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異世界談義
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食後のゆったりした時間。
部長君とカズトはトイレに行くと姿を消した。
ミコは大人しく読書。
タピオカ部二人はお喋りに夢中。
今ミホ先生と二人っきり。一体何の話をすべきか考え中。
顧問としての立場を無視しプライベートな話をするのは違うよな。
やっぱりここは異世界談義と行きますか。
「ミホ先生は異世界が本当に存在すると考えますか? 」
我々は異世界探索部の顧問と副顧問。
普通の人間が真面目に語り合っていたらかなり怪しいのだろうな。
どこかおかしくなったと白い目で見られるに違いない。
「存在しなくては困ります。私たちは何時間もかけ取り組んだんですよ」
ただの無駄骨になってしまうと存在に固執する。
そこがミホ先生の欠点かな。存在しなくてもいいじゃないか。
確かに無駄骨は嫌だがあっさり見つかるのもそれはそれで興覚め。
簡単過ぎても難し過ぎてもいけない。丁度いいのが理想的。贅沢かな。
こんな心構えではきっと足元を掬われるだろうな。
それは分かってるんだ。でも心の整理がつかなくて。
「確かにそうなんですが…… 何と言ってもアークニンの戯言。
本気にしてる方がどうかしていると言いますか…… 俺は異世界否定派ですし。
異世界の話にしても汚らわしいゴミを買わせる算段だったとも言える。
何と言ってもアークニンはまったく信用の置けない人物ですからね。
生徒の前では言いにくいですが俺はそこまで本気にしてません。
あくまで異世界探索部の顧問として引率してるに過ぎない。
ミホ先生も似た様なものでしょう? 」
入れ込み過ぎのミホ先生に釘を刺す。
実際にあるかないかではなくどちらが常識に照らし合わせて正しいか。
アークニンの末路を見ればそれは一目瞭然だろう。
未だに尊敬されることなくバカにされる日々。
俺たちは同じ土俵に立とうとしている。
だから今一度立ち止って物事を冷静に俯瞰すべきだろう。
それでも決意が揺るがないなら立派なことでもう何も言う必要はない。
「でしたなぜここまで? 」
「俺は別に異世界など見つからなくていい。
ただ生徒と楽しく異世界探索が出来ればいいかなと。
これは誰にも漏らさずに絶対秘密でお願いします」
「呆れました。青井先生はそんな気持ちで生徒たちと向き合ってたんですか? 」
「ええ。それが大人では? 」
ミホ先生も自分優勢と見て話してるんだろうな。
お株を奪うやり方には感心しないが。
「確かに。副顧問を引き受けた手前異世界などありませんとは口が裂けても。
私も最初は付き合い程度の感覚でした。
しかしあの地図は本物にしか見えなかった。違いますか? 」
目をギラギラさせまるで宝探しをするかのよう。
俺が引き込んだとは言えここで止めなくては。
紙の束の仕掛けを見抜いた時もうミホ先生は前のままでは居られなくなった。
いやもっと前か。アークニンと出会ってちょっとずつミホ先生は変わって行った。
それに気つかずに興味を示してくれたことが嬉しかった。
ミホ先生は真面目だから俺に付き合ってくれる。そんな風に浮かれていた。
「ええ。あれだけ苦労したのですから俺も本物だと信じたい。
ただそれは旧東境村への行き方であって異世界への行き方ではありません! 」
アークニンが言うぐらいだから実際に探せば旧東境村はあるのだろう。
だがそこまで。異世界に繋がってるかはやはり分からない。
「それはどう言うことでしょうか? 」
「あの紙の束がただの紙だとしたら?
価値とかではなくあれはこの世界ではただの紙でしかないんですよ。
いくら異世界に行った者がいたとしてもそれを証明できない。彼は記憶を失ってた。
と言っても恐らく部分的な記憶が抜け落ちたのだと思いますが。
そのまま収容され完全に記憶を失ったと言うよりも廃人に。
それがアークニンの元へ話を持ち込んだ奥さんの話。
すべて奴から聞いたのみ。夫どころか夫婦ともに存在しない場合もあり得る。
俺たちをどうしても旧東境村に誘う為のアークニンの仕掛けた罠の恐れも。
言い訳してるが俺には分かる。アークニンには別の目的がある。
そんな風に考えることも。アークニンの手の込んだ作り話だと疑わない」
合宿が近づけば近づくほどおかしな妄想が膨らんで行った。
異世界だ。何が起きてもおかしくない。
そんな恐怖と期待と焦燥が入り交ざりもう何が何だか。
俺はどうしたらいい? 行くべきなのか? 引き返すべきなのか?
