を擦らせ緊急招集に不満を漏らす面々。
そんな中アリア一人黙って様子を窺っている。
「それでは皆さん揃ったようなのでお話したいと思います」
ハッピー先生は続ける。
「皆さんは三つの伝説についてどう思いますか?
知ってる? 知らない? 面白そうだ? まったく興味がない?
関係ある? 無関係だ?
島民が日頃どれほどの関心を示してるか分かりません。
ですが何もないところからいきなり生まれたのではありません。
もちろん伝説の通りのことが起きたり願いが叶ったりなどあるかもしれませんね。
それでは詳しく見て行きましょう」
夜の特別授業に皆の頭はついていけない。
何の話なのかもはや眠気との戦い。
欠伸を噛み殺し話を聞く。
ぼんやりした者がほとんど。
その中で一人アリアだけは緊張した様子。
いつでも言い逃れができるようにあるいは逃走できるように気を張っている。
続く
ちょうどいい機会ですから全員に知ってもらいましょう。
さっきまであれほど嫌がっていたのに皆に打ち明けるとはどういう心境の変化だ?
出来ればアリアには知らせたくない。
もう正体を隠そうともしないアリア。彼女よりも早く『聖女の涙』を。
それなのにハッピー先生は俺だけに教えようとはしない。
「あの…… 」
「どうしました? 早く呼んできてください」
「そのアリアもですか? 」
「あらあらどうしたんですか? 喧嘩でもしたんですか? 」
「しかし彼女は…… 」
「大河さん」
アリアが偽物だとしても彼女の存在が偽りな訳ではない。
出会った当時のアリアと今のアリアは同一人物だろう。
俺がここに来る前の話なので推測でしかないが。
だからなのかハッピー先生はアリアのことを信じている。
ハッピー先生にとってアリアは変わらずアリアなのだ。
まだ問題行動を起こした訳ではない。いやばれてないだけだが。
実際は隠れて色々と工作している。
放っておけばマウントシーに害をもたらすのは火を見るより明らか。
そもそも俺に襲撃予告までした。
とは言え災難から逃れてきた一人の少女。
そのスタイルは変えない。
少女たちの一人として分け隔てなく接する。それが彼女の優しさ。甘さでもある。
まさか説得できるとでも? アリア一人の為に少女たちを危険にさらしていいのか?
すべて把握してる彼女だからこそ俺たち二人の関係も気にかけている。
問題は情報をどこから仕入れたかだ。漏れてるに違いない。俺には心当たりがある。
ブリリアントだ。嘘をつけない彼女がハッピー先生に問い詰められすべてを吐く。
それがブリリアントのいいところであり弱点でもあるが。
「いえ…… 危険ですよ」
念のために忠告する。
今アリアとは敵対している。できれば彼女とは仲直りしたいがそれも彼女次第。
目的がはっきりしない今警戒を怠るべきではない。
「彼女もマウントシーの一員。差別はいけません。
それに彼女にも聞いておく必要があるんじゃないですか? 」
いくら危険だと忠告しても無駄のようだ。
一度決めたことは変える気はない。頑固な面がある。
見た目からはそうは見えないが芯のある人だ。
「すべてお見通しのようで。さすがはハッピー先生。
ただ彼女を追い詰めるのは危険かと。何をするか分かったものじゃない。
くれぐれも気をつけてください」
そう言って皆に招集をかけに行く。
ミス・マームは準備の為倉庫室へ。
倉庫室は南京錠で開かないようになってる。
その上ナンバーロックまで掛っている。
ここには大変貴重なもの。そうお神酒が置いてある。
四桁の数字で一年に数回しか開け閉めしないナンバーロック。
この番号はもちろん私しか知らない。
管理人さんの二人にも念のため教えていない。
ただ手伝ってもらった時に盗み見ることもできなくはない。
でも私は信じてる。
ええっと数字。数字。
最近使ったばかりなのに度忘れしてしまった。
まったく私としたことが実に情けない。
でも大丈夫。そんな時の為に語呂合わせにしている。
確かえっと…… 昔よく使っていた単語。
若かりし頃にふざけて言わされたのが口癖になってしまった。
本当にあの頃はよかったな。楽しくて。
皆それぞれに悩みや苦しみを抱えていたけどそれでも精一杯笑顔で。
私も同じように心の傷を負っていたのに忘れるほどの体験を。
実際トラウマや後悔ではとても表せないような地獄を経験した子も。
それを彼が救ってくれた。私たちを救ってくれた。
彼こそ私たちのヒーロー。
あらあら私ったらいつの間にか過去に浸っていた。
5643 ごろくしさん?
ああ恥ずかしい。倒れてしまいそう。
ガチャ
さあ開いた。
お神酒を取り出して準備完了。
三十分経過。ようやく全員揃う。
「もう大河なんなの? 僕眠いよ」
「大河さん」
「大河さん。こんな晩に一体? 」
目を擦らせ緊急招集に不満を漏らす面々。
そんな中アリア一人黙って様子を窺っている。
「それでは皆さん揃ったようなのでお話したいと思います」
ハッピー先生は続ける。
「皆さんは三つの伝説についてどう思いますか?
知ってる? 知らない? 面白そうだ? まったく興味がない?
関係ある? 無関係だ?
島民が日頃どれほどの関心を示してるか分かりません。
ですが何もないところからいきなり生まれたのではありません。
もちろん伝説の通りのことが起きたり願いが叶ったりなどあるかもしれませんね。
それでは詳しく見て行きましょう」
夜の特別授業に皆の頭はついていけない。
何の話なのかもはや眠気との戦い。
欠伸を噛み殺し話を聞く。
ぼんやりした者がほとんど。
その中で一人アリアだけは緊張した様子。
いつでも言い逃れができるようにあるいは逃走できるように気を張っている。
続く
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