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食うか食われるか
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東常冬町。旧常冬村地区。集落にて。
今夜の宿をどうにか確保するも狭いので男女別々に。
女性陣は最初の家に泊まってもらうことになった。
俺たちは次の家に向かう。
「お邪魔します」
次の家は築何年か気にならないほど年数が経過している。
見た目に違わず中も立派に朽ち果てている。
うん声も出ない。
何でも夜になると山姥が来るとか来ないとかの噂があるそう。
食われる前に寝ろとのお達しらしいが…… 恐ろしくて寝れるか!
何一つ嬉しくない。そんなサービスはいらない。
「先生冗談ですよね? 」
「先生そんな! そんな! うわああ! 」
話を真に受けて絶望する二人に何て言葉を掛ければいいか。
一言しかないな。
「早く寝ろ! 」
これに尽きるな。
広いだけが取り柄の屋敷。
これなら全員こちらでも良かった気もするがせっかくの善意を無に出来ない。
それに女性陣も反対するだろうな。
どちらも似た様なものだが段々と家のグレードが下がってる。
その一方で恐怖のグレードは上がる一方。
グングン上がっていく。鼓動も速くなっていく。
うん絶対に早く寝よう。どうせ起きていてもロクなことがない。
「汚いとこだがね寛いでな」
せっかくのご好意を無に出来ない。
「汚…… いえ昔はさぞかし立派な建物で。なあ皆? 」
だが反応がない。二人は一体どうしてしまったのだろう?
「何かあったら呼んでな。それから生贄は若いのが良い。ヒヒヒ…… 」
若いと言うことは二人が犠牲になるのか。俺は生き残る?
もうダメだ。これはもう確実に変身するつもりだ。
野宿がベストだったらしい。
善意に甘えなければこんなことには。
夫婦で住んでるとか。しかし爺さんの姿が見えない。
これは我々を誘い込むための罠?
俺たちはとんでもないところに来てしまったらしい。
もしかしたらとは思ったがまさかここまでとはね。恐れ入るよ。
中は思ったよりきれいにされている。
動かなければ埃は立たない。
家人を無視して清掃を始める訳にもいかないしな。
そもそも俺も清掃苦手だし。こいつらも大差ないだろう。
荷物を置き夕飯を頂く。
やはり爺さんの姿が見えない。
集落の者たちは自給自足が基本。その上で助け合って暮らしているそう。
このでっかい魚も三軒隣の爺さんが釣って来てくれたのだとか。
どうにか人数分あるが後は麦とほぼ味のないスープ。
育ち盛りの二人には精のつくものをと蛇の肉を。
これで完成だと意味不明に笑うので無視を決め込む。
麦も肉も初めて食べるようでお替りを三杯もする二人。
俺もこの後のことを忘れて目一杯喰いたいがどうも食欲が湧かない。
二杯で止める。
最近美人三姉妹の手料理に慣れたせいか味覚に変化があった。
ただ美味いものはまだ辛うじて判別出来る。
漬物もよく浸かっていて美味い。
スープは味はほぼないが体には良さそう。
温まるんだよね。何と言っても常冬地方だからスープが体に沁みる。
最後の晩餐には丁度いいな。などと言う冗談はやめよう。
真実になっては敵わない。
お腹も満たした。後は明日のこと。
調べ回る必要があるからな。出来れば地図があると便利で助かるのだが。
旧東境村までのルートと細かい地図があるといいな。
「この辺りの地図ありませんか? 」
人の家にお邪魔したのにはこのように自然と地図が手に入るメリットがある。
地図さえあればもう少し動きが取れるだろう。そうなれば方向性も決まって来る。
何と言ってもアークニンから買い取った地図は一枚だけ。
大雑把にしか記されてない。
地名がある分ここまではたどり着けたがこの後どう旧東境村に行けばいいのか。
「あーれ地図は作ってんかったと思うで。町に行けば簡単なのは置いてあるじゃろ」
ダメだそれではたどり着けない。もっと細かい地図を手に入れないと。
この辺りを彷徨い続けることになる。
「では寝るけっと」
「待ってください! 少々お話が。ここには何人ぐらい住まわれてるんですか? 」
「そうさね。この集落は十件あるかぐらいだから二十人かそこらだ」
メモを取る。これもとても大事なこと。
二人はのんびりしてるのみ。おいおい今がチャンスじゃないか。
聞けることはすべて聞くのがプロ。
しかもうまく引き出す。
それにはまずどうでもいい話にも付き合う。
ただ一つ気をつけないといけないのは長いとこれは危険。
それから同じ話を繰り返す場合も避けた方が良い。
お婆さんはそのどっちらでもないので聞きやすい。
ただ不気味な笑いで何かを要求してるのが気になる。
「ありがとうございます。それから…… 」
「ちょっとあんたたち! まさか何か悪さすんのか? 」
咎められる。
続く
今夜の宿をどうにか確保するも狭いので男女別々に。
女性陣は最初の家に泊まってもらうことになった。
俺たちは次の家に向かう。
「お邪魔します」
次の家は築何年か気にならないほど年数が経過している。
見た目に違わず中も立派に朽ち果てている。
うん声も出ない。
何でも夜になると山姥が来るとか来ないとかの噂があるそう。
食われる前に寝ろとのお達しらしいが…… 恐ろしくて寝れるか!