続く
部長君とカズトはトイレに行くと姿を消した。
ミコは大人しく読書。
タピオカ部二人はお喋りに夢中。
今ミホ先生と二人っきり。一体何の話をすべきか考え中。
顧問としての立場を無視しプライベートな話をするのは違うよな。
やっぱりここは異世界談義と行きますか。
「ミホ先生は異世界が本当に存在すると考えますか? 」
我々は異世界探索部の顧問と副顧問。
普通の人間が真面目に語り合っていたらかなり怪しいのだろうな。
どこかおかしくなったと白い目で見られるに違いない。
「存在しなくては困ります。私たちは何時間もかけ取り組んだんですよ」
ただの無駄骨になってしまうと存在に固執する。
そこがミホ先生の欠点かな。存在しなくてもいいじゃないか。
確かに無駄骨は嫌だがあっさり見つかるのもそれはそれで興覚め。
簡単過ぎても難し過ぎてもいけない。丁度いいのが理想的。贅沢かな。
こんな心構えではきっと足元を掬われるだろうな。
それは分かってるんだ。でも心の整理がつかなくて。
「確かにそうなんですが…… 何と言ってもアークニンの戯言。
本気にしてる方がどうかしていると言いますか…… 俺は異世界否定派ですし。
異世界の話にしても汚らわしいゴミを買わせる算段だったとも言える。
何と言ってもアークニンはまったく信用の置けない人物ですからね。
生徒の前では言いにくいですが俺はそこまで本気にしてません。
あくまで異世界探索部の顧問として引率してるに過ぎない。
ミホ先生も似た様なものでしょう? 」
入れ込み過ぎのミホ先生に釘を刺す。
実際にあるかないかではなくどちらが常識に照らし合わせて正しいか。
アークニンの末路を見ればそれは一目瞭然だろう。
未だに尊敬されることなくバカにされる日々。
俺たちは同じ土俵に立とうとしている。
だから今一度立ち止って物事を冷静に俯瞰すべきだろう。
それでも決意が揺るがないなら立派なことでもう何も言う必要はない。
「でしたなぜここまで? 」
「俺は別に異世界など見つからなくていい。
ただ生徒と楽しく異世界探索が出来ればいいかなと。
これは誰にも漏らさずに絶対秘密でお願いします」
「呆れました。青井先生はそんな気持ちで生徒たちと向き合ってたんですか? 」
「ええ。それが大人では? 」
ミホ先生も自分優勢と見て話してるんだろうな。
お株を奪うやり方には感心しないが。
「確かに。副顧問を引き受けた手前異世界などありませんとは口が裂けても。
私も最初は付き合い程度の感覚でした。
しかしあの地図は本物にしか見えなかった。違いますか? 」
目をギラギラさせまるで宝探しをするかのよう。
俺が引き込んだとは言えここで止めなくては。
紙の束の仕掛けを見抜いた時もうミホ先生は前のままでは居られなくなった。
いやもっと前か。アークニンと出会ってちょっとずつミホ先生は変わって行った。
それに気つかずに興味を示してくれたことが嬉しかった。
ミホ先生は真面目だから俺に付き合ってくれる。そんな風に浮かれていた。
「ええ。あれだけ苦労したのですから俺も本物だと信じたい。
ただそれは旧東境村への行き方であって異世界への行き方ではありません! 」
アークニンが言うぐらいだから実際に探せば旧東境村はあるのだろう。
だがそこまで。異世界に繋がってるかはやはり分からない。
「それはどう言うことでしょうか? 」
「あの紙の束がただの紙だとしたら?
価値とかではなくあれはこの世界ではただの紙でしかないんですよ。
いくら異世界に行った者がいたとしてもそれを証明できない。彼は記憶を失ってた。
と言っても恐らく部分的な記憶が抜け落ちたのだと思いますが。
そのまま収容され完全に記憶を失ったと言うよりも廃人に。
それがアークニンの元へ話を持ち込んだ奥さんの話。
すべて奴から聞いたのみ。夫どころか夫婦ともに存在しない場合もあり得る。
俺たちをどうしても旧東境村に誘う為のアークニンの仕掛けた罠の恐れも。
言い訳してるが俺には分かる。アークニンには別の目的がある。
そんな風に考えることも。アークニンの手の込んだ作り話だと疑わない」
合宿が近づけば近づくほどおかしな妄想が膨らんで行った。
異世界だ。何が起きてもおかしくない。
そんな恐怖と期待と焦燥が入り交ざりもう何が何だか。
俺はどうしたらいい? 行くべきなのか? 引き返すべきなのか?
続く
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