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意外な真犯人
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一人ずつ部屋に入れて詳しい話を聞くことに。
一対一の直接対決って訳だ。
制服盗難事件には当然ながら実行犯がいる。
それが自然現象や鳥のせいでないのは明らか。
真犯人は確実に存在する。しかも恐らくこの中に。
もちろん俺ではない。だが疑いの目で見られている。再び俺を容疑者にしようと。
もはや一刻の猶予もない。この手で真犯人を捕まえるのだ。
真犯人だって当然緊張してるはず。
そして俺の提案が思いがけない結果を生む。
今までおかしな言動が見られなかった伏し目がちで大人しい人物。
激しく動揺している。もう真っ青だ。
「どうぞお掛けください」
少々他人行儀だが俺は今教師ではない。
一切の思い込みを捨て捜査に当たっている。
「よろしく…… 」
言葉が詰まってしまう。
オドオドして情けない顔をする。これは間違いないな。
「どうした体調が悪いようだが保健室に行くか? 無理するな」
「大丈夫です。問題ありません」
こっちが問題あるんだけどな。一応俺教師だから倒れられても困る。
最後の一人は小柄だ。
今日は大会に出場せずに応援に回っていた。
うーん。誰だったかな? 全員覚えてる訳じゃないからな。
それに俺は人を覚えるのが苦手。
「君も知っての通り副部長の着替え一式がなくなった。
どんな些細な情報でも構わない。知ってることがあったら教えてくれないか」
さあ追い詰めた。もう逃げられないぞ。
男としては追い詰めたいが教師の立場では追い詰めたくない。複雑だな。
「先生…… それが先生…… 」
どんどん青くなっていく。これは限界が近いな。
「知ってることでなくてもいい。何か言わなければならないことはないか? 」
下手に追及したら爆発するかもしれない。ここは一つ慎重にことを進めよう。
だが彼女は沈黙するばかり。
「ははは…… 黙ったか? 可哀想にな副部長。いつまでもあんな格好させられて」
着替えは上下のジャージ。暑くはないだろうが少々ダサい。
「ごめん…… なさい。こんなことになるって思わなかった…… 」
ついに自白する。もう涙が溢れ出ている。苦しかったんだろうな。
やはり追及すべきではなかった? しかしこれこそが教育。
俺は英語の教師で授業も適当。そんな俺にでも教えられることがある。
罪を犯したら素直に名乗り出る。それがどんな些細な事件であってもだ。
これさえ出来ればどうにかやっていけるはずだ。
「なぜこんなことを? 」
「それは…… 」
「いつまでも泣いてたってしょうがないだろ? 」
早く話せ。今すぐ話せ。それが被害者の為になるのだから。
最終的にはこの子の為にもなる。
「だ…… だって…… 」
まだ粘るらしい。凄いなこの子。
自分は悪くないとでも主張するのか?
まあここは話を進めるとしよう。
「よし分かった。すべて話せ! 話しているうちにきっといい方向に進むだろう」
「はい! 」
ようやく決心してくれたらしい。
顔の表情も良くなり顔面蒼白も改善されつつある。
「ゆっくりでいい。なぜこんなことを? 」
「実は…… 」
大人しく従ってくれた。
ゆっくり何度もつっかえながら語りだした。
彼女によると何にでも人一倍時間が掛かるのがコンプレックス。
不器用な面を気にしているそんな真面目な生徒。
今回も着替えるのに手間取り一番最後になったらしい。
俺もその気持ちは理解できる。
そうなんだよな。何でも手際の良い奴は居て逆にいつでも一歩遅れてしまう子も。
人と比べればどうしたってそんな違いが出てきてしまう。
トロいとか不器用とか心無い言葉を投げかけられる。
言われれば言われるほど注意すれば注意するほどプレッシャーとなって悪化する。
これは一種の暗示だったり錯覚だろう。
本来人間は弱い者でおかしな緊張感で己を見失い周りに蔑まれていく。
これが嫌で人と関わらないなんておかしな発想も。
気にするなと言うのは簡単だが追い込まれたらどうにもこうにも。
それで今回も最後で皆が出て行った後。すぐに追いかけるべきだった。
しかし目に留まる。それが副部長の制服。ボタンが取れ掛かっていたのに気づく。
後で直そうと考え着替えをごっそり持って隣の部屋へ。
早起きは三文の徳と言うが最後まで残った者にもそれなりの発見があるもの。
一時ロッカーに入れて休憩時間にゆっくり直そうとした。
それが悲劇の始まり。
