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再会

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ガヤガヤ
ガヤガヤ
交番は盛況だ。
決していいことではないが活気がある。

左横田さんを追いかけてついに交番までやって来た。
これで機密文書を取り戻せる。そうなれば会社をクビにならずに済む。

「罪に耐えかねて自首しに来たのね? 」
最悪トナラ―が猛威を振るう。
「いえ…… 俺はお巡りさんに用があって」
ただ人が多すぎては都合が悪い。ここは慎重に慎重に。
あれ…… どこかで見たことがあるような面々。
「おい! 早く用件を済ましてしまおうぜ」
上司は我慢の限界らしい。

「何じゃお主。良心が傷んだか? 」
お茶をすすって寛いでる嫌味ったらしい爺は裏の爺さん。
「お久しぶりです」
「最近会ったばかりであろう? 」
冗談のつもりだが食って掛かる爺さん。これだからお年寄りは。

あれ俺浮かれてないか? 彼女が失踪したというのに不謹慎な。
会社をクビにならなくて済んだから?
でも彼女がいなければ何の意味がない。虚しいばかり。
「お爺さんは迷子にでも? 」
警察のお世話になってるってことはそういうことだよな。
「送り届けましょうか? 」
ついまた余計なことをしようとする。
「馬鹿を抜かせ! 誰が迷子爺じゃ! お主の為であろう」
「うんうん。帰ろうねお爺ちゃん」
俺も彼女が失踪して寂しし思いをしてる。
お爺さんは生憎一人暮らしだが待ってる人も僅かながらいるはず。
町内会とかご近所とか。
だからここは一肌脱ぐべきだろう。口うるさい爺だがそれでもご近所だもんな。

「お主などに死んでも頼るか! こっちの苦労も知らんで! 」
最近冷たくなってしまった。本当に悲しいよ。
そしてこちらを睨みつけるのはお馴染の左横田さん。
またストーカー扱い。誤解に付き合のは何回目だ? 
仮にそうでも五回とは言い辛い。

「少々お待ちください」
お巡りさんはそう言うばかり。
「うるせいな! ライブが聞こえないだろうが! 」
奥の部屋から顔を見せたのは右横田さんだっけ? 違った前田さんだ。
なぜか交番を自分の家のように振る舞い占拠する困った人。
横にはブブンカの姿も見える。
一体二人は交番に何の用があるのか?

「ははは…… どうも」
「おお仲間じゃないか! お前も見に来た口か? 」
「いえ…… お巡りさんに用がありまして」
お巡りさん二人は険しい表情。
人が多すぎて困ってるんだろうな。
市民の協力あっての警察だからな。無下には出来ない。
可哀想に。それにしてもうるさい。その原因が騒音トナラーとはね。

「はい確保! 」
態度のでかいお巡りさんがふざける。
「はあ? 約束したでしょう。忘れたんですか? 」
「いや覚えてるよ。だがなあの時とは状況が変わったんだ。よし大人しくしろよ」
もう一人の良き理解者の方はあたふたするばかりで止めようともしない。
その時だった。トイレから水の流れる音が。
扉が開き女性が姿を見せる。

「あれカス君…… 」
驚いた様子の女性。目が合う。
「君は誰? 」
「ええ…… 何をふざけてるの? 私はトワでしょう? 」
自己紹介ありがとう。ごめん。興味なし。美人だとは思うけどね。
「トワ…… 」
どこかで聞いたような。しかも会ったような…… だがどうしても思い出せない。
トワ? 俺の知り合い?
「まだふざけるの? いい加減にしてよね! 」
怒り爆発のトワなる女性。興味ないや。

「お主の元彼女であろう? なぜ知らない振りをする? 大人げないぞ! 」
相談役の爺さんが茶をすすり見当違いのことを喚いている。
これだから最近の爺さんは困る。
「おいトワさんって言えばお前を振った彼女だろ? 顔は知らないが」
上司まで何を訳の分からにことを言ってるんだろう?
狂っちまったか? それとも俺が狂った?
よく言う記憶喪失ってか? まさかあり得ない。

「昔の彼女? 居たかな? 記憶にない。ごめんなさい」
もちろん傷つける気はない。だが覚えてないものは覚えてない。
「馬鹿野郎! 」
態度のでかいお巡りさんが説教を垂れる。
「まあまあ。照れてるんですよきっと。恥ずかしいものですからね」
やはり見当違いなことを言うお巡りさん。

「お前は失踪した彼女を探してたんだろ? なぜ受け入れない! 」
「ですからこの方ではありません。いい加減にしてくれませんか。
それよりも例の件で来てるんですよ」
他の者に気づかれないように濁す。

「ああアトリ計画か? 」
「うわあああ! 」
上司が慌てて制止する。だがもう遅い。

                  続く
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