何一つ嬉しくない。そんなサービスはいらない。
「先生冗談ですよね? 」
「先生そんな! そんな! うわああ! 」
話を真に受けて絶望する二人に何て言葉を掛ければいいか。
一言しかないな。
「早く寝ろ! 」
これに尽きるな。
広いだけが取り柄の屋敷。
これなら全員こちらでも良かった気もするがせっかくの善意を無に出来ない。
それに女性陣も反対するだろうな。
どちらも似た様なものだが段々と家のグレードが下がってる。
その一方で恐怖のグレードは上がる一方。
グングン上がっていく。鼓動も速くなっていく。
うん絶対に早く寝よう。どうせ起きていてもロクなことがない。
「汚いとこだがね寛いでな」
せっかくのご好意を無に出来ない。
「汚…… いえ昔はさぞかし立派な建物で。なあ皆? 」
だが反応がない。二人は一体どうしてしまったのだろう?
「何かあったら呼んでな。それから生贄は若いのが良い。ヒヒヒ…… 」
若いと言うことは二人が犠牲になるのか。俺は生き残る?
もうダメだ。これはもう確実に変身するつもりだ。
野宿がベストだったらしい。
善意に甘えなければこんなことには。
夫婦で住んでるとか。しかし爺さんの姿が見えない。
これは我々を誘い込むための罠?
俺たちはとんでもないところに来てしまったらしい。
もしかしたらとは思ったがまさかここまでとはね。恐れ入るよ。
中は思ったよりきれいにされている。
動かなければ埃は立たない。
家人を無視して清掃を始める訳にもいかないしな。
そもそも俺も清掃苦手だし。こいつらも大差ないだろう。
荷物を置き夕飯を頂く。
やはり爺さんの姿が見えない。
集落の者たちは自給自足が基本。その上で助け合って暮らしているそう。
このでっかい魚も三軒隣の爺さんが釣って来てくれたのだとか。
どうにか人数分あるが後は麦とほぼ味のないスープ。
育ち盛りの二人には精のつくものをと蛇の肉を。
これで完成だと意味不明に笑うので無視を決め込む。
麦も肉も初めて食べるようでお替りを三杯もする二人。
俺もこの後のことを忘れて目一杯喰いたいがどうも食欲が湧かない。
二杯で止める。
最近美人三姉妹の手料理に慣れたせいか味覚に変化があった。
ただ美味いものはまだ辛うじて判別出来る。
漬物もよく浸かっていて美味い。
スープは味はほぼないが体には良さそう。
温まるんだよね。何と言っても常冬地方だからスープが体に沁みる。
最後の晩餐には丁度いいな。などと言う冗談はやめよう。
真実になっては敵わない。
お腹も満たした。後は明日のこと。
調べ回る必要があるからな。出来れば地図があると便利で助かるのだが。
旧東境村までのルートと細かい地図があるといいな。
「この辺りの地図ありませんか? 」
人の家にお邪魔したのにはこのように自然と地図が手に入るメリットがある。
地図さえあればもう少し動きが取れるだろう。そうなれば方向性も決まって来る。
何と言ってもアークニンから買い取った地図は一枚だけ。
大雑把にしか記されてない。
地名がある分ここまではたどり着けたがこの後どう旧東境村に行けばいいのか。
「あーれ地図は作ってんかったと思うで。町に行けば簡単なのは置いてあるじゃろ」
ダメだそれではたどり着けない。もっと細かい地図を手に入れないと。
この辺りを彷徨い続けることになる。
「では寝るけっと」
「待ってください! 少々お話が。ここには何人ぐらい住まわれてるんですか? 」
「そうさね。この集落は十件あるかぐらいだから二十人かそこらだ」
メモを取る。これもとても大事なこと。
二人はのんびりしてるのみ。おいおい今がチャンスじゃないか。
聞けることはすべて聞くのがプロ。
しかもうまく引き出す。
それにはまずどうでもいい話にも付き合う。
ただ一つ気をつけないといけないのは長いとこれは危険。
それから同じ話を繰り返す場合も避けた方が良い。
お婆さんはそのどっちらでもないので聞きやすい。
ただ不気味な笑いで何かを要求してるのが気になる。
「ありがとうございます。それから…… 」
「ちょっとあんたたち! まさか何か悪さすんのか? 」
咎められる。
続く
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