結局手が離せなくなり昼休みも抜け出せずに今に至った。
これが真相。
続く
一対一の直接対決って訳だ。
制服盗難事件には当然ながら実行犯がいる。
それが自然現象や鳥のせいでないのは明らか。
真犯人は確実に存在する。しかも恐らくこの中に。
もちろん俺ではない。だが疑いの目で見られている。再び俺を容疑者にしようと。
もはや一刻の猶予もない。この手で真犯人を捕まえるのだ。
真犯人だって当然緊張してるはず。
そして俺の提案が思いがけない結果を生む。
今までおかしな言動が見られなかった伏し目がちで大人しい人物。
激しく動揺している。もう真っ青だ。
「どうぞお掛けください」
少々他人行儀だが俺は今教師ではない。
一切の思い込みを捨て捜査に当たっている。
「よろしく…… 」
言葉が詰まってしまう。
オドオドして情けない顔をする。これは間違いないな。
「どうした体調が悪いようだが保健室に行くか? 無理するな」
「大丈夫です。問題ありません」
こっちが問題あるんだけどな。一応俺教師だから倒れられても困る。
最後の一人は小柄だ。
今日は大会に出場せずに応援に回っていた。
うーん。誰だったかな? 全員覚えてる訳じゃないからな。
それに俺は人を覚えるのが苦手。
「君も知っての通り副部長の着替え一式がなくなった。
どんな些細な情報でも構わない。知ってることがあったら教えてくれないか」
さあ追い詰めた。もう逃げられないぞ。
男としては追い詰めたいが教師の立場では追い詰めたくない。複雑だな。
「先生…… それが先生…… 」
どんどん青くなっていく。これは限界が近いな。
「知ってることでなくてもいい。何か言わなければならないことはないか? 」
下手に追及したら爆発するかもしれない。ここは一つ慎重にことを進めよう。
だが彼女は沈黙するばかり。
「ははは…… 黙ったか? 可哀想にな副部長。いつまでもあんな格好させられて」
着替えは上下のジャージ。暑くはないだろうが少々ダサい。
「ごめん…… なさい。こんなことになるって思わなかった…… 」
ついに自白する。もう涙が溢れ出ている。苦しかったんだろうな。
やはり追及すべきではなかった? しかしこれこそが教育。
俺は英語の教師で授業も適当。そんな俺にでも教えられることがある。
罪を犯したら素直に名乗り出る。それがどんな些細な事件であってもだ。
これさえ出来ればどうにかやっていけるはずだ。
「なぜこんなことを? 」
「それは…… 」
「いつまでも泣いてたってしょうがないだろ? 」
早く話せ。今すぐ話せ。それが被害者の為になるのだから。
最終的にはこの子の為にもなる。
「だ…… だって…… 」
まだ粘るらしい。凄いなこの子。
自分は悪くないとでも主張するのか?
まあここは話を進めるとしよう。
「よし分かった。すべて話せ! 話しているうちにきっといい方向に進むだろう」
「はい! 」
ようやく決心してくれたらしい。
顔の表情も良くなり顔面蒼白も改善されつつある。
「ゆっくりでいい。なぜこんなことを? 」
「実は…… 」
大人しく従ってくれた。
ゆっくり何度もつっかえながら語りだした。
彼女によると何にでも人一倍時間が掛かるのがコンプレックス。
不器用な面を気にしているそんな真面目な生徒。
今回も着替えるのに手間取り一番最後になったらしい。
俺もその気持ちは理解できる。
そうなんだよな。何でも手際の良い奴は居て逆にいつでも一歩遅れてしまう子も。
人と比べればどうしたってそんな違いが出てきてしまう。
トロいとか不器用とか心無い言葉を投げかけられる。
言われれば言われるほど注意すれば注意するほどプレッシャーとなって悪化する。
これは一種の暗示だったり錯覚だろう。
本来人間は弱い者でおかしな緊張感で己を見失い周りに蔑まれていく。
これが嫌で人と関わらないなんておかしな発想も。
気にするなと言うのは簡単だが追い込まれたらどうにもこうにも。
それで今回も最後で皆が出て行った後。すぐに追いかけるべきだった。
しかし目に留まる。それが副部長の制服。ボタンが取れ掛かっていたのに気づく。
後で直そうと考え着替えをごっそり持って隣の部屋へ。
早起きは三文の徳と言うが最後まで残った者にもそれなりの発見があるもの。
一時ロッカーに入れて休憩時間にゆっくり直そうとした。
それが悲劇の始まり。
結局手が離せなくなり昼休みも抜け出せずに今に至った。
これが真相。
続く